未ログイン ログイン
音読の丘
 音読で、読む力、書く力が育つ。
 オンドリくんの 音読の丘
※最初にログインをしてください。言葉の森の団体コードは、aaa001です。
※音読の丘は、家庭での音読の練習用として使ってください。
1.音読する文章が2つある場合は、最初の方の文章を音読してください。
2.はじめに、音声入力を始めるのボタンを押してください。
3.音読が終わったら音声入力を止めるのボタンを押してください。
4.音声入力を止めたあと、結果を送信するのボタンを押してください。



どんぐりの背(せい)比べ(くら )

 【1】どんぐりは、どれも形や大きさがおなじようで、一つ一つのちがいはよくわからない。そこから、人間をくらべる時に、みんなおなじようでとくにすぐれたものがいないことをいう。
 このことわざは、平凡(へいぼん)なものばかりをくらべる時に使い、すぐれたものをくらべる時には使わない。【2】クラスの成績(せいせき)で、上位(じょうい)のものは力がそろっていて、だれが一位(い)か二位(い)かわからないような時には、「どんぐりの背(せい)比べ(くら )」とはいわない。どうしてことわざに「どんぐり」がでてきたんだろう?
 それは、どんぐりがとてもありふれた木の実だからだ。【3】どんぐりは、特定(とくてい)の木の実じゃない。ブナ科ナラ属(ぞく)の木になる実は、みんなどんぐりだ。つまり、カシ、クヌギ、コナラ、ミズナラ、カシワ、といった木になる実はぜんぶ「どんぐり」とよぶんだ。【4】木の種類(しゅるい)はちがい、幹(みき)や葉の形などはちがっても、その木にできたどんぐりをくらべてみると、みんな似(に)ているように見える。そこから、このことわざがうまれたと思われるよ。
 ところで、宮沢(みやざわ)賢治(けんじ)という人が書いた童話に「どんぐりと山猫(やまねこ)」というのがある。【5】作品のなかみは、このことわざとつながるところがあるよ。
 ――ある日、一郎(いちろう)のところに、おかしなはがきがきた。それは山ねこからのもので、あした、めんどうな裁判(さいばん)をするからきてくれ、と書いてあった。
 【6】つぎの日、一郎(いちろう)は、谷川にそって、くりの木、滝(たき)、きのこ、りすなどに道を聞きながら、どんどん山の中に入っていった。そしてかやの森への坂道をのぼると、ぽっかりと草地がひらけていて、そこに山ねこがあらわれた。
 【7】そこへ、赤いズボンをはいたどんぐりが、いっぱい飛びだし(と   )てきた。どんぐりたちは、だれがいちばんえらいかをあらそっていて、山ねこに裁判(さいばん)してもらっていたのだ。頭がとがったのがいちばんえらいとか、丸いのがえらいとか、大きいのがえらいとか、口ぐちにいいはる。【8】もう三日も裁判(さいばん)をやってるのに、ちっともおさまらないのだった。
 その日も、みんな自分がいちばんえらいといい、わけがわからなくなってしまった。山ねこはどうしたらいいかをたずね、一郎(いちろう)はこたえた。
【9】「この中で、いちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなってないようなのがいちばんえらい、といったらどうでしょう。」
 山ねこは、そのとおりどんぐりたちに申しわたした。すると、どんぐりたちはしいんとして、だれもなにもいわなくなった。【0】裁判(さいばん)はおわった。山ねこは大よろこびで、お礼に金のどんぐりを一升(しょう)くれたのだった。

 「常識(じょうしき)のことわざ探偵(たんてい)団(だん)」(国松(くにまつ)俊英(としひで)著(ちょ) フォア文庫)より