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音読検定
 楽しくできる音読で、読む力、考える力が育つ。
 音読検定

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2026/9/22

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 【1】くじらや象は、人の「知性」とはまったく別種の「知性」を持っているのではないか? という疑問である。
 【2】この疑問は、最初、水族館に捕らえと  られたオルカ(シャチ)やイルカに芸を教えようとする調教師や医者、心理学者、その手伝いをした音楽家、くじらの脳に興味を持つ大脳生理学者たちの実体験から生まれた。
 【3】彼らかれ が異口同音に言う言葉がある。それは、オルカやイルカは決して、ただえさがほしいために本能的に芸をしているのではない、ということである。
 彼らかれ 捕らわれと   の身となった自分の状況じょうきょうを、はっきり認識している、という。【4】そして、その状況じょうきょうを自ら受け入れると決意した時、初めて、自分とコミュニケーションしようとしている人間、さしあたっては調教師を喜ばせるために、そして、自分自身もその状況じょうきょうの下で、精一杯せいいっぱい生きることを楽しむために「芸」と呼ばれることを始めるのだ。(中略)
 【5】たとえば、体長七メートルもある巨大きょだいなオルカが狭いせま プールでちっぽけな人間を背ビレにつかまらせたままもうスピードで泳ぎ、プールのはしにくると、手綱たづなの合図もなにもないのに自ら細心の注意を払っはら て人間が落ちないようにスピードを落としてそのまま人間をプールサイドに立たせてやる。(中略)【6】こんなことが果たして、ムチとあめによる人間の強制だけでできるだろうか。ましてオルカは水中にいる七メートルの巨体きょたいの持ち主なのだ。
 そこには、人間の強制ではなく、明らかに、オルカ自身の意志と選択せんたくが働いている。
 【7】狭いせま プールに閉じ込めと こ られ、本来持っているちょう高度な能力の何万分の一も使えない苛酷かこく状況じょうきょうに置かれながらも、自分が「友」として受け入れることを決意した人間を喜ばせ、そして自分も楽しむオルカの「心」があるからこそできることなのだ。
 【8】また、こんな話もある。人間が彼らかれ に何かを教えようとすると、彼らかれ の理解能力は驚くおどろ べき速さだそうだけれども、同時に、彼らかれ もまた人間に何かを教えようとする、というのだ。
 【9】フロリダの若い学者が、一頭のめすイルカに名前をつけ、それを発音させようと試みた。イルカと人間では声帯が大きく異なるので、なかなかうまくいかなかった。それでも、少しうまくいった時にはその学者は頭を上下にウンウンと振っふ た。【0】二人(一人と一頭か)の間では、その仕草が互いにたが  了解りょうかいした、という合図だった。何度も繰り返しく かえ ているうちに、学者は、そのイルカが自分の名とは別のイルカ語のある音節を同時に繰り返しく かえ 発音するのに気がついた。しかしそれが何を意味するのかはわからなかった。そしてある時、ハタと気づいた。「彼女かのじょは私にイルカ語の名前をつけ、それを私に発音せよ、と言っているのではないか」、そう思ったかれは、必死でその発音を試みた。
 自分でも少しうまくいったかな、と思った時、なんとそのめすイルカはウンウンと頭を振りふ 、とても嬉しうれ そうにプール中をはしゃぎまわったというのだ。
 くじらや象が高度な「知性」を持っていることは、たぶん間違いまちが ない事実だ。
 しかし、その「知性」は、科学技術を進歩させてきた人間の「知性」とは大きく違うちが ものだ。人間の「知性」は、自分にとっての外界、大きく言えば自然をコントロールし、意のままに支配しようとする、いわば「攻撃こうげき性」の「知性」だ。この「攻撃こうげき性」の「知性」をあまりにも進歩させてきた結果として、人間は大量殺戮さつりく環境かんきょう破壊はかいを起こし、地球全体の生命を危機に陥れおとしい ている。
 これに対してくじらや象の持つ「知性」は、いわば「受容性」の知性とでも呼べるものだ。彼らかれ は、自然をコントロールしようなどとは一切思わず、その代わり、この自然の持つ無限に多様で複雑な営みを、できるだけ繊細せんさいに理解し、それに適応して生きるために、その高度な「知性」を使っている。
 だからこそ彼らかれ は、我々人類よりはるか以前から、あの大きなからだでこの地球に生きながらえてきたのだ。同じ地球に生まれながら、と私は思っている。
 (村仁「地球(ガイア)の知性」による)