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音読の丘
 音読で、読む力、書く力が育つ。
 オンドリくんの 音読の丘
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※音読の丘は、家庭での音読の練習用として使ってください。
1.音読する文章が2つある場合は、最初の方の文章を音読してください。
2.はじめに、音声入力を始めるのボタンを押してください。
3.音読が終わったら音声入力を止めるのボタンを押してください。
4.音声入力を止めたあと、結果を送信するのボタンを押してください。



 【1】鯨(くじら)や象は、人の「知性」とはまったく別種の「知性」を持っているのではないか? という疑問である。
 【2】この疑問は、最初、水族館に捕らえ(と  )られたオルカ(シャチ)やイルカに芸を教えようとする調教師や医者、心理学者、その手伝いをした音楽家、鯨(くじら)の脳に興味を持つ大脳生理学者たちの実体験から生まれた。
 【3】彼ら(かれ )が異口同音に言う言葉がある。それは、オルカやイルカは決して、ただ餌(えさ)がほしいために本能的に芸をしているのではない、ということである。
 彼ら(かれ )は捕らわれ(と   )の身となった自分の状況(じょうきょう)を、はっきり認識している、という。【4】そして、その状況(じょうきょう)を自ら受け入れると決意した時、初めて、自分とコミュニケーションしようとしている人間、さしあたっては調教師を喜ばせるために、そして、自分自身もその状況(じょうきょう)の下で、精一杯(せいいっぱい)生きることを楽しむために「芸」と呼ばれることを始めるのだ。(中略)
 【5】たとえば、体長七メートルもある巨大(きょだい)なオルカが狭い(せま )プールでちっぽけな人間を背ビレにつかまらせたまま猛(もう)スピードで泳ぎ、プールの端(はし)にくると、手綱(たづな)の合図もなにもないのに自ら細心の注意を払っ(はら )て人間が落ちないようにスピードを落としてそのまま人間をプールサイドに立たせてやる。(中略)【6】こんなことが果たして、ムチと飴(あめ)による人間の強制だけでできるだろうか。ましてオルカは水中にいる七メートルの巨体(きょたい)の持ち主なのだ。
 そこには、人間の強制ではなく、明らかに、オルカ自身の意志と選択(せんたく)が働いている。
 【7】狭い(せま )プールに閉じ込め(と こ )られ、本来持っている超(ちょう)高度な能力の何万分の一も使えない苛酷(かこく)な状況(じょうきょう)に置かれながらも、自分が「友」として受け入れることを決意した人間を喜ばせ、そして自分も楽しむオルカの「心」があるからこそできることなのだ。
 【8】また、こんな話もある。人間が彼ら(かれ )に何かを教えようとすると、彼ら(かれ )の理解能力は驚く(おどろ )べき速さだそうだけれども、同時に、彼ら(かれ )もまた人間に何かを教えようとする、というのだ。
 【9】フロリダの若い学者が、一頭の雌(めす)イルカに名前をつけ、それを発音させようと試みた。イルカと人間では声帯が大きく異なるので、なかなかうまくいかなかった。それでも、少しうまくいった時にはその学者は頭を上下にウンウンと振っ(ふ )た。【0】二人(一人と一頭か)の間では、その仕草が互いに(たが  )了解(りょうかい)した、という合図だった。何度も繰り返し(く かえ )ているうちに、学者は、そのイルカが自分の名とは別のイルカ語のある音節を同時に繰り返し(く かえ )発音するのに気がついた。しかしそれが何を意味するのかはわからなかった。そしてある時、ハタと気づいた。「彼女(かのじょ)は私にイルカ語の名前をつけ、それを私に発音せよ、と言っているのではないか」、そう思った彼(かれ)は、必死でその発音を試みた。
 自分でも少しうまくいったかな、と思った時、なんとその雌(めす)イルカはウンウンと頭を振り(ふ )、とても嬉し(うれ )そうにプール中をはしゃぎまわったというのだ。
 鯨(くじら)や象が高度な「知性」を持っていることは、たぶん間違い(まちが )ない事実だ。
 しかし、その「知性」は、科学技術を進歩させてきた人間の「知性」とは大きく違う(ちが )ものだ。人間の「知性」は、自分にとっての外界、大きく言えば自然をコントロールし、意のままに支配しようとする、いわば「攻撃(こうげき)性」の「知性」だ。この「攻撃(こうげき)性」の「知性」をあまりにも進歩させてきた結果として、人間は大量殺戮(さつりく)や環境(かんきょう)破壊(はかい)を起こし、地球全体の生命を危機に陥れ(おとしい )ている。
 これに対して鯨(くじら)や象の持つ「知性」は、いわば「受容性」の知性とでも呼べるものだ。彼ら(かれ )は、自然をコントロールしようなどとは一切思わず、その代わり、この自然の持つ無限に多様で複雑な営みを、できるだけ繊細(せんさい)に理解し、それに適応して生きるために、その高度な「知性」を使っている。
 だからこそ彼ら(かれ )は、我々人類よりはるか以前から、あの大きなからだでこの地球に生きながらえてきたのだ。同じ地球に生まれながら、と私は思っている。
 (龍()村仁「地球(ガイア)の知性」による)