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音読の丘
 音読で、読む力、書く力が育つ。
 オンドリくんの 音読の丘
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※音読の丘は、家庭での音読の練習用として使ってください。
1.音読する文章が2つある場合は、最初の方の文章を音読してください。
2.はじめに、音声入力を始めるのボタンを押してください。
3.音読が終わったら音声入力を止めるのボタンを押してください。
4.音声入力を止めたあと、結果を送信するのボタンを押してください。



 【1】十倍もの今川軍の接近に直面した信長には、篭城(ろうじょう)か降伏(こうふく)かという二つの方法が選択肢(せんたくし)できた。しかし、信長の目指したものは、あくまでも勝利だった。勝利の一点を見つめたことが、桶(おけ)狭間(はざま)での奇襲(きしゅう)という新しい活路を見出したのだ。【2】世界の歴史を切り開いてきたのは、用意された方法で問題をうまく解決した人ではなく、問題そのものに深く直面した人だった。では、私たちもまた、安易な方法への誘惑(ゆうわく)を拒否(きょひ)して、問題に直面して生きるためにはどうしたらよいのだろうか。
 【3】第一は、マニュアルに頼る(たよ )心を捨てることだ。昔の修行は、師の技を盗む(ぬす )ものだった。今は、手っ取り早くマニュアルを学ぶことが、教える側にも教わる側にも求められる。その根底には、問題には必ず一定の答えがあるものだという前提がある。【4】だから、困ったことがあると、然るべき人にどうしたらよいかを聞くことになる。本当は、困ったことに対して、効率のよい解決を見つけようとする前に、その問題にしみじみと困ることが必要なのではないか。【5】その人にしかできないような深い悩み(なや )方こそ、その人にしかできない解決への第一歩だ。
 第二は、解決に近づくことに価値があるのではなく、問題と格闘(かくとう)することに価値があるのだと発想の転換(てんかん)をすることである。もし解決だけが尊いのであれば、物まねでもカンニングでも解決すればよいことになる。【6】しかし、世の中には解決を拒む(こば )問題も多い。親鸞(しんらん)は、「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」と言った。イエスは、「罪のない者だけが石を投げよ」と言った。ここにあるのは、教科書的な解決方法ではなく、その問題を深く生きた人にしか語れない真実の言葉だ。【7】だからこそ、これらの言葉は時代を越え(こ )て私たちの心を動かす。どんな人間の心の中にも悪が存在するということは、方法によっては解決することのできない人間の本質だ。だからこそ、必要なのは解決なのではなく、問題の共有なのだ。
 【8】確かに、方法は、科学技術の発展に役立ち、生活の改善に役立つ。分数の割り算はひっくり返してかけるという方法を教わらなければ、多くの小学生が長い時間分数を割ることの意味について頭を悩まさ(なや  )なければならないだろう。【9】だから、問題が真に把握(はあく)できていないとしても、とりあえず解決の方法があるということは、日常生活にとって役に立つ。しかし、その発想を人生そのものにあてはめようとすれば、それは人間の生活というよりもむしろ機械のメンテナンスに近いものになるだろう。【0】人間の生活は、方法からではなく目的からとらえたとき初めて生きたものになるのである。

(言葉の森長文作成委員会 Σ)