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音読検定
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 音読検定

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2026/9/22

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 授業じゅぎょう参観さんかん日だといって、こんなにきんちょうしたことは、いままでになかった。亜紀あきは、国語の教科書をつくえの上にだして、大きく深呼吸しんこきゅうした。それから、ちらりとうしろをふりかえった。
 教室のうしろには、もう五、六人のお母さんたちがたっていた。
(あ、エミーのパパだ)
 ちょうど、うしろのドアからはいってきたの高い男の人が、絵美のパパだった、亜紀あきは、この日のために国語の特訓とっくんにつきあって、なんどか絵美の家へいっていたので、すぐにわかった。
 きょうの授業じゅぎょうは、絵美がこのまま桜本さくらもと小学校にのこるか、アメリカンスクールへいかなければならないかがきまるだいじな授業じゅぎょうだ。
(どうか、エミーのパパのまえで、特訓とっくん成果せいかがでますように)
と、亜紀あきはいのるような気もちだった。
『ことわざと生活』のところは、声をだして何回よんだだろう。きのうは、亜紀あきも声がかれるくらい、絵美といっしょに練習した。ことわざも、たくさんおぼえた。
 亜紀あきは、絵美が気になって、なんどもふりかえってみた。絵美は、しんけんな顔つきで教科書をひらいていた。あまり亜紀あきがうしろをむくのでいつのまにかきていた亜紀あきのママが、黒板をさして、「まえをむいていなさい」というしぐさをした。
 教室のうしろが、お父さんやお母さんでいっぱいになったころ、パリッとした背広せびろをきた先生が入ってきた。
「えー、きょうは、十三ページの『ことわざと生活』を勉強します。みんな、どんなことわざを知っているかな?」
 いつもは、わかっていても手をあげない人がおおいのに、授業じゅぎょう参観さんかんの日は、みんながいっせいに手をあげる。亜紀あきも手をあげた。それから、もういちど、絵美をふりかえると、絵美もまっすぐに手をあげていた。
 何人かが、知っていることわざを発表したあと、先生は、
「そうだね、それでは、教科書をよんでみようか」
と、教室をみまわした。
「中山さん、よんでみて」
 まず、亜紀あきがあてられ、それから、くぎりのよいところできりながら、六人が順番じゅんばんによみすすめた。そして、やっと、
「それでは、つぎは、高田さん」
と、絵美の名まえがよばれた。
「はい」
 絵美は、はっきりとへんじをしてたった。そして、大きな声でゆっくりと教科書をよんでいった。はじめは、少し声がふるえた。
 亜紀あきは、自分のときよりハラハラして、教科書の文字を目でおった。
「ですから、ことわざは……」
 絵美の声がつまった。
「ことわざは……」
 亜紀あきは心の中で、
「ニチジョウ、ニチジョウ!」
と、漢字のよみかたをさけんでいた。絵美が、ちょっと考えて、
日常にちじょうの生活のなかに……」
と、つづけたときは、ほっとした。

松浦まつうらとも子「ライバルは転校生」)