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音読の丘
 音読で、読む力、書く力が育つ。
 オンドリくんの 音読の丘
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※音読の丘は、家庭での音読の練習用として使ってください。
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 誰(だれ)だって失敗(しっぱい)なんかしたくない。 
 失敗(しっぱい)することははずかしいことだと思っている。だから、なるべくなら失敗(しっぱい)しないように、細心の注意をはらう。 (中略(ちゅうりゃく))
 失敗(しっぱい)することは、そんなに悪いことなんだろうか。そんなにはずかしいことなんだろうか。 
 私(わたし)のところにアルバイトにきてくれていた女の子は、とても優秀(ゆうしゅう)で、なにをしても完ぺき(かん  )に近い仕事ぶりだった。 
 そんな彼女(かのじょ)だから、たまには小さなミスでもして、注意されたりすると、さぁたいへん、全然(ぜんぜん)たいしたことでもないのに、ぽろぽろと涙(なみだ)を流し、その日は一日中落ちこんでいる。 
 これでは注意したほうもたまらない。「これ、まちがってるんじゃない?」と言い、「あっ、そうか。いっけなーい」ですんじゃう会話が、突然(とつぜん)泣き(な )だされ、あげくにしょんぼりされてしまってはなにも言えなくなってしまう。 
 実際(じっさい)、おこられることを極端(きょくたん)に恐れる(おそ  )人がいる。おこられると思っただけで心臓(しんぞう)がとまりそうになったり、じんわりと涙(なみだ)がうかんできたり……。必要(ひつよう)以上(いじょう)に反発する人もいる。そういう人たちは、心のどこかで、自分がおこられるようなことをするはずがない、おこられたりする自分はゆるせない、と思っているのではないだろうか。 
 私(わたし)が出版(しゅっぱん)社で働い(はたら )ていたころ、おこられない日は一日もなかった。 
 作業がおそいといってどなられ、センスがないといってののしられ、ミスでもしようものなら、「バカヤロー」と大きな雷(かみなり)が落ちた。 いちいち気にしていたり、落ちこんでいたりしたら、三日もつづかなかっただろうと思う。 
 もちろん、あまりおこられるので、自分はこの仕事にむいていないのではないかと、けっこう真剣(しんけん)に悩ん(なや )だこともあったけれど、なにより、それでもこの仕事が好き(す )、という気もちが優先(ゆうせん)した。 
 それなら、おこられるにしても、おなじことでおこられないようにしよう。そのための改善(かいぜん)策(さく)を考えるしかない。
 作業がおそいのは、手順(てじゅん)が悪いせいではないか。センスが悪いといわれるのは、想像(そうぞう)力がかけているからではないか。ミスが多いのは、あせりながらとりかかっているせいではないか……。 
 おこられるポイントを、ひとつずつ整理して考えていくと、案外(あんがい)挽回(ばんかい)できるものだ。少しずつだけど、おこられる回数もへってくる。あげく、私(わたし)のことをどなりつづけた雷(かみなり)オヤジから、こう言われた。 
「おまえって、ほんとにおこりがいのあるやつだな。おまえみたいなのをおこるのは、楽しくってしかたがない」 
「どういうことですか!」 
 さすがにむっとなる。人の気も知らないで、楽しいとはなにごとか。 
「あのな。よーくおぼえておけよ。人はおこられなくなったら終わりだ。おこられることは自分をのばすチャンスなんだ。だから、おこられなくなったら、自分が見はなされたか期待されていないと思え」 
 彼(かれ)はそう答えた。それから、私(わたし)もだんだん年をかさねて、人に注意する立場になったとき、彼(かれ)が言ったことの意味がよくわかった。 
 こちらが注意して、すぐに泣い(な )たり、落ちこんだり、言いわけばかりする人のことは、もう二度と注意なんてしたくないと思う。 
 それより、多少優秀(ゆうしゅう)じゃなくっても、おこられたことを逆手(さかて)にとってがんばる人のほうに注目する。そしてそういう人のほうが、確実(かくじつ)にのびるのだ。 
 なぜ失敗(しっぱい)したのか。どうしておこられたのか。 
 その理由を考え、それじゃぁこうしてみようと思うからこそ、つぎにつながる。そうして成長(せいちょう)していくのではないだろうか。 

(倉橋(くらはし)耀子(ようこ)「くよくよしないで、笑っ(わら )ちゃえ!」)