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音読の丘
 音読で、読む力、書く力が育つ。
 オンドリくんの 音読の丘
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※音読の丘は、家庭での音読の練習用として使ってください。
1.音読する文章が2つある場合は、最初の方の文章を音読してください。
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 授業(じゅぎょう)参観(さんかん)日だといって、こんなにきんちょうしたことは、いままでになかった。亜紀(あき)は、国語の教科書をつくえの上にだして、大きく深呼吸(しんこきゅう)した。それから、ちらりとうしろをふりかえった。
 教室のうしろには、もう五、六人のお母さんたちがたっていた。
(あ、エミーのパパだ)
 ちょうど、うしろのドアからはいってきた背(せ)の高い男の人が、絵美のパパだった、亜紀(あき)は、この日のために国語の特訓(とっくん)につきあって、なんどか絵美の家へいっていたので、すぐにわかった。
 きょうの授業(じゅぎょう)は、絵美がこのまま桜本(さくらもと)小学校にのこるか、アメリカンスクールへいかなければならないかがきまるだいじな授業(じゅぎょう)だ。
(どうか、エミーのパパのまえで、特訓(とっくん)の成果(せいか)がでますように)
と、亜紀(あき)はいのるような気もちだった。
『ことわざと生活』のところは、声をだして何回よんだだろう。きのうは、亜紀(あき)も声がかれるくらい、絵美といっしょに練習した。ことわざも、たくさんおぼえた。
 亜紀(あき)は、絵美が気になって、なんどもふりかえってみた。絵美は、しんけんな顔つきで教科書をひらいていた。あまり亜紀(あき)がうしろをむくのでいつのまにかきていた亜紀(あき)のママが、黒板をさして、「まえをむいていなさい」というしぐさをした。
 教室のうしろが、お父さんやお母さんでいっぱいになったころ、パリッとした背広(せびろ)をきた先生が入ってきた。
「えー、きょうは、十三ページの『ことわざと生活』を勉強します。みんな、どんなことわざを知っているかな?」
 いつもは、わかっていても手をあげない人がおおいのに、授業(じゅぎょう)参観(さんかん)の日は、みんながいっせいに手をあげる。亜紀(あき)も手をあげた。それから、もういちど、絵美をふりかえると、絵美もまっすぐに手をあげていた。
 何人かが、知っていることわざを発表したあと、先生は、
「そうだね、それでは、教科書をよんでみようか」
と、教室をみまわした。
「中山さん、よんでみて」
 まず、亜紀(あき)があてられ、それから、くぎりのよいところできりながら、六人が順番(じゅんばん)によみすすめた。そして、やっと、
「それでは、つぎは、高田さん」
と、絵美の名まえがよばれた。
「はい」
 絵美は、はっきりとへんじをしてたった。そして、大きな声でゆっくりと教科書をよんでいった。はじめは、少し声がふるえた。
 亜紀(あき)は、自分のときよりハラハラして、教科書の文字を目でおった。
「ですから、ことわざは……」
 絵美の声がつまった。
「ことわざは……」
 亜紀(あき)は心の中で、
「ニチジョウ、ニチジョウ!」
と、漢字のよみかたをさけんでいた。絵美が、ちょっと考えて、
「日常(にちじょう)の生活のなかに……」
と、つづけたときは、ほっとした。

(松浦(まつうら)とも子「ライバルは転校生」)