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音読の丘
 音読で、読む力、書く力が育つ。
 オンドリくんの 音読の丘
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※音読の丘は、家庭での音読の練習用として使ってください。
1.音読する文章が2つある場合は、最初の方の文章を音読してください。
2.はじめに、音声入力を始めるのボタンを押してください。
3.音読が終わったら音声入力を止めるのボタンを押してください。
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 身近な自然(しぜん)はありふれているだけに、失っ(うしな )てからでないとたいせつさに気づかないという矛盾(むじゅん)をかかえています。それだけでなく、高度成長(せいちょう)の時代には、住民(じゅうみん)自らが望ん(のぞ )で遠ざけたのです。
 親しみやすい等身大の自然(しぜん)も、油断(ゆだん)すると大敵(たいてき)に変身(へんしん)します。裸足(はだし)で小川に入ると、ガラスの破片(はへん)やとがった岩で足を切るし、まれにはおぼれて命をとられることもあります。淀川(よどがわ)などすこし大きくなると、不思議(ふしぎ)にもあきらめが先に立ちます。しかし等身大の小川やため池になると、くやしさがまさり、だれかに怒り(いか )をぶつけたくなり、裁判(さいばん)に訴える(うった  )ケースが増え(ふ )てきました。
 民主(みんしゅ)主義(しゅぎ)がみんなのものになり、泣き寝入り(な ねい )しないで行政(ぎょうせい)の責任(せきにん)を問う市民(しみん)が増え(ふ )たこと、裁判所(さいばんしょ)が行政(ぎょうせい)責任(せきにん)をきびしく問い、住民(じゅうみん)が勝訴(しょうそ)するばあいがあったことは評価(ひょうか)できます。しかし地域(ちいき)住民(じゅうみん)が参加(さんか)しないで、後の対策(たいさく)を行政(ぎょうせい)だけに負わせる結果(けっか)になったことは、いまから考えると大きな矛盾(むじゅん)を生みだしていたのです。
 淀川(よどがわ)など大きな川にはない金網(かなあみ)が、小さな川に張ら(は )れてしまいました。落ちたりけがをすることは確か(たし )に少なくなりましたが、反面で身近な自然(しぜん)を生活の場から遠ざけることになってしまいました。子どもの遊び場でなくなると、とうぜん関心(かんしん)がうすれます。自転車や単車(たんしゃ)が捨て(す )られていても長いあいだそのままになっていますし、雑草(ざっそう)も年一回刈り取ら(か と )れるくらいなので景観(けいかん)もよくありません。家庭排水(はいすい)の捨て(す )場になり、汚れ(よご )てくると埋(うめ)立てて道路にしたほうがいいということになり、小さな川が街(まち)のなかから消えていきました。
 思わぬところで矛盾(むじゅん)が頭をもたげます。十年ほど前、子供(こども)会で遠足に行ったとき、就学(しゅうがく)前の女の子がなにかにつまずいて倒れ(たお )ました。手が出ず顔をまともに地面にぶつけたのです。本能(ほんのう)で手が出るのではなく、戸外で遊びながら身につける運動能力(のうりょく)の一つだったのです。最近(さいきん)は小学生にもいるとの報道(ほうどう)がありました。
 ある衛星(えいせい)都市の保育(ほいく)所では、すこし手足にけがをすると、もうれつに怒る(おこ )お母さんがいるそうです。理屈(りくつ)上はけがをさせたことになるので、責任(せきにん)を問われると対応(たいおう)せざるをえません。朝来園したとき、家でついた傷(きず)か否(いな)かのチェックをしなければならなくなったそうです。家庭での生活能力(のうりょく)がおとろえるにしたがって増え(ふ )てきた遅刻(ちこく)指導(しどう)がエスカレートして、生徒(せいと)を殺し(ころ )てしまった状況(じょうきょう)と似(に)ています。「すみません」ですまない世界がどんどんひろがりつつあるようです。

(森住明弘(あきひろ)「環境(かんきょう)とつきあう50話」)