未ログイン ログイン
音読の丘
 音読で、読む力、書く力が育つ。
 オンドリくんの 音読の丘
※最初にログインをしてください。言葉の森の団体コードは、aaa001です。
※音読の丘は、家庭での音読の練習用として使ってください。
1.音読する文章が2つある場合は、最初の方の文章を音読してください。
2.はじめに、音声入力を始めるのボタンを押してください。
3.音読が終わったら音声入力を止めるのボタンを押してください。
4.音声入力を止めたあと、結果を送信するのボタンを押してください。



 ミイラ取りがミイラになる

 【1】ミイラを取りにいった人が、目的(もくてき)をはたせずに、自分もそこで死んでミイラになってしまうこと。そこから、帰ってこない人をつれもどしにいった人が、自分もそこにとどまってしまって、帰ってこないことをいうよ。【2】また、相手を説得(せっとく)しようとした人が、かえって相手とおなじ考えになってしまう、という意味にもなる。
 「ミイラ」って知ってるよね。乾燥(かんそう)したまま、長いあいだ元の形をたもった死体のことだ。死体の水分が、五〇パーセント以下(いか)になるとできる。【3】高い温度で乾燥(かんそう)した場所とか風とおしのいい場所の死体は、ミイラになりやすいんだって。
 古代エジプトでは、人工的(てき)にミイラを作った。王様などが死んで三千年たつと、その人の霊魂(れいこん)が肉体にもどってきて死んだ人は復活(ふっかつ)すると信じ(しん )られていたんだ。【4】だから、死んだ王様はかならずミイラにした。死者が旅をしているあいだも、王様らしく生活するため、王族やけらいはもちろんのこと、愛犬(あいけん)までミイラにしたんだよ。東アフリカのブガンダ王国(現(げん)ウガンダ共和(きょうわ)国)、オーストラリアの原住民(げんじゅうみん)、アメリカインディアンなども、死者のミイラ作りをやったよ。【5】日本では、岩手県の中尊寺(ちゅうそんじ)にある藤原清衡(ふじわらのきよひら)のミイラが有名だ。
 中世から十八世紀(せいき)のヨーロッパでは、このミイラが〈医薬品〉としてもてはやされた。ミイラをくだいて粉(こな)にしたものを、けがした人や病気の人にのませると、とてもききめがあるといわれた。【6】ミイラ作りには、瀝青(れきせい)(アスファルト、石油、天然(てんねん)ガスなどの炭化水素(すいそ)化合物をまとめていった言葉)など炭化水素(すいそ)の化合物が使われているので、万病にきく薬になるとされたんだ。
 【7】そのうち、ききめは「死体自身」にあるといわれ、重罪(じゅうざい)人や自殺(じさつ)者の死体をとってきて、にせの「ミイラ」を作るようになった。でもね、ほんとは「ミイラ」には医薬品としてのききめはないんだって。医師(いし)たちがなんども警告(けいこく)したけど、ミイラの貿易(ぼうえき)や薬の販売(はんばい)は十八世紀(せいき)までつづけられたんだ。
 【8】日本には、十六世紀(せいき)に薬品〈ミルラ〉として輸入(ゆにゅう)された。打ち身や傷(きず)に、この薬をのむととてもききめがあると、古い本にも書いてある。このミルラ(ポルトガル語)がなまって、ミイラという語になった。
 【9】ミイラは高価(こうか)な薬品だ。見つけて手に入れると、たくさんお金がもうかる。そのため、ヨーロッパでも日本でも、危険(きけん)を知りながら「ミイラ取り」にいった人がたくさんいたらしい。たとえばエジプトでは、ピラミッドの奥(おく)まではいって、そのままもどれなかった人がたくさんいた。【0】日本でも、墓(はか)の深い穴(あな)にはいりこんで、でられずに死んだ人が多かったという。ことわざは、そんなところからうまれたと思われるよ。

 「常識(じょうしき)のことわざ探偵(たんてい)団(だん)」(国松(くにまつ)俊英(としひで)著(ちょ) フォア文庫)より