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音読の丘
 音読で、読む力、書く力が育つ。
 オンドリくんの 音読の丘
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※音読の丘は、家庭での音読の練習用として使ってください。
1.音読する文章が2つある場合は、最初の方の文章を音読してください。
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 【1】例えば市町村で残酷(ざんこく)な仕打ちをしている地方警察の暴力行為(こうい)のようなものから、IMF(国際通貨基金)やG7、世界銀行といった総合的な中枢(ちゅうすう)機構に至る、政治を操って、社会の基本的政策を決定する組織まで。【2】まず大切なことはそういう組織が存在しているということを認識し、そしてそれらと戦うということさ。――レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン「機械に抗する(こう  )怒り(いか )」とでも訳すことのできる、このロックバンドは、たかだかまだ二枚のアルバムをリリースしたにすぎない。【3】だが、彼ら(かれ )は文字通り、怒り(いか )を発し続けているバンドである。アメリカン・インディアンの男性で、FBIの捜査(そうさ)官を殺害した容疑で長期拘留(こうりゅう)されているレナード・ぺルティエや、【4】元ブラック・パンサーのメンバーで黒人ジャーナリストのマミア・アブジャーマルの解放のために活動し、ネオナチ反対のコンサートを開いたり、あるいは、コンサート会場で売られる高すぎるTシャツに抗議(こうぎ)し、検閲(けんえつ)制度にプロテストしたりもする。【5】ただやみくもに抗議(こうぎ)しているだけではないか、と言うのならば、その通りと答えなければならぬかもしれない。【6】あらゆる権力、あらゆる制度に対して否定の行動を起こすことこそロックであるとする、書いていて思わず赤面するほどの古くさいロックの定義を今でも信じているバンドにすぎないのではないか、と言われれば、彼ら(かれ )がある意味でストレートすぎるほどの政治的なメッセージを隠そ(かく )うとしないハードロックバンドであることは認めなければならないだろう。
 【7】だが彼ら(かれ )にはアクチュアリティがある。
 アメリカやヨーロッパの社会が抱える(かか  )諸問題のうち、主として若者層の病巣と考えられる幾つ(いく )かの問題に対して、彼ら(かれ )はその切迫(せっぱく)した事態を正確に感受している。【8】そして事態に抗議(こうぎ)する歌詞を書き、轟音(ごうおん)の中に挿入(そうにゅう)し、アルバムをリリースするという戦略を実践(じっせん)しているのである。事実、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンほど戦略的なバンドはいない。【9】それはあらゆる文化は政治的であるというテーゼを、強く彼ら(かれ )が信じているからである。「文化そのものが政治的だということを否定しないということは、とても重要なことだと思う」と彼ら(かれ )は語っている【0】自分たちの音楽それ自体がすでに一個の政治であり、抗議(こうぎ)する対象もまた政治である。ここで私たちが注目しなければならないのは、戦う相手である政治が、「機械」と名指されていることだ。バンド名は虚飾(きょしょく)ではない。権力の末端(まったん)で起こる暴力から、権力の中枢(ちゅうすう)神経である総合的な組織化まで、すべてが「機械」と呼ばれているのである。ここでの「機械」は国家と等号で結ばれる存在ではない。そうした枠組み(わくぐ )では捉え(とら )られぬ、私たちの首をじわじわと締めつける(し    )、ごく具体的であり、同時に、捉え(とら )どころのない途方(とほう)もない拡がりを待った存在こそが、「機械」と名づけられている。(中略)
 ちょうど百年前になる。ヴァレリー()は一九世紀末、こんなことを書いている。「方法」が制覇(せいは)するのだ、と。方法は、個人の自由な裁量権の及ぶ(およ )範囲(はんい)を狭め(せば )てゆく。いや、その範囲(はんい)を限りなくゼロに近づけてゆくことこそが、「方法」の理想なのである。(中略)
 「方法」は誰(だれ)にとっても反復可能なものであり、いかなる人間でもその「方法」さえ用いれば、同一の結果に到達(とうたつ)する。このとき「方法」を用いる側の個体性も、破壊(はかい)される。優秀(ゆうしゅう)な人間の施す(ほどこ )術が、優秀(ゆうしゅう)な結論を招来するという、神話が崩壊(ほうかい)するのである。英雄(えいゆう)と呼ぶに相応しい大文字の個人などいなくなり、均質化した個人だけがまるで砂漠(さばく)の砂のようにあらゆる領域を埋め(う )尽くす(つ  )ような事態――。「模倣(もほう)可能なものだけ模倣(もほう)されれば凡庸(ぼんよう)な後継(こうけい)者の手段を増やすだけ」のものが、方法としてそこにあり、次第に世界はこうした「方法」に制覇(せいは)されることになるだろう、とヴァレリー()は予言していた。(中略)ここで語られる「方法」は、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが語っていた「機械」と同じである、と私は思う。あらゆる機構の細部にまで浸透(しんとう)し切った「機械」こそが、私たちから個体性を剥奪(はくだつ)する「方法」にほかならない。

(陣()野後史「機械に憑かれ(つ  )、そして抗(こう)する」)