ソーラーハウス 読解マラソン集 小3 春 1番
読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
省エネルギーという言葉を聞いたことがあるでしょう。部屋の電気をこまめに消したり、冷房や暖房の温度設定を控え目にしたり、エレベーターや自動車をやめて自分の足で歩くように心がけたりすることです。今は、身近な省エネルギーから広がって、社会全体で取り組んでいこうという運動になっています。
エネルギーを生みだすためには、もとになる資源が必要です。ちょうど私たち人間や動物が、歩いたり手を動かしたり喋ったりするために、食べ物をとるのと同じです。ところが、地球の資源には限りがありますから、ひとりひとりが節約をしていかなくてはなりません。 また、資源をエネルギーに変換するためには、要らないものを空気中に排出しなくてはなりません。二酸化炭素などの排出物は、大気汚染を引き起こし、やがては地球全体の気温を徐々にあげてしまいます。これが地球温暖化と呼ばれるもので、異常気象や農作物への影響、海水面の上昇、紫外線の問題など、さまざまな問題の原因となっています。人間だけでなく、すべての生き物の住みやすい環境を守るためにも、エネルギーの節約は必要なのです。 では、使ってもなくなる心配のないエネルギーはないのでしょうか。それは、身の回りに見つけることができます。冬の寒い日の猫は日の当たる明るい窓際で、いちばん温かそうな床の上に、幸せそうにまるくなってねむっています。猫は日向ぼっこの名人です。 このとき、猫の体の毛のあいだにさしこんだ太陽は、猫の毛の奥深くに入りこみ、熱に変化してほとんどが猫の体に吸収されています。とても効率のいい、太陽エネルギー活用の仕組みになっているのです。忙しいときに、よく猫の手も借りたいと言いますが、寒いときには、猫の毛も借りたいと言えるかもしれません。 この猫の日向ぼっこの原理を、私たちのくらしに活用したもの∵が、太陽熱温水器やソーラーハウスという住宅です。太陽のエネルギーを建物の中にとらえて、それでお風呂の温水をつくったり、温水で建物全体を暖房したりしています。 更に、ソーラーハウスが猫の日向ぼっこより一歩進んでいるところは、太陽のエネルギーを電気エネルギーに変えられることです。天気のいいときに発電した電気で、家の中の電化製品が使えます。あまった電気は、電力会社が買い取ってほかの家で使われます。科学の力を使っていくと、日向ぼっこのおすそ分けができるのです。 省エネルギーという節約の考え方から、エネルギーの変換という新しい考え方に目を向けると、さまざまな可能性が見えてきます。太陽のような自然のエネルギーから、より効率のよいエネルギーがもらえるように科学の研究は続いています。 日向ぼっこをしている猫も言っています。 「ソーラーエネルギーか。ソーラー、エエネエ。」 言葉の森長文作成委員会(μ) ![]()
コーヒーの歴史 読解マラソン集 小3 春 2番
読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
コーヒーは、世界で最も親しまれている飲み物のひとつです。世界中で、毎日二十億杯分ものコーヒーが消費されています。世界中で売り買いされるコーヒーの量は膨大で、その売上額は年間八兆円にも上ります。
このように世界中で親しまれているコーヒーですが、その歴史がアフリカに始まったことはあまり知られていません。コーヒーの木は、もともとエチオピアの高原に自生していました。コーヒーは、十五世紀までもっぱらアラビア半島でのみ栽培され、国外に持ち出すことはできませんでした。 十七世紀に、オランダ人がコーヒーの苗木をオランダ本国へ持ち込みました。そして十八世紀に、コーヒーの木は、フランスの国王ルイ十四世への贈り物として、フランスの植物園に送られました。当時、コーヒーの木は大変な貴重品でした。 やがて、フランスはコーヒーの栽培と輸出に乗り出そうとしますが、計画はことごとく失敗します。 あるとき、一人の海軍士官が、ひそかにコーヒーの苗木を持ち出し、カリブ海にある自分の農園で栽培しようと考えました。当時の船は帆船で、長い船旅の間に飲む水もなくなるほどでしたが、彼は自分の飲み水を苗木に分け与えて、ようやく農園にたどりつきました。 海を渡ったこの苗木は、その後、南北アメリカ諸国にコーヒーの栽培を広めるもととなりました。今では、八十もの国や地域で、推定百五十億本のコーヒーの木が栽培されています。 コーヒーの成分であるカフェインは、神経を興奮させる働きがあります。人間の体にはもともとドーパミンという物質があり、これは快感を感じるとたくさん分泌されます。このドーパミンの働きを抑制する物質がアデノシンで、人間は普段興奮と安静のバランスを∵とって暮らしています。ところが、カフェインはアデノシンと形が似ているので、アデノシンのかわりに先にドーパミンに結びついてしまい、そのためにコーヒーを飲むとドーパミンの興奮が続くようになります。子供のうち、コーヒーは控えた方がよいと言われるのはこのためです。 さて、コーヒー豆には、いろいろな種類があります。有名なところでは、ブルーマウンテン、モカ、コナ、キリマンジャロなどです。みなさんも大きくなったら、いろいろなコーヒーの味を飲み比べてみてはどんなモンジャロ。 言葉の森長文作成委員会(Μ) ![]()
ホタルの光 読解マラソン集 小3 春 3番
読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
毎年五月の終わりから七月にかけて、ホタルのすがたを見ることができます。夏の夜、水辺の草むらなどで、ホタルが光っているのを見た人もいるでしょう。ホタルは夕方、西の空がだんだん暗くなって星の光が見えはじめるころから、少しずつ光りはじめます。風がなくて空気が生あたたかい、月明かりのない夜には、特に多く飛ぶのが見られます。その光は幻想的で、多くの人の心をとらえてきました。ではホタルは、何のために光るのでしょうか。
ホタルの光は、恋人と知り合うための信号です。ホタルのオスとメスは、真っ暗な夜に相手がどこにいるのか探します。しかし暗闇の中では、お互いのすがたを見つけるのは大変です。そこでホタルは、光で合図を送って、相手のすがたを探し出すのです。 まず、オスが一生懸命光を出して、暗闇のどこかにいるメスに信号を送ります。それを草の陰から見て気に入ったメスは、自分も光を出して「オッケー」のサインを返します。そうしてオスはメスの光をたよりに、ゆらゆらと近づいて行くわけなのです。 このため、人間が懐中電灯でホタルを照らしたり、カメラのフラッシュをたいたりすると、ホタルは恋人がさがせなくなってしまうことがあります。 ホタルには、いろいろな敵がいます。クモもそのひとつです。ホタル見物に行って、光りっぱなしで少しも位置の変わらないホタルは、たいていクモの巣にひっかかったホタルです。 川の汚れや農薬によって年々数を減らしてきたホタルですが、人間の力でホタルを復活させる試みも各地で行われています。ホタルのえさになるカワニナは清流で育つので、川をきれいにすることが最初の仕事です。ホタルの棲める自然を取り戻すことが、人間にとっても住みよい世界を作ることなのです。 「ところで、ホタルさんの好きなカワニナはどこにいるんですか。」 「きれいな川にな。」∵ 言葉の森長文作成委員会(γ) ![]()
体の軽い鳥 読解マラソン集 小3 春 4番
読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
大昔の鳥の祖先は、ほかの動物と同じように四本足を使って歩いていました。長い年月のあいだに、前足が翼に進化し、今のように空を飛べるようになったのです。鳥は、爬虫類の仲間から進化してきたので、トカゲの前足の骨組みと鳥の翼の骨組みは、たいへんよく似ており、この二つをくらべると、前足が翼に変わったことがよくわかります。また、前足だけではなく、体をおおっている羽毛の一部も翼に変わりました。風に向かって進むと、何枚も重なった風切羽によって、鳥は体を空中に浮かせることができます。
しかし、翼だけがいくら立派でも、飛ぶことはできません。翼を動かす部分も大事です。鳥の胸の骨には大きな出っ張りがあり、船底のような形をしています。そこに、翼をはばたかせる筋肉がついています。鳥の胸の筋肉は、たいへん発達しており、この筋肉の力で大きな翼をはばたかせることができます。 自由に空を飛ぶためには、体が重くてはいけません。普通、体を作っているもので、いちばん重いのは骨です。そこで鳥の骨は、竹のように中が空洞になっていたり、スポンジのようにスカスカになっているなど、体を軽くするための工夫が見られます。しかし、スカスカの骨といっても、すぐ折れてしまうような弱いものではなく、たいへんかたくて丈夫にできています。 また、体全体を軽くするために、骨の数も少なくなっています。あごの骨は歯と一緒になって、くちばしに変わりました。歯がないため、鳥は食べ物をすべて丸のみにしてしまいます。「鵜のみ」にするのは、鵜だけではなかったということです。ただ、そのままではたいへん消化が悪いので、おなかの中で食べた物を砕くことができるようになっています。その役目をするのが砂肝です。砂肝は砂嚢とも呼ばれ、その名のとおり砂が入っています。砂粒によって∵食べ物をすりつぶすのです。 変わっているのはくちばしだけではありません。背骨の数も少なくなっていて、しかも棒のようにまっすぐです。首が自由に動くのに比べて、背骨は自由な動きがほとんどできません。羽づくろいをする鳥を見ると、体全体をひねることができないので、首だけをぐるりとうしろに回しています。しかし、そのおかげで、空を飛ぶときに体が安定する上、離着陸の衝撃から体全体が守られるようになったのです。 体を軽くしなくてはいけない一方で、鳥は飛ぶために多くのエネルギーを必要とし、どんどん食べ物を食べなくてはなりません。そこで鳥は、食べてすぐエネルギーに変わるような食物をとるようになりました。多くの鳥は草食ではなく肉食です。植物性のものを食べる鳥もいますが、種子や果実など、すぐにエネルギーになるものを食べます。 鳥は、少しでも体を軽くするために、もう一つ工夫をしています。それは、フンをためこまないということです。もし、鳥が便秘になったら大変なことです。フンの重さで飛べなくなってしまうからです。公園などでハトにフンをかけられてハッと驚いても、「フン!」などと憤慨せずに、「フーン、飛ぶためには仕方がないのだな」と優しく理解してあげましょう。 言葉の森長文作成委員会(κ) ![]()
人に飼われる昆虫、カイコ 読解マラソン集 小3 春 5番
読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
カイコは、じょうぶな絹糸をとるために、昔から人間が飼育してきた昆虫です。中国では、四千年以上も前からカイコを育て、美しい絹織物が作られていました。やがて中国で作られた絹織物は、インド、ペルシア、トルコ、ローマなどに運ばれるようになりました。そのころの商人が通った道は、シルクロードとよばれています。ローマでは、絹はたいへん高価なものであり、同じ重さの金と交換されるほどでした。
カイコの飼育は、世界各国に広まっていきました。日本でも大正時代の終わりから昭和の初めにかけて、養蚕がさかんになりました。当時、カイコの品種改良が進み、それまでの二倍から三倍もの長さの糸が取れるようになったのです。また、自然の状態では、カイコが生まれてくるのは春と夏の年二回ですが、季節を問わず何度でもカイコを飼育することができるようになりました。そのころ、生糸や絹織物の輸出は、日本の輸出総額の半分近くを占めていました。 生まれてきたカイコの成虫、カイコガは、羽が小さいわりに腹が大きくて、筋肉も弱いため飛ぶことができません。人間に飼われているカイコガは、野外を飛びまわって仲間を見つける必要もなく、幼虫の食べ物であるクワの木をさがしてたまごを生む必要もありません。メスは、クワの木でなくても、手近なものに何でもたまごを産みつけます。まるで、人間がちゃんと幼虫の世話をしてくれることを知っているようです。飛ぶ必要がなくなったカイコガは、飛ぶ能力を失ってしまったのです。 生まれた幼虫は、クワの葉を食べてどんどん大きくなります。カイコを育てているカイコ棚では、幼虫がバリバリとクワの葉を食べる音が、一日中雨の音のように聞こえます。これほど食欲旺盛な幼虫ですが、歩く力がたいへん弱く、三十センチでもクワ∵の葉から離れたところに置くと、自分でそこまでたどりつくことができません。歩いて「どこカ、イコう」とはしないのです。 また、ものにつかまる力も弱いので、野外のクワの木にカイコを放しても、生きていくことができません。人間に頼ってクワをクワせてもらっているカイコは、農家の人にとっては「カイコ」というより「可愛い子」なのかもしれません。 長い間、人に飼われてきたカイコは、人間の世話なしでは生きられないようになりました。人間にとって、ほとんど動かないカイコは、飼育するのにたいへん都合がよい昆虫です。 大きく育った幼虫は、さなぎになる準備を始めます。人間がボール紙などで作った枠の中に、二日ぐらいかかって厚くてじょうぶな繭を作ります。カイコのほかにも、繭を作る昆虫はたくさんいますが、糸の量と強さでカイコにかなうものはいません。 一個の繭からは、約千五百メートルの絹糸が取れます。着物を一着作るには、約二千六百個の繭が必要で、それだけの繭を作るために必要なクワの葉は百キログラムです。 「ところで、カイコさん。クワの葉以外は食べないんですか。」 「クワンヨ。」 (※最近の品種改良では、クワの葉以外のものを食べるカイコも作られています) 言葉の森長文作成委員会(κ) ![]()
不死身のクマムシ 読解マラソン集 小3 春 6番
読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
クマムシの体長は、最大でも一ミリメートルぐらいです。八本の脚でゆっくり歩く姿がクマに似ているので、クマムシと名づけられました。熱帯地方から北極や南極まで、深海の底から高山の上まで、地球上のほぼあらゆるところに生息しています。
このクマムシは小さなスーパーマンです。といっても、空を飛んだり列車を止めたりするわけではありません。実は、この生き物はほとんど不死身なのです。 クマムシの体の大部分は水分ですが、周囲が乾燥してくると、水分を極度に減らし、樽のような形になって眠りに入ります。 この樽の状態になったクマムシは、宇宙の真空の中でも生き続けます。また、マイナス二百七十二度という絶対零度の世界でも、摂氏百五十度という熱湯より熱い温度の中でも生きています。更に、七万五千気圧という高圧を受けても、人間の致死量の千倍のX線を浴びても、樽になったまま生きているのです。百二十年間眠っていたクマムシに水を与えたら動き出したという報告もあります。 クマムシはどこにでも棲んでいますが、採集するには、コケの中を探すのが簡単です。建物の陰などに生えているコケを取ってきて、ストッキングなど細かい網の上に乗せます。コケに水を注ぐと、網の下に落ちてくる水と一緒にクマムシも落ちてきます。それを顕微鏡で丹念に探すのです。 樽状態になったクマムシを参考にして、人間の臓器を長期間保存する研究も行われています。将来、宇宙飛行で何年も先の星に行くときには、人間も樽になって行くようになるかもしれません。 「クマムシさん、こんなに過酷な実験をされて、よク、マー、ムシしていられましたね。もっと厳しい実験をされたらどうしますか。」∵ 「タルになったる。」 言葉の森長文作成委員会(Μ) ![]()
森の掃除屋、キノコ 読解マラソン集 小3 春 7番
読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
秋の雨あがりの日に、林に出かけると、たくさんのキノコが落ち葉の間から顔を出しています。色とりどりのキノコの中には、食べられるキノコもたくさんあります。毒キノコと食べられるキノコは、どうやって見分けたらよいのでしょう。毒々しい派手な色のキノコや、嫌な臭いがするキノコは毒キノコである、茎が縦に裂けるものは食べられる、ナスと一緒に煮れば毒が消えるなど、昔からの言い伝えはたくさんあります。しかし、これらの多くは迷信です。キノコ中毒を防ぐには、とったキノコを一つ一つ図鑑などできちんと調べる必要があります。
食用キノコの代表は、マツタケやシメジ、シイタケなどです。「香りマツタケ、味シメジ」という言葉があるように、マツタケはたいへん香りが良く、シメジは味の良いキノコです。タマゴタケは、あざやかな色をしていて、毒キノコと間違えられますが、西洋では「帝王のキノコ」と言われ、おいしい食用キノコです。毒キノコの代表は、テングタケやツキヨタケなどで、ドクツルタケは、うっかり食べると死んでしまうほどの猛毒があります。 キノコの体は、地面から出ている部分だけではありません。地下の部分を見ると、白い綿のように、細い糸がからまっているのがわかります。キノコの本体は、この菌糸体という部分なのです。地面から出ているキノコは、たいてい数日で腐ってしまいますが、菌糸体は何十年も成長し続けます。菌糸体は、円形に広がるように大きくなっていくので、キノコも輪になって生えていることがよくあります。キノコ狩りに行って、キノコを一つ見つけたら、そこから輪を描くようにキノコが生えていないか、よく探してみるとよいでしょう。 普通、植物には緑色の葉緑素があり、太陽の光を受けて光合成を行い、自分で栄養を作って成長します。しかし、葉緑素を持っ∵ていないキノコは、自分で栄養を作り出すことができません。キノコは、カビや細菌と同じ仲間で、菌類に分類されます。では、菌類はどこから栄養をとっているのでしょうか。 キノコの生える森や林では、大量の落ち葉や動物の死骸など、たくさんのゴミが出ます。しかし、森や林がゴミだらけになっていることはありません。実は、落ち葉や死骸などのゴミを食べているのが、キノコやカビという菌類なのです。生き物の死骸を分解して、食べてくれる菌類は、森の掃除屋のような役割をしています。みなさんも、自分の部屋を掃除せずに、ずっとゴミを散らかしておくと、ゴミの中からかわいいキノコが顔を出すかもしれません。 植物が光合成をするには、二酸化炭素などの原料が必要です。もし、二酸化炭素を補給しないで、地球上の植物が光合成を続けたら、数百年で二酸化炭素はなくなってしまいます。しかし、植物は何億年もの長い間、生き続けてきました。実は、これはキノコなどの菌類のおかげなのです。動物や植物の死骸は、菌類の酵素によってだんだん単純な物質に分解されていきます。こうして、動植物のからだを作っていた物質は、菌類の働きによって、もとの単純な水や二酸化炭素などの物質に戻るのです。 そんな重要な役割を果たしているキノコさんに聞いてみました。 「キノコさんは木の子なんですか。」 「いや、ぼくはキノコの子だよ。」 「すると、キノコさんの子は、キノコノコですね。」 「そう、そのまた子供はキノコノコノコだよ。」 「十代先まで言えますか。」 「キノコノコノコ ノコノコノコ ノコノコノコ……。」 「歩いて行っちゃった。」 言葉の森長文作成委員会(κ) ![]()
命を救った犬ぞり 読解マラソン集 小3 春 8番
読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
シベリアやアラスカといった、寒さの厳しい地方で暮らす人々は、古くから、人や物を運ぶために、犬ぞりを使ってきました。シベリアン・ハスキーやサモエド、アラスカン・マラミュートといった種類の、寒さに強く、力持ちの犬たちにそりを引かせるのです。これらの犬たちは、ふさふさした毛と厚い脂肪を持っているため、北極の氷の上で眠っても平気です。また、長い距離を走っても耐えられる、すぐれた体力の持ち主です。
なかでもハスキー犬は、探検家ピアリーやアムンゼンによる北極や南極探検に使われ有名になりました。また、ドッグレースや犬ぞりレースで、いつも優秀な成績を収めていました。 あるとき、アラスカのノームという町に、ジフテリアという恐ろしい病気がはやりました。現在では多くの国で予防接種が行われているので、ジフテリアはほとんど流行することがありません。しかし、当時はまだ、おおぜいの人が死ぬこともある怖い病気でした。ジフテリアの症状を抑えるには、ワクチンという薬が必要ですが、この時ノームの町では、ワクチンが底をついてしまいました。あまりに患者が多かったからです。このままでは、人々がどんどん死んでしまいます。 ノームの町からアラスカ州の政府があるアンカレッジに、助けを求める連絡が入りました。すぐにでも、ワクチンを送らなければなりません。しかし、その時はとても天気が悪く、猛吹雪が続き、飛行機を飛ばすことができません。自動車でさえ走れないようなひどい嵐です。ワクチンをラクチンに運べるような状況ではありませんでした。 「そうだ。犬ぞりで運ぼう。」政府は、そう決断しました。そして、すぐさま村々に連絡が行きました。ただちに二十の犬ぞりチームが、ワクチンを届けるために準備をしました。 外は、マイナス五十度にもなる厳しい寒さと、荒れ狂う吹雪で∵す。この中を、二十の犬ぞりチームは五日間かけて走り通し、ワクチンは無事にノームに届けられたのです。このおかげで、数百人の命が救われました。 このときの働きをたたえて、ハスキー犬の銅像が、ニューヨークのセントラル・パークに立てられています。また、この出来事を記念して、毎年、世界でいちばん難しくいちばん長い犬ぞりレースがアラスカで行われるようになりました。このレースは、アンカレッジからノームまでを人間一人と犬たち十数匹で走るレースです。ふつう、ゴールするのに三週間くらいかかるそうです。 犬たちのがんばりも相当なものですが、人間の根性もたいしたものです。こんなに大変なレースの後では、犬たちに号令をかけ続けた人間の声もしわがれて、きっと「ハスキー・ボイス」になってしまうことでしょう。 寒い地方で使われる犬ぞりのほかに、日本にもさまざまなそりがあります。有名なところでは、エビぞり、ひげそり、のっそり、ごっそり、もっそり、こっそり、ひっそり、げっそり、などです。 言葉の森長文作成委員会(τ) ![]()
アジサイの花の色 読解マラソン集 小3 春 9番
読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
梅雨の季節をいろどってくれる花に、アジサイがあります。この花は、いろいろな色に変化することで有名で、そのせいか、花言葉には「移り気な心」などというものもあります。そのほかの花言葉、「強い愛情」や「家族の結びつき」は、きっと、小さい花がたくさんあつまって咲いているところからきたのでしょう。
アジサイの花の色は、咲き始めの緑がかった白っぽい青色から、薄いピンク、紫、そしてしだいに濃い紫や藍色に変わっていきます。色がついているこれらの部分は、じつは花びらではありません。葉が変化したもので、「がく」と呼ばれることもあります。本当の花は、このがくの真ん中に、ちょこんと小さく丸くついています。このように花以外の部分が発達して花のようになっている花を装飾花と言います。南国の雰囲気を持つブーゲンビリアや、クリスマスに飾られるポインセチアなども装飾花です。 では、アジサイの花は、どうして色が変わるのでしょうか。 どんな色のアジサイも、その色の素になっているのは、アントシアニンという色素です。この色素は、条件によって、赤い色を出したり、青い色を出したりすることができます。ここで、色の鍵を握っているのが、アジサイが土の中から吸い上げる、アルミニウムという金属です。一円玉は、このアルミニウムで作られています。土の中には、アルミニウムをはじめ、いろいろな金属が目に見えない形で溶けています。これを植物の根が吸い上げるのです。 アルミニウムが多いと、アジサイは青くなります。逆に、アルミニウムが少ないと赤くなります。その中間は紫です。このアルミニウムは、土の性質が酸性だと、土の中にイオンとして溶け出すので、アジサイが吸い上げやすくなります。逆に、土の性質がアルカリ性だと、アルミニウムはアルカリと結びついて塩になってしまうので、アジサイが吸い上げにくくなります。こうして、土の∵性質によって、アジサイの色は変わるのです。ですから、おとなりのアジサイの色が気に入って分けてもらい、わが家に植えても、同じ色になるとは限りません。 ところで、日本のアジサイを世界に紹介したのは、江戸時代の終わりごろに日本にやってきたドイツ人の医者、シーボルトでした。この時代の日本は、鎖国の状態で、人も物も自由に外国と行き来することはできませんでした。しばらくのあいだ日本に暮らした彼は、植物にもたいへん興味を持ち、日本のいろいろな植物を持ち帰りました。シーボルトは、その中でもひときわ大きくてきれいなアジサイに、「オタクサ」という名前をつけました。これは、シーボルトが日本にいるときに愛した女性、「お滝さん」の名前です。ドイツに戻ったシーボルトは、庭にそのオタクサを植えて、「オー、タクサんのオタクサが咲いた。」と見とれていたかもしれません。 アジサイと同じように、人間も、好きな人の前で赤くなったり、宿題を忘れて青くなったりしますが、これはアルミニウムとは関係ありません。 言葉の森長文作成委員会(τ) ![]()
お茶の種類 読解マラソン集 小3 春 10番
読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
最近では、ペットボトル入りのお茶や缶入りのお茶が、たくさん売られるようになってきました。緑茶、ウーロン茶、紅茶、その他さまざまな種類のお茶がブレンドされて、いろいろな名前で売られています。では、これらのお茶は、みんな違う種類の木からとれるのでしょうか。
じつは、緑茶もウーロン茶も紅茶も、同じお茶の木の葉が原料です。それなのに、なぜ色も味も違うかというと、作り方が違うからです。 お茶を作るには、まず、お茶の木から葉を摘み取ります。このあと、放っておくと、お茶の葉はすぐに発酵を始めます。お茶の葉の中にある酸化酵素が酸素を取り込んで、お茶の葉の成分を変化させてしまうのです。特にお茶の葉の中にあるカテキンやビタミンCは、酸素と結びつきやすく、たくさんの酸素と結びつくほど、お茶の色も緑色から茶色そして赤色へと変化していきます。ですから、緑茶とウーロン茶と紅茶の色の違いは、酸化の色の違いなのです。 緑茶は、葉を摘み取るとすぐに熱い蒸気に当てたり釜で炒ったりして、発酵させないようにします。熱い温度にすることで、お茶の葉の中の酵素がこわれて発酵できなくなるのです。このお茶の葉をよくもんで形を整え、乾燥させたものが緑茶です。発酵しないので緑の色が残り、カテキンやビタミンCもたくさん残っています。 これに対して、ウーロン茶や紅茶は、逆に発酵を助けてやるために摘み取りの後に別の処理をします。お茶の葉を日光に当てたり、温風に当てたりして葉をしおれさせる作業です。ウーロン茶は、半発酵の状態のときに釜で炒って発酵を止めます。そして乾燥をさせ、再び加熱して香ばしさを出します。紅茶は完全発酵になるまで発酵させ、乾燥させて完成させます。∵ ウーロン茶と紅茶は、発酵させた分だけ緑茶に比べてカテキンやビタミンCが少なくなりますが、その代わりに、大変よい香りを持っています。 緑茶に多く含まれているカテキンは、緑茶の渋味と色を作る大切な成分ですが、最近、このカテキンの殺菌作用が注目されています。カテキンには、インフルエンザのウィルスや食中毒の菌の働きを抑える力があります。ですから、カゼのはやる季節には、お茶でうがいをするといいそうです。 また、カテキンには、癌を予防したり、高血圧を下げたり、虫歯になりにくくしたり、といった健康にいい効果もあると言われています。私たち日本人は、昔から食事のときに緑茶を飲んできましたが、これは健康のためにはとてもいいことだったのです。 では、カテキンの多い緑茶と、香りのよいウーロン茶や紅茶を混ぜて飲んだらどうなるでしょう。答えは、ゴチャゴ茶です。そりゃ、無茶苦茶や。 言葉の森長文作成委員会(τ) ![]()
ハチの社会 読解マラソン集 小3 春 11番
読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
朝早くから夜遅くまで、一生懸命働くことを「働きバチのように働く」と言うことがあります。忙しく花の周りを飛び回ってせっせと蜜や花粉を集めて巣へ運ぶ働きバチの様子が、日本のサラリーマンの働き方に似ていることからできた言葉です。働き者というよりは、むしろ働き過ぎという悪い意味で使われることが多いようです。しかし、働きバチたちは、本当に長い時間忙しく働いているのでしょうか。
ある学者が、働きバチに背番号をつけて観察をしました。それによると、働きバチが一日に働く時間は五、六時間で、それ以外の時間は巣の中でのんびり過ごしていることがわかりました。日本人の一日の平均労働時間は約八時間ですから、人間の大人の方がよっぽど働いているように思えます。 ミツバチもそうですが、、多くの動物は、よけいな仕事はできるだけしないようにして、休息の時間が多くなるような生活をしています。豊かな暮らしのためにたくさん働こうとする人間とは、全く逆の生活に見えます。敵の攻撃から巣を守り、なわばりをつくり、生き抜いていく必要のある動物にとっては、財産よりも休息のほうが意味があるというわけです。 さて、パワーのある働きバチはオスでしょうかメスでしょうか。意外なことに働きバチはすべてメスです。人間の社会も、サラリーマンという男性中心の社会から、キャリアウーマンという女性が活躍する社会になりましたが、ハチの世界の方が一歩進んでいたようです。 働きバチは、生まれてから期間ごとに仕事の内容を変えて行きます。羽化してから五日ほどは、巣のそうじをし、その後十二日目くらいまでは女王や幼虫の世話をします。二週目から三週目ほどは巣作りや、蜜を巣にためる仕事をします。それから四週目までは巣∵の見張りをするようになり、やがて外に出て蜜集めをするようになります。巣の内側の仕事から、段階を追って外回りの仕事になっていく様子がわかります。働きバチの寿命は六、七週間ですから、年を取るにつれて、巣から離れて遠くまで蜜を取りに行ったり、敵と戦ったりする危険な仕事になっていることがわかります。 それでは、ハチの世界の男性、オスバチは何をしているのでしょう。オスは、女王バチと一緒に子供をつくるとき以外は、巣の中で何もせずにただ暮らしているだけです。しかし、そんなオスバチにバチが当たるようなことはありません。ハチの社会は、心優しい働き者の女性たちで支えられているのです。 今日もハチたちは、花から花へ蜜を集めて回っています。 「あ、ミツ、ミツけた。」 「じゃあ、仲間に知らせてこよう。おーい、ミツ……」 「バチン。」 「あいたたた。ハチ合わせしちゃった。」 言葉の森長文作成委員会(μ) ![]()
コロンブスの大陸発見 読解マラソン集 小3 春 12番
読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
コロンブスの時代、人々はまだ、地球が丸いとは思っていませんでした。そのころ、ヨーロッパ諸国は、貿易を行いキリスト教を広めるため、さかんに船で東方にあるアジア進出を目指していました。この時代を大航海時代と呼んでいます。
イタリア生まれのコロンブスは、東を目指す人々とは異なる考えを持っていました。彼は、地球が丸いことを信じていました。アフリカの南をまわってアジアを目指すよりも、大西洋を西へ進んだほうが、ずっと早くアジアにたどり着けるはずだと考えたのです。もう一つ、コロンブスに航海を決心させたものがあります。それは、マルコ・ポーロの「東方見聞録」でした。そこに書かれていた、黄金の国ジパング(日本)は、ヨーロッパの人のあこがれの的でした。彼はスペインの女王の援助を受け、サンタ・マリア号に乗って、西回りでアジアに行く計画を実行することになりました。 このとき、コロンブスが要求したことは、もしインドを見つけたらその宝の十分の一を自分がもらうこと、発見した土地の総督になること、スペインの貴族になることなどでした。当時、遠洋航海には莫大な資金が必要でした。このため、イギリスやフランスは、コロンブスの提案を受け入れることができませんでした。コロンブスにとってもスペインの女王にとっても、航海は大きな賭けだったのです。 サンタ・マリア号の乗組員たちは、地図にも載っていない未知の海域へと航海に出ました。そして、二か月以上の航海を経て、ようやく陸地を見つけることができたのです。コロンブスの考えでは、そこはアジアのはずでした。 地球儀を見るとわかりますが、ヨーロッパから西に向かって大西洋を横断すると、巨大なアメリカ大陸にぶつかります。アメリカ大陸を越えて広い太平洋を横断しなければ、アジアに∵到着することはできません。実際の地球は、コロンブスが考えているより、ずっと大きかったのです。 アメリカ大陸の存在を知らなかったのですから、コロンブスが新大陸をアジアだと思ったのも無理はありません。コロンブスは、上陸した島々に名前をつけ、スペインの領土としました。 当時、インドという言葉は漠然とアジア全体を指す言葉としても使われていました。アメリカ大陸にもともと住んでいた人々を、コロンブスはインドの人という意味でインディオスと呼びました。 スペインに帰ったあと、彼の発見はたいへんな評判になりました。彼は一生、自分が発見した陸地をアジアだと信じていたそうです。 コロンブスのタマゴの話は有名です。この話を聞いて、ある人が同じようにタマゴを立てようとすると、タマゴはうまく立たずに、コロン。その人はブスっとしていたそうです。はい、縮めて言うと、コロン。ブス。 言葉の森長文作成委員会(κ) ![]()
|