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音読検定
 楽しくできる音読で、読む力、考える力が育つ。
 音読検定

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2026/9/22

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 【1】一人一人の話が、みなそれぞれに違っちが ているからこそ面白いのだが、その一人一人の違うちが 話を聞いているうちに、「宇宙飛行士たちは、やはりみんな、宇宙で、ある共通の体験をしているな。」と私は確信するようになった。
 【2】ただ、たぶんその共通体験は、ほとんど無意識のうちに、直観的になされるものだから、必ずしも彼らかれ 自身が認識しているとは限らない。地球に戻っもど てから宇宙体験の話をするとなると、どうしてもそこに、宇宙飛行士一人一人の、この地球での個人的な歴史や価値観、現在の環境かんきょうなどが関わってくる。【3】だから、話の表面のディテールが違っちが てくる。しかし、その表面的な違いちが にとらわれず、その話のおくに秘めたものを注意深く探ってみると、そこに共通体験が見えてくるのだ。
 【4】結論を先に言ってしまうなら、彼らかれ はみな、宇宙で『私』という個体意識が一気に取り払わと はら れるような体験をしている。
 この体験を最もわかりやすく話してくれたのは、アポロ9号の乗組員だったラッセル・シュワイカートだ。
 【5】かれが、月面着陸船のテストを兼ねか て宇宙遊泳している時のことだった。
 かれの宇宙空間での仕事ぶりを宇宙船の中から撮影さつえいするはずだったカメラが突然とつぜん故障し、動かなくなった。【6】撮影さつえい担当のマックデビッド飛行士は、シュワイカートに、そのまま何もせず五分間待つように言い残して宇宙船の中に消えた。
 シュワイカートに、突然とつぜんまったく予期しなかった静寂せいじゃくが訪れた。
 それまで、秒刻みでこなしていた任務が一切なくなってしまったのだ。
 【7】地上からの交信も途絶えとだ た。
 そして、真空の宇宙での完全な静寂せいじゃく
 かれは、ゆっくりとあたりを見回した。
 眼下には、真青に輝くかがや 美しい地球が拡がっている。
 視界をさえぎるものは一切なく、無重力のため上下左右の感覚もない。【8】自分はまるで生まれたままの素裸すっぱだかで、たった一人でこの宇宙のやみの中に漂っただよ ている、そんな気がした。
 突然とつぜん、シュワイカートの胸の中に、なにか言葉では言い表すことのできない熱く激しい奔流ほんりゅうのようなものが一気に流れ込んなが こ できた。【9】考えた、というのではなく、感じた、というのでもなく、その熱い何かが、一気にからだの隅々すみずみにまで満ちあふれたのだった。かれは、ヘルメットのガラス球の中で、わけもなく大粒おおつぶなみだを流した。この瞬間しゅんかんかれの心に、眼下に拡がる地球のすべての生命、そして地球そのものへの言い知れぬほどの深い連帯感が生まれた。
【0】「今、ここにいるのは『私』であって『私』でなく、すべての生きとし生ける者としての『我々』なんだ。それも、今、この瞬間しゅんかんに、眼下に拡がる、青い地球に生きるすべての生命、過去に生きたすべての生命、そして、これから生まれてくるであろうすべての生命を含んふく だ『我々』なんだ。」
 こんな、静かだが、熱い確信がかれの心の中に生まれていた。
 シュワイカートが宇宙空間で体験したこの『私』という個体意識から『我々』という地球意識への脱皮だっぴは、今、この地球に住むすべての人々に求められている。

 (龍村仁たつむらじんの文章による。)