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 読解マラソン集(ルビなし)小3冬
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 脳のネットワーク 読解マラソン集 小3 冬 1番
 読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
 脳は、人間の体の中でもとくに大切な器官で、がんじょうな頭蓋骨の中におさめられ、念入りに守られています。人間のからだの、ほとんどすべての動きは、脳の命令によるものです。また、体の動きだけでなく、感情、思考、創造、言語などの知的活動も、脳が行なっています。その重さは、生まれたばかりの赤ちゃんで約四百グラム、大人はその三倍ぐらいあります。
 しかし、人間よりももっと重い脳をもつ動物もいます。たとえば、ゾウの脳は約五キログラムもあり、クジラにいたっては十キログラムにも達するものがいます。もし脳の重さだけで頭のよさが決まるとすれば、私たち人間は、ゾウやクジラよりも頭が悪いということになってしまうので、重さだけが頭のよさを決めるわけではなさそうです。
 人間の脳では、大脳とよばれる部分がとくに発達しており、その表面にはたくさんの皺があります。大脳の皺をていねいにのばすと、その大きさは新聞紙一ページ分にもなります。それだけの広い面積をもつ大脳の神経細胞の数は、百四十億個と言われています。では、この神経細胞の数が、頭のよさを決めるのでしょうか。
 実は、二十歳をすぎたころから、人間の神経細胞はだんだん減っていきます。その数は、一日に十万個から二十万個です。しかも、神経細胞は新しく作られることはありません。
 もし、神経細胞の数が頭のよさを決めるのであれば、二十歳ぐらいの人が一番頭がよく、その後、神経細胞が減っていくにしたがって、次第に頭の働きがおとろえていくということになります。しかし、六十歳や七十歳になっても、りっぱな仕事をして、すばらしい活躍をしている人はたくさんいます。計算してみると、二十歳の人とくらべると、六十歳の人は二十億個以上も細胞が減っていることになりますが、その分、頭の働きが悪くなっているということはないのです。∵
 人間の頭が働くために大切なものは、神経細胞の数だけではありません。神経細胞は、一つ一つが別々に働くのではなく、いくつもの細胞が手をつなぐようにネットワークを作っています。そして、私たちが勉強をして頭を使えば使うほど、たくさんの神経細胞が手をつなぎ、新しいネットワークを作ってくれます。ぎゃくに、使わないネットワークは、次々と消えていきます。たとえば、自分でものを考えず人にたよってばかりいると、せっかく作ったネットワークがどんどん消えてしまうおそれがあります。神経細胞の数が減っても頭の働きはおとろえませんが、このネットワークが減ってしまうと、判断する力や新しいことを考える力がおとろえていきます。
 人間の脳は、使い続けるかぎり新しい神経細胞のネットワークが作られ、何歳になってもそのすばらしい働きを失わずにいられます。そして、自分の頭の中に、どんなすばらしい神経細胞のネットワークを作るのかは、自分しだいというわけです。
 すばらしいネットワークを作って、ワークワークした人生を送りましょうねっと。

 言葉の森長文作成委員会(κ)
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 恐竜はなぜ絶滅したか 読解マラソン集 小3 冬 2番
 読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
 恐竜は、およそ二億三千万年前に出現しました。しかし、今から六千五百万年前に、なぜか突然のように、地球上から姿を消してしまいました。なぜ恐竜は、絶滅してしまったのでしょうか。その理由について、研究者たちから多くの考えが出されています。
 そのひとつは、巨大隕石説というものです。宇宙から巨大な隕石が落ちてきて、地球に衝突したのではないかという説です。そのため、ガスや細かいちりが発生して地球をおおいつくし、半年近くも太陽光線をさえぎりました。まっくらな大地で植物は枯れ、気温も下がりました。植物をエサとする草食恐竜たちは、飢えと寒さで次々と倒れ、死んでいきます。すると、その草食恐竜をエサにしていた肉食恐竜たちも死に絶えます。こうして、地球上の恐竜たちは絶滅してしまったとする考えです。
 ほかに、火山噴火説という説もあります。そのころ、地球のいろいろなところで火山が爆発しました。噴出した二酸化炭素で、地球は急激に温暖化しました。このため食べられる植物が、すっかり枯れてしまったのです。さらに、噴火によって塩素が大量に放出され、地球を取り巻くオゾン層も破壊されました。この結果、有害な紫外線が地上に降り注ぎ、恐竜をはじめとする多くの生物が死に絶えたという説です。
 さらに、ストレス説という考えもあります。恐竜の数がどんどん増え、地球はいたるところ恐竜だらけになってしまいました。満員電車に乗っているような状態です。このストレスで、異常のある卵が生まれるようになりました。また、たくさんの恐竜たちが植物を食べつくし、エサも少なくなってしまいました。このため、恐竜の数が減っていき、ついには絶滅したというのです。∵
 おもしろいところでは、便秘説というものもあります。そのころ、地球上に多くはえていたソテツは、草食恐竜の大切なエサでした。このソテツには、草食恐竜が排泄をするために必要な成分がふくまれていたのです。ところが自然環境の変化で、このソテツは少なくなってしまいました。草食恐竜たちは便秘になり、死んでしまいました。すると肉食恐竜たちもエサがなくなり、生き続けることができません。あの大きな恐竜たちが便秘で絶滅してしまったなんて、運が悪くてかわいそうな、しかしちょっと情けないような話です。
 さて、どの考えが一番正しいのでしょうか。実は、それはわかっていません。恐竜絶滅の理由は、まだまだ大きな謎につつまれています。
 しかし、恐竜は一億六千万年以上もの長い間、この地球上でゆうゆうと生きました。一億六千万年。気が遠くなるような、長い年月です。わたしたち人類は、誕生してから今日まで、まだ数百万年しかたっていません。恐竜の生きた時間をかりに一年とすると、人類の生きてきた時間はわずか数十日ほどという計算になります。今、我がもの顔にこの地球を支配している人類も、恐竜に比べたら、まだほんのわずかしか生きていないのです。
 そう考えると、恐竜は十分にこの地球上で生きつくしたとも言えるでしょう。わたしたち人類も、恐竜のように長くたくましく生きていきたいものです。そして、少なくとも人類が便秘で絶滅することだけは避けなければなりません。それは、ちょっと格好悪いからです。

 言葉の森長文作成委員会(γ)



 
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 筋肉の働き 読解マラソン集 小3 冬 3番
 読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
 私たちの体を動かすために、筋肉はとても大切なものです。筋肉というと、きたえぬかれた肉体をもつボディビルダーを思い浮かべるかもしれませんが、筋肉は、動物にとって生命活動をいとなむためになくてはならない重要な組織なのです。
 私たちが走ったり歩いたりジャンプしたりするために、筋肉が働いているのは言うまでもありませんが、運動するときに働く筋肉は、骨格筋といって、骨にしっかりとむすびついて骨を動かしているものです。この筋肉は、私たちが動かそうと思えば自由に動かすことができます。顔にも、表情を作り出すたくさんの筋肉が複雑に入り組んでいます。これは骨格筋ではありませんが、自分の意志で動かせる筋肉です。笑い顔や泣き顔や困った顔など、心の動きに合わせて私たちはいろいろな表情を作ることができます。
 筋肉が働くのは、運動するときだけではありません。私たちの内臓が毎日動いているのも、内臓の壁を作っている筋肉のおかげであり、たとえば心臓が動くのは心筋という筋肉が動いているからです。この心筋は、生まれてから死ぬまで、休むことなく一定のリズムで動いて、体中に血液を送っています。内臓の筋肉は、自分の意志で動かすことはできません。
 自分の意志で動かせる骨格筋について考えてみましょう。腕を曲げると、りっぱな力こぶができる人がいます。筋肉があまりない女の人でも、さわってみると、少しは力こぶができているのが確認できます。この力こぶは腕の筋肉が縮んだときにできるもので、筋肉が力を発揮するのは、このように縮んだ状態のときです。
 オリンピックの陸上選手を思い浮かべてください。短距離を走る選手の筋肉は、みごとに発達していて、いかにも力強い感じです。しかし、マラソンのような長距離の選手はどうでしょう。∵ほっそりとして、華奢な体つきの選手がほとんどです。あの細い体のどこにあれだけのパワーがひそんでいるのかと、不思議に思えるほどです。では、マラソン選手が、短距離選手のように筋肉を発達させたら、もっと記録をのばせるのでしょうか。そうはいきません。
 私たちの骨格筋には、縮み方が速く瞬時に大きな力を出せる速筋と、縮む速さがおそいかわりに持久力にすぐれた遅筋があり、短距離走者には速筋が多く、長距離走者には遅筋が多いといわれています。それぞれの必要な筋肉の種類が異なるわけです。遅筋は、赤い色のタンパク質を多くふくんでいるので「赤い筋肉」、速筋は「白い筋肉」とよばれることがあります。
 おもしろいことに、「赤い筋肉」「白い筋肉」は、魚にもあります。みなさんは、マグロの身が赤く、ヒラメの身が白いことを知っているでしょう。マグロやカツオのように長距離を泳ぐ魚には遅筋が多くついているので、肉が赤身になり、ヒラメなど海底にじっとしていることの多い魚はほとんど速筋なので、肉が白身になります。つまり、マグロは長距離走者、ヒラメは短距離走者に似ているというわけです。
 もし、マグロの赤身とヒラメの白身の両方を持っている魚がいたらどうなるでしょう。身が赤と白なので、おめでたい魚として、お正月のカマボコのかわりに使われるようになったかもしれません。
「マグロさん、どうでしょうか。」
「マー、グロテスク。」
「ヒラメさん、どうですか。」
「そんな魚、ヒラメえなあ。」

 言葉の森長文作成委員会(κ)
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 伝書バト 読解マラソン集 小3 冬 4番
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 伝書バトは、信頼のおける郵便配達員のようです。伝書バトに届けてもらう手紙は、足につけた小さな筒の中に入れたり、背中にくくりつけたりします。伝書バトは、託された手紙を、遠く離れた相手のもとへ届けることができます。二百キロメートルぐらいの距離を飛ぶのが普通ですが、時には千キロメートルも離れた場所まで飛ぶこともあります。千キロメートルというと、だいたい東京から北海道、又は東京から九州ぐらいまでの距離になります。これほど離れた相手先に、間違わずにたどりつける能力にはおどろきます。
 しかし、こんなに優秀な伝書バトにも弱点があります。それは、いつも同じ届け先にしか手紙を運べないことと、あまり重いものは運べないことです。伝書バトがめざすのは、手紙のあて先に書かれた住所ではなく、自分が生まれたハト小屋です。つまり、伝書バトの手紙の配達は、帰巣本能を利用したものなのです。
 地図も持たずに何百キロも離れた地点に正確にたどりつくのは、人間にとっては、たいへん難しいことです。伝書バトは、なぜ自分の巣のある場所に迷わずに帰ることができるのでしょう。かつては、地上に見える目印と、太陽の場所、それに地球の磁気をたよりに飛び、夜になると星を目印に進むのだろうと言われてきました。最近の研究によると、伝書バトの方向感覚は、すぐれた嗅覚のおかげでもあると言われています。
 遠くからでも、迷わずに自分の巣に帰ることができるハトの性質を、大昔から人間は知っていました。古代エジプトでは、漁船が伝書バトを使って、漁の成果を海から陸に知らせていたそうです。一度放たれた伝書バトは、休むことなく何百キロも飛び続けるため、電話やメールがない時代は、最も速い通信手段でした。∵近代にいたるまで、伝書バトは、軍事用や報道用の通信手段として数多く使われてきました。また、離れ小島などの輸送が難しい地域に、薬や血清を運んで、医療の手助けをしていた伝書バトもいました。
 現在では、通信手段として伝書バトが利用されることはほとんどなくなり、スポーツとしてのハトのレースが開催されている程度です。本来、帰巣本能にすぐれているハトですが、近年になって、レースに出たハトが戻ってこないことがだんだん増えてきました。優秀なはずのハトが、なぜか途中で迷子になってしまうのです。この原因は、はっきりとはわかっていませんが、携帯電話などの電磁波が影響しているという説があります。また、ハトの品種改良を行なった際、スピードばかりを重視して、方向感覚がにぶってしまったのではないかとも言われています。
 それにしても、伝書バトの郵便配達には、ガソリンなどの燃料は一切使わないし、切手も不要です。ごほうびに豆をいくつか与えれば満足してくれる伝書バトは、環境にやさしい、すばらしく優秀な郵便配達員ではないでしょうか。
 ハトと同じように身近な鳥に、スズメやカラスがいます。どうして伝書スズメや伝書カラスがいないかというと、スズメに手紙をつけると重くて前にすずめないからです。また、カラスに手紙をつけると、途中でゴミ箱に寄り、手紙のことを忘れてしまうからっす。

 言葉の森長文作成委員会(κ)
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 強い骨 読解マラソン集 小3 冬 5番
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 骨と言うと、理科室にある人骨の模型を思い出す人もいるでしょう。人間の体は、さまざまな形や大きさの骨が数多く集まって、骨格を作っています。骨はたいへん丈夫なもので、たとえば、頭蓋骨は平らな骨がドーム状に組み合わさってできていて、脳を守るヘルメットのような役割をしています。また、肋骨はかごのような形をしていて、肺や心臓などの内臓を守っています。
 骨と骨がつながっている部分は、どうなっているのでしょう。ただ単に、接着剤でくっつけたように組み合わさっていたら、骨は自由に動きません。しかし、私たちは手や足を自由に動かすことができます。骨どうしが動きやすいようにつながっているところを関節といいます。ひざや指の関節は、ドアの蝶番のような形をしています。肩や股関節などは、丸いくぼみに球の形をした骨がはまっており、あらゆる方向に動かすことができます。関節の骨と骨が接している部分は、摩擦を減らすために軟骨組織におおわれている上、滑液という液体が潤滑油がわりに骨を囲んでいます。つまり、機械に油をさしてすべりやすくするのと同じで、なめらかに動くように工夫されているのです。
 骨は、つねに新しい細胞と入れ替わっています。破骨細胞がどんどん骨を壊す一方で、骨芽細胞はせっせと新しい骨を作ります。骨折しても、しばらくすると元どおりに骨がつながるのは、この破骨細胞と骨芽細胞が骨の修理屋の役目をするからです。
 壊される骨と新しく作られる骨のバランスが取れていれば、骨はずっと同じ状態を保つことができますが、作られる骨のほうが少なくなると、骨に空洞がふえて軽くなり、骨折しやすくなります。この状態を、骨粗しょう症といいます。∵
 カルシウムは、骨を新しく作るために大切な栄養素です。またカルシウムは、心臓をうまく動かすためにも、筋肉に力を発揮させるためにも、欠かせないものです。カルシウムが不足すると、イライラしやすくなることも知られています。骨は、カルシウムを貯蓄する銀行のような役目もしており、あまったカルシウムは骨に蓄えられますが、足りなくなると骨から引き出されて使われてしまいます。ですから、食事の量を減らして無理にダイエットをすると、カルシウム不足になって、骨が折れやすくなる危険があります。
 骨を強くするために、もう一つ大事なことがあります。それは、運動をして骨に適度な刺激を与えることです。宇宙旅行から帰ってきた飛行士たちは、地球にいるときよりも、骨がもろくなっているそうです。宇宙空間は無重力なので、人間はふわふわと浮いていることができます。地球にいるときのように、力を入れて歩く必要もありません。そのため、骨に刺激を与えることが極端に少なくなり、骨が弱くなってしまうのです。
 バランスよく食べて適度な運動をすれば、骨の健康を保つことができます。カルシウムは、小魚や乳製品にたくさん含まれているので、好ききらいをせずしっかり食べて、運動をして、骨を強くしましょう。骨は、使えば使うほど丈夫になるのです。
 そうでしょう。骨さん。
「ほうねえ。」

 言葉の森長文作成委員会(κ)
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 クマとの共生 読解マラソン集 小3 冬 6番
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 最近、人里におりてきたクマによる被害が、ニュースでもときどき報道されています。クマの生息地に近い住宅では、自宅の玄関先にクマがいた、などということもあるようです。キノコ狩りに山に入った人が襲われたりするので、クマは凶暴でこわい動物だと思われています。しかし、はたして本当にそうなのでしょうか。
 現在日本には、北海道に住むヒグマと本州に住むツキノワグマの二種類がいます。ヒグマの方がツキノワグマよりも大型です。ツキノワグマの体重が、人間の大人一人分か二人分ぐらいなのに対して、ヒグマのオスの体重は、ツキノワグマの二倍から三倍にもなります。クマの動きは意外にすばやく、ツキノワグマでも時速四十キロメートルくらいで走れるそうですから、ゆっくりめに走っている自動車くらいの速さは出ることになります。しかも、木登りも得意ですから、追いかけられたら、まず逃げられません。爪は鋭く、きばもあります。確かに、敵に回すと、こわい動物のようです。
 ふだん、山で木の実や虫、小動物などを食べているクマは、かなり警戒心が強いので、自分から人間に近づいてくることはありません。どちらかというと、人間を恐れていて、できれば出会いたくないと思っているのです。ですから、クマと出会わないようにするためには、クマよけの鈴やラジオなど、大きな音を出すものを持って歩くとよいと言われています。クマの方に、先に逃げてもらうのです。
 それでも、クマが人里におりてくることがあります。秋、冬ごもりの前にたくさんの食べ物を必要としているときと、春、冬ごもりから目覚めてお腹をすかせているときが多いようです。人里には、人間の出した生ゴミが置かれていることがあります。また、果物畑や畑には、おいしそうな食べ物がたくさんあります。庭先の柿の木につられてくることもあるようです。∵
 人里に来ることは、クマにとっても人間にとっても望ましいことではありません。人に出くわしたクマが人に危害を加えてしまったり、逆にクマが追われて鉄砲で撃たれて殺されてしまったりすることもあります。しかし、クマを撃ち殺すだけでは、問題の解決にはなりません。クマがこんなに人里におりてくるようになったのはなぜか。その原因を調査して、対策をとらなければならないのです。
 クマが人里におりてくるようになったのには、いくつかの原因が考えられます。クマのすみかの山が人間の開発で荒らされ、クマの食べ物が少なくなっているという説があります。あるいは逆に、山の食べ物がたくさんあるのでクマが増えているからだという説もあります。そして、人里に行けばおいしい食べ物がたくさんあると、クマが知ってしまったことも、大きな原因と考えられています。
 では、解決法にはどんなものがあるでしょうか。今、さまざまな団体が、クマの生活を調査し、クマと人間がどちらもうまくやっていけるように、いろいろな方法を試しています。
 もともと、クマたちが住んでいたところへ後から入ってきて、山を切りひらき、町を作ったのは人間です。本当のことを言うと、クマもくまっているのです。人間はもっとクマの気持ちをくまなければならないのかもしれません。「みなさんのすみかの近くにおじゃましてごめんなさい。でも、あまり私たちの方へはおりてこないでほしいのです。その代わり、毎年お歳暮に、たっぷりのハチミツを贈りますから、どうぞ食べてください」などという「大人の付き合い」が、クマともできるとよいのでしょう。

 言葉の森長文作成委員会(τ)
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 赤ちゃんの音の世界 読解マラソン集 小3 冬 7番
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 生まれたての赤ちゃんも、耳は聞こえます。しかし、赤ちゃんは、自分の耳にひびいてくるものが何かは、まったくわかりません。
 たとえば、ドアが「バタン」としまる音がします。赤ちゃんにはその音は聞こえますが、それが「ドア」が「しまった」ときの音ということはわかりません。「ドア」というものをまだ知らないからです。
 赤ちゃんに世界がどう聞こえるかについては、さまざまな研究がされてきました。
 赤ちゃんの耳に聞こえるものは、赤ちゃんの頭の中で、いつまでもこだまのようにひびいています。生まれて一ヶ月の赤ちゃんの耳の中は、あちこちでお寺のかねがなりひびいているような、こだまだらけの音の世界です。その中から、少しずつ、いろいろな音を聞き分けられるようになります。ですから、赤ちゃんは、はっきり、ゆっくりしゃべってくれる声がすきです。
 大人たちが、赤ちゃんにいっしょうけんめい話しかけるとき、よく赤ちゃんことばを使います。いつもより、高い大きい声で、ことばをやさしくして、みじかくくぎりながら話しかけます。たとえば、
「ごはんは、おいしかったですか? たくさん食べられていいこですね。」
と話しかけるより、
「まんま、おいしい? いっぱい、たべたね。いいこ、いいこ。」
と言ってあげます。赤ちゃんにとっては、このような話しかけ方のほうが親切なのです。
 赤ちゃんは、ゆっくりはっきりしゃべってくれると、ぼんやりしたこだまのひびきの中からことばを聞きわけることができます。生まれて四ヶ月くらいになると、大人どうしの会話より、赤ちゃんことばで話しかけてくれるほうをあきらかに聞きたがるようになります。ぼんやりしたこだまより、はっきり聞こえてくる音をつかまえるほうがおもしろいし、安心するからです。
 ところで、赤ちゃんの耳には、大人のまねできない能力もあります。
 赤ちゃんは、世界中で話されているどんなことばの音も聞き分けることができます。たとえば、日本人はよく英語で「L」と∵「R」の発音が区別できないと言われます。フランス人は、「ハヒフヘホ」という音が出せません。そのほかにも、「ダヂヅデド」という音が出せない国など、国によってさまざまなことばがあります。しかし、赤ちゃんは、そのすべての音を聞き分けられます。赤ちゃんは外国語の天才といえるかもしれません。
 赤ちゃんのときはだれでも、世界中のことばを聞きわけることができ、声に出すこともできていたというわけです。けれども、赤ちゃんはそのうちに、自分のまわりでよく使われていることばの音だけを聞き取るようになってきます。
 赤ちゃんのころには、「東京特許許可局」や「蛙ぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ合わせてぴょこぴょこ六ぴょこぴょこ」なども、すらすら言えたのかもしれません。

 言葉の森長文作成委員会(λ)
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 人類の祖先 読解マラソン集 小3 冬 8番
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 約六千五百万年前に恐竜が絶滅すると、哺乳類が急速に繁栄しはじめました。最初の哺乳類は、今のネズミに似ていました。哺乳類は、体温を一定に保つしくみを体の中に持っていたので、いろいろな環境で暮らすことができ、多くの種類に分かれていきました。
 アフリカでは、サルの仲間である霊長類が、さまざまな進化をしていきました。その中でも、森の中で暮らしていた霊長類が、私たち人類の祖先だと言われています。彼らは、果物などを食べて、一日のほとんどを木の上で過ごしていました。木の上は食料がたくさんあり、猛獣から身を守るのにも都合がよく、暮らしやすい場所だったと考えられます。
 森の木の上に住んでいた霊長類が、どのようにして人類の祖先に進化したのでしょう。これについては、次のような説があります。
 ちょうどこのころ、火山が活発に活動し、大きな地震が起こり、アフリカ大陸を南北に貫く「アフリカ大地溝帯」が形成されました。富士山よりも標高の高い、長い山脈ができたことによって、その東側はだんだん乾燥し、もともとジャングルだった場所が草原に変わっていきました。
 草原で生きていくために、霊長類は木から下りなくてはなりませんでした。豊かな森と比べると、草原は食料が少ない上、猛獣にも見つかりやすく、おそわれる危険がありました。獲物をつかまえたり、敵をいち早く見つけて逃げるためには、より遠くを見渡す必要があったのでしょう。草原で生活を始めた霊長類は、二本足で立って歩き始めました。これが人類の祖先です。
 直立二足歩行を始めたことで、人類の祖先は、ほかのサルとは明らかに違う道を歩み始めました。彼らは、自由になった前足を∵手として使うことができるようになりました。今から三百万年前の猿人、アウストラロピテクスは、石器を使っていました。これが道具の始まりです。また、約五十万年前の原人は、火を使って生活していたことがわかっています。その後に出現した旧人のネアンデルタール人は、死者を埋葬する習慣がありました。
 約四万年前に生活していた新人のクロマニヨン人は、現在の人類とほとんど変わらない姿をしていました。彼らはすでに言葉を話し、協力して狩りや漁をして暮らしていたのです。クロマニヨン人は、ナイフ、刀などの石器や、美しく彫刻された骨格器を作り、槍や弓矢を発明して集団で狩りを行なっていました。わなをしかけることで、マンモスやシカなどの巨大な獲物もつかまえることができました。彼らの暮らしていた洞くつには、今も、狩りの成功を祈って描いたと思われる動物の絵が残っています。
 このように、アフリカ大地溝帯の東側の厳しい環境が、人類の祖先を生み出しましたが、西側ではどうだったのでしょうか。食料が豊富なジャングルの中で暮らしてきた霊長類は、現在まであまり変わらない姿を保ってきました。これが、ゴリラ、チンパンジー、ボノボなどの、人類と最も似かよった生物とされている類人猿です。
 人間は木から下りることによって、サルと分かれました。しかし、今でも昔の時代が懐かしくなることがあります。公園の木を見るとふと登りたくなったり、木の上でキャッキャッと叫んでみたくなったりするのはそのためです。

 言葉の森長文作成委員会(κ)
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 免疫の連携プレー 読解マラソン集 小3 冬 9番
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 私たちの身の周りには、細菌、かび、寄生虫など、病気の元になるものがたくさんあります。しかし、私たちは病気の元に出会ったからといって、すぐに病気にかかってしまうわけではありません。なぜなら、体の中には、病気の元になる病原体から体を守るシステムが備わっているからです。このシステムのことを免疫システムといいます。
 体の中には、免疫細胞という細胞が何種類もあり、病原体が体の中に入ってくると、それを攻撃してとりのぞく働きをします。これにはいろいろな方法があります。まず、病原体を丸ごと食べてしまう方法です。血液の中には、赤血球と白血球がありますが、免疫を担当しているのは白血球です。白血球の仲間の好中球は、食いしん坊な細胞で、体の中に入った細菌などを食べて消化してしまいます。しかし、好中球だけでは病原体を退治できない場合があります。
 風邪で熱を出したときなど、わきの下や首筋がはれて、さわるとぐりぐりを感じる場合があります。これはリンパ節がはれている状態です。このリンパ節は、体のあちこちに約六百個もあります。免疫システムの主役は、このリンパ節と、リンパ節どうしをむすぶリンパ管です。リンパ管の中にはリンパと呼ばれる黄色っぽい透明な液体が流れています。その中には免疫細胞のリンパ球が入っていて、病原体が入ってくると、リンパ節のところで待ち受けて戦いを始めます。
 では、リンパ球はどのように病原体と戦うのでしょう。まず、ヘルパーT細胞が、自分の体に本来あるはずのないものが入って来たことに気づきます。そして、攻撃を始めなさいという命令をB細胞に出します。B細胞は、抗体という武器をあやつることができる細胞です。B細胞が作り出した抗体は、効率よく病原体を攻撃することができます。抗体に攻撃されて弱った病原体は、マクロ∵ファージが食べてしまいます。みごとな連携プレーです。
 そのほか、ナチュラル・キラー細胞(NK細胞)も、病原体を攻撃することができます。T細胞やB細胞が見逃すような病原体でも、「何か変だな」と思えば攻撃します。また、T細胞やB細胞は、攻撃を始めるのにある程度時間がかかりますが、その間も、ナチュラル・キラー細胞はずっと攻撃をし続けてくれます。体を守るために、免疫システムは、二重三重に防御をしていることがわかります。
 それぞれの細胞の連携プレーによって、病原体がほぼ全滅すると、T細胞の仲間が攻撃をやめるように全体に命令を出します。この命令が出ると、戦いは終了です。
 おどろいたことに、T細胞もB細胞も、一度出会ったことのある敵は決して忘れません。同じ敵が二度目に体に入ってきたときは、一度目よりもずっとすばやく攻撃をしかけることができます。たとえば、はしかの病原体に初めて出会ったとき、B細胞は、抗体を作るのに時間がかかるので、その間に熱が出たり病気のさまざまな症状が出たりします。しかし二度目からは、B細胞がはしかの病原体を覚えているので、すぐに抗体を作り、病原体を退治することができます。抗体によって、あっという間に病原体を後退させてしまうのです。ですから、二度目からは、はしかの病原体が体に入っても熱が出るようなことはありません。このことを「はしかの免疫がある」と言います。
 免疫は、明るい気持ちでいると強くなることが知られています。免疫さえあれば、細菌や寄生虫に囲まれていても元気に暮らしていくことができます。試しに、カビだらけでにこにこ笑っている自分の姿を想像してみてください。何だか楽しくなってくるでしょう。 言葉の森長文作成委員会(κ)
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 音のしくみ 読解マラソン集 小3 冬 10番
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 暗い夜道を一人で歩いているとき、後ろから誰かが近づいてきたら、何となく気配でわかるものです。何も見えないのに、後ろの様子がわかるのはなぜでしょう。このとき感じる気配というのは、実は音なのです。真っ暗闇の中では、目よりも耳が活躍して、音によって周りの様子を感じ取っています。
 目隠しをしていても、どの方向から音がするのか私たちは知ることができます。それは、耳が二つあるおかげです。右耳と左耳で聞いている音の大きさの違いから、音のする場所を判断することができるのです。これをうまく利用したのが、ステレオスピーカーです。目をつぶってステレオから流れる音楽を聴いていると、自分の前でオーケストラが演奏しているような感じがします。一つ一つの楽器の左右の音の強さを、位置に応じて変えているため、いろいろな位置から音が聞こえてくるように思えるのです。たとえば、右のスピーカーと左のスピーカーから同じ強さでピアノの音が聞こえれば、ピアノは舞台の中央にあるように感じます。また、左のスピーカーからバイオリンの音が強く聞こえれば、左のほうにバイオリニストがいて演奏しているように感じるのです。
 音の正体は、空気の振動です。空気の濃い部分と薄い部分が、リズミカルにくり返されると、それが音になります。たいこを叩くと、たいこの皮が押されて、反対側の空気を押しつぶします。すると、その部分の空気が濃くなります。次に、押された皮は反動で元にもどります。このときに空気をひきもどし、その部分の空気は薄くなります。皮が元にもどる力で、この動きがくり返されると、空気の濃い部分と薄い部分がリズミカルに現れます。たいこを叩くと音が鳴るのは、このためです。
 バイオリンやギターなどの弦楽器も、たいこと同じ原理で音を出します。ただ、弦は細いので、たいこのように周りの空気をたくさんふるわせることができません。そこで、弦の振動を板に∵伝えて、板全体がふるえるように工夫されています。そうすることで、細い弦を使っていても大きな音を出すことができるのです。
 空気が振動すれば、それはすべて音になって聞こえるのでしょうか。空気の濃い薄いがくり返される速さの単位を、ヘルツといいます。たとえば、一秒間に百回くり返されれば、百ヘルツです。このヘルツが大きければ大きいほど、音は高くなります。人間が聞き取れる音は、二十ヘルツから二万ヘルツの間で、それよりも高い音や低い音は聞こえません。ところが、こうもりはもっと高い音を聞き取ることができます。昔は、こうもりには声がないと思われていましたが、調査の結果、人間には聞こえない高い声を出しているということがわかりました。コウモリはこの音の反射を利用して、暗闇の中でもぶつからずに飛ぶことができたのです。昔の人は、コウモリがこうもりこうな動物だとは知らなかったでしょう。
 私たちの生活の中で、音は大切な役割を果たしています。ものの位置を確かめるレーダーの役目をしているのはもちろんですが、音はコミュニケーションの役割も担っています。言葉を使えば人と人の心を伝えあうことができます。さらに、生活を豊かな楽しいものにしてくれるのが音楽です。私たち人間は、多くのすばらしい楽器を作り出し、音の組み合わせを芸術にまで高めたのです。楽器は、音の世界を豊かにする画期的な発明だと言えるでしょう。

 言葉の森長文作成委員会(κ)
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 ヘモグロビンと葉緑素 読解マラソン集 小3 冬 11番
 読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
 ホラー映画や推理ドラマでは、「したたる真っ赤な血」の映像に、怖い場面が想像されて、ドキドキしたり、時には「きゃーっ」と叫んでチャンネルを変えてしまうことがあります。赤いペンキがたれていても、私たちは血を連想してしまいます。では、血の色はなぜ赤いのでしょうか。
 じつは、血の色は必ずしも赤とは限らないのです。ふだんあまり血まで見ることはありませんが、エビやタコ、イカなどは青い血を持っています。人間や多くの動物の血の色は確かに赤ですが、この赤い色は、意外なものに関係があります。それは、鉄です。では、どうして、鉄と血が関係あるのでしょうか。
 人間の血液は、赤血球という赤い色のつぶと血漿という黄色の液体でできています。赤血球は、丸いお団子の真ん中をへこませてつぶしたような形をしていて、大きさは髪の毛の太さの十分の一ほどです。この赤血球が、私たちの体の中で酸素を運ぶ大切な役目を果たしているのです。
 赤血球の中には、ヘモグロビンという赤い色素がいっぱいに詰まっています。これが、血の赤い色の正体です。ヘモグロビンは、ヘムとグロビンが合体してできています。グロビンが透明なのに対して、ヘムは赤い色をしています。そして、このヘムの真ん中に鉄が含まれているためにヘムが赤い色をしているのです。
 ちなみに、青い血のエビやタコでは、鉄は含まれていません。エビやタコの血の中には、鉄の代わりに銅が含まれています。銅というのは、十円玉を作っている金属です。銅は、そのままではやや赤い色をしていますが、血の中では青い色の素になるのです。
 細胞が活動するには酸素が必要で、活動するといらない二酸化炭素ができます。ヘモグロビンと血液は、このいらない二酸化炭素を代わりに受け取り、また肺へともどっていきます。そ∵して、また肺で、二酸化炭素と酸素を交換して運んでくるのです。
 ところで、この働き者のヘモグロビンですが、意外なことに、とても似たものが植物の中にあるのです。それは、植物の葉の中にある葉緑素です。葉緑素は、葉が緑色に見えている素になっているものですが、こちらもとても働き者です。太陽の光を浴びると、葉緑素は、私たちが捨てている二酸化炭素と水を使って、デンプンという養分と酸素を作り出します。地球上に酸素がいっぱいあるのは、植物の葉緑素のおかげなのです。
 そして、不思議なことに、この葉緑素と私たちの血の中にあるヘモグロビンのヘムは、構造がとてもよく似ているのです。葉緑素は、ヘムの中の鉄の代わりに、真ん中にマグネシウムという金属を持っています。ヘモグロビンと葉緑素は、どちらも動物と植物が生きていくのに大切なものですが、それがこのように似ているということは、もしかすると動物も植物も、みんな仲間なのだということなのかもしれません。
 私たちが赤い血の代わりに、葉緑素でも生きていけるようになったら、太陽の光に当たるだけで、食事をしなくても済むようになるでしょう。そうしたら、太陽でお腹いっぱい、めでたいようなどということになるかもしれません。しかし、いろいろなおいしい料理を食べる楽しみはなくなってしまいます。また、ホラー映画で血がたれていても、
「だあれ、こんなところに青汁こぼしたの。」
の一言で終わってしまいます。ドラキュラも、緑色の液体を飲み干して、こう言うようになるかもしれません。
「まずい! もう一杯。」 言葉の森長文作成委員会(τ)
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 薬だった砂糖 読解マラソン集 小3 冬 12番
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 時計が動くには電池が必要なように、私たちが生きて活動するためには、エネルギーが必要です。そのエネルギーを、私たちはご飯を食べることで体に取り込んでいます。お米やパンの中に多く含まれているデンプンは、糖質と呼ばれるものの仲間で、人間の体の大事な栄養の素です。砂糖も、この糖質の仲間です。デンプンも砂糖も、いちばん小さい単糖類というのものに分解されて体に吸収され、私たちのエネルギーになりますが、脳や神経は、単糖類の一種であるブドウ糖だけしかエネルギーとして利用できません。つまり、脳や神経を働かせるために、糖質はなくてはならないものなのです。脳や神経は、砂糖のおかげで、さっと動くことができるというわけです。
 最近では「太る」とか、「糖尿病になる」とか、「虫歯になる」などと言われて、ちょっと悪者扱いの砂糖ですが、じつは私たちにとってはなくてはならない調味料です。昔のヨーロッパでは、栄養豊富な薬として使われていたこともありました。昔、砂糖は、現在の石油のように輸入しなければならない高価な食品だったのです。また、日本でも、江戸時代ごろから砂糖を輸入し始めましたが、最初のころ、砂糖はやはり薬として高い値段で輸入されていました。
 どうして砂糖を輸入しなければならなかったかというと、砂糖は最初、サトウキビから作られていたからです。サトウキビというのはイネ科の植物で、熱帯や亜熱帯などの暑い地方でしか栽培できないので、ヨーロッパなどでは作ることができませんでした。日本では、現在は沖縄と南西諸島で作られています。
 サトウキビは、高さが人間の背の倍ぐらい、茎の太さが手首ぐらいの、竹とススキを足して二で割ったような姿をしています。
 サトウキビは暑い地方でしかとれなかったので、ヨーロッパで力∵のあったスペインやポルトガル、イギリスやフランスなどは、そういう暑い地方を自分たちの植民地にしました。そして、その地方の人々や、アフリカから奴隷として連れてきた人たちを働かせて、砂糖を作らせたのです。
 しかし、そういう植民地を持たない国は、サトウキビ以外のものから砂糖を作る研究を進めました。そして、今のドイツであるプロイセンの研究者が、サトウダイコンにも砂糖が含まれていることを発見しました。フランスのナポレオンがサトウダイコンの栽培に力を入れると、砂糖はヨーロッパ中に広まりました。
 サトウダイコンは、テンサイやビートとも呼ばれ、カブに似た植物で、この根から砂糖をとることができます。サトウキビと違って、涼しい気候でよく育つので、日本では北海道で栽培されています。ロシア民話に出てくるカブは、たいていはこのサトウダイコンのことです。
 現在、砂糖の約七割は、やはりサトウキビから作られています。残りの三割が、サトウダイコンから作られています。また、サトウカエデの幹に穴を開け、そこから出てくる液を集めて煮詰めたものがメープルシロップで、カナダのものが有名です。
 「宿題しなさい。」と言われて、「ちょっと待って。おやつを食べてから。」というのは、脳に栄養を与えてよく働くようにするという意味で正しいことです。「腹が減っては戦はできぬ」と言いますが、それは脳にとっても同じです。
 砂糖は今、サトウキビやサトウダイコンやサトウカエデから取れますが、将来、品種改良が進んで、ニンジンやゴボウやショウガからも取れるようになるかもしれません。
「どうですか。ショウガさん。」
「さあ、どうでしょうが。」
 言葉の森長文作成委員会(τ)
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