脳のネットワーク 読解マラソン集 小3 冬 1番
読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
脳は、人間の体の中でもとくに大切な 器官で、がんじょうな 頭蓋骨の中におさめられ、 念入りに 守られています。人間のからだの、ほとんどすべての 動きは、 脳の 命令によるものです。また、体の 動きだけでなく、 感情、思考、 創造、言語などの 知的活動も、 脳が行なっています。その 重さは、生まれたばかりの赤ちゃんで 約四百グラム、大人はその三 倍ぐらいあります。
しかし、人間よりももっと 重い脳をもつ 動物もいます。たとえば、ゾウの 脳は 約五キログラムもあり、クジラにいたっては十キログラムにも 達するものがいます。もし 脳の 重さだけで頭のよさが 決まるとすれば、 私たち人間は、ゾウやクジラよりも頭が 悪いということになってしまうので、 重さだけが頭のよさを 決めるわけではなさそうです。
人間の 脳では、 大脳とよばれる 部分がとくに 発達しており、その 表面にはたくさんの 皺があります。 大脳の 皺をていねいにのばすと、その大きさは新聞紙1ページ分にもなります。それだけの広い 面積をもつ 大脳の 神経細胞の数は、百四十 億個と言われています。では、この 神経細胞の数が、頭のよさを 決めるのでしょうか。
実は、 二十歳をすぎたころから、人間の 神経細胞はだんだん 減っていきます。その数は、一日に十万 個から二十万 個です。しかも、 神経細胞は新しく作られることはありません。
もし、 神経細胞の数が頭のよさを 決めるのであれば、 二十歳ぐらいの人が一番頭がよく、その後、 神経細胞が 減っていくにしたがって、 次第に頭の 働きがおとろえていくということになります。しかし、六十 歳や七十 歳になっても、りっぱな 仕事をして、すばらしい 活躍をしている人はたくさんいます。計算してみると、 二十歳の人とくらべると、六十 歳の人は二十 億個以上も 細胞が 減っていることになりますが、その分、頭の 働きが 悪くなっているということはないのです。∵
人間の頭が 働くために大切なものは、 神経細胞の数だけではありません。 神経細胞は、一つ一つが 別々に 働くのではなく、いくつもの 細胞が手をつなぐようにネットワークを作っています。そして、 私たちが 勉強をして頭を 使えば 使うほど、たくさんの 神経細胞が手をつなぎ、新しいネットワークを作ってくれます。ぎゃくに、 使わないネットワークは、 次々と 消えていきます。たとえば、自分でものを考えず人にたよってばかりいると、せっかく作ったネットワークがどんどん 消えてしまうおそれがあります。 神経細胞の数が 減っても頭の 働きはおとろえませんが、このネットワークが 減ってしまうと、 判断する力や新しいことを考える力がおとろえていきます。
人間の 脳は、 使い続けるかぎり新しい 神経細胞のネットワークが作られ、何 歳になってもそのすばらしい 働きを 失わずにいられます。そして、自分の頭の中に、どんなすばらしい 神経細胞のネットワークを作るのかは、自分しだいというわけです。
すばらしいネットワークを作って、ワークワークした人生を 送りましょうねっと。
言葉の森 長文作成委員会(κ)
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恐竜はなぜ絶滅したか 読解マラソン集 小3 冬 2番
読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
恐竜は、およそ二 億三千万年前に 出現しました。しかし、今から六千五百万年前に、なぜか 突然のように、 地球上から 姿を 消してしまいました。なぜ 恐竜は、 絶滅してしまったのでしょうか。その 理由について、 研究者たちから多くの考えが出されています。
そのひとつは、 巨大隕石説というものです。 宇宙から 巨大な 隕石が 落ちてきて、 地球に 衝突したのではないかという 説です。そのため、ガスや細かいちりが 発生して 地球をおおいつくし、半年近くも 太陽光線をさえぎりました。まっくらな大地で 植物は 枯れ、 気温も下がりました。 植物をエサとする草食 恐竜たちは、 飢えと 寒さで 次々と 倒れ、 死んでいきます。すると、その草食 恐竜をエサにしていた肉食 恐竜たちも 死に絶えます。こうして、 地球上の 恐竜たちは 絶滅してしまったとする考えです。
ほかに、火山 噴火説という 説もあります。そのころ、 地球のいろいろなところで火山が 爆発しました。 噴出した 二酸化炭素で、 地球は 急激に 温暖化しました。このため食べられる 植物が、すっかり 枯れてしまったのです。さらに、 噴火によって 塩素が 大量に 放出され、 地球を 取り巻くオゾン 層も 破壊されました。この 結果、 有害な 紫外線が地上に 降り注ぎ、 恐竜をはじめとする多くの 生物が 死に絶えたという 説です。
さらに、ストレス 説という考えもあります。 恐竜の数がどんどん 増え、 地球はいたるところ 恐竜だらけになってしまいました。 満員電車に 乗っているような 状態です。このストレスで、 異常のある 卵が生まれるようになりました。また、たくさんの 恐竜たちが 植物を食べつくし、エサも少なくなってしまいました。このため、 恐竜の数が 減っていき、ついには 絶滅したというのです。∵
おもしろいところでは、 便秘説というものもあります。そのころ、 地球上に多くはえていたソテツは、草食 恐竜の大切なエサでした。このソテツには、草食 恐竜が 排泄をするために 必要な 成分がふくまれていたのです。ところが 自然環境の 変化で、このソテツは少なくなってしまいました。草食 恐竜たちは 便秘になり、 死んでしまいました。すると肉食 恐竜たちもエサがなくなり、生き 続けることができません。あの大きな 恐竜たちが 便秘で 絶滅してしまったなんて、 運が 悪くてかわいそうな、しかしちょっと 情けないような話です。
さて、どの考えが一番正しいのでしょうか。 実は、それはわかっていません。 恐竜絶滅の 理由は、まだまだ大きな 謎につつまれています。
しかし、 恐竜は一 億六千万年 以上もの長い間、この 地球上でゆうゆうと生きました。一 億六千万年。気が遠くなるような、長い年月です。わたしたち 人類は、 誕生してから今日まで、まだ数百万年しかたっていません。 恐竜の生きた時間をかりに一年とすると、 人類の生きてきた時間はわずか数十日ほどという計算になります。今、 我がもの顔にこの 地球を 支配している 人類も、 恐竜に 比べたら、まだほんのわずかしか生きていないのです。
そう考えると、 恐竜は十分にこの 地球上で生きつくしたとも言えるでしょう。わたしたち 人類も、 恐竜のように長くたくましく生きていきたいものです。そして、少なくとも 人類が 便秘で 絶滅することだけは 避けなければなりません。それは、ちょっと 格好悪いからです。
言葉の森 長文作成委員会(γ)
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筋肉の働き 読解マラソン集 小3 冬 3番
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私たちの体を 動かすために、 筋肉はとても大切なものです。 筋肉というと、きたえぬかれた肉体をもつボディビルダーを 思い浮かべるかもしれませんが、 筋肉は、 動物にとって 生命活動をいとなむためになくてはならない 重要な 組織なのです。
私たちが走ったり歩いたりジャンプしたりするために、 筋肉が 働いているのは言うまでもありませんが、 運動するときに 働く筋肉は、 骨格筋といって、 骨にしっかりとむすびついて 骨を 動かしているものです。この 筋肉は、 私たちが 動かそうと思えば 自由に 動かすことができます。顔にも、 表情を作り出すたくさんの 筋肉が 複雑に入り組んでいます。これは 骨格筋ではありませんが、自分の 意志で 動かせる 筋肉です。 笑い顔や 泣き顔や 困った顔など、心の 動きに合わせて 私たちはいろいろな 表情を作ることができます。
筋肉が 働くのは、 運動するときだけではありません。 私たちの 内臓が毎日 動いているのも、 内臓の 壁を作っている 筋肉のおかげであり、たとえば 心臓が 動くのは 心筋という 筋肉が 動いているからです。この 心筋は、生まれてから 死ぬまで、休むことなく 一定のリズムで 動いて、体中に 血液を 送っています。 内臓の 筋肉は、自分の 意志で 動かすことはできません。
自分の 意志で 動かせる 骨格筋について考えてみましょう。 腕を 曲げると、りっぱな力こぶができる人がいます。 筋肉があまりない女の人でも、さわってみると、少しは力こぶができているのが 確認できます。この力こぶは 腕の 筋肉が 縮んだときにできるもので、 筋肉が力を 発揮するのは、このように 縮んだ 状態のときです。
オリンピックの 陸上選手を 思い浮かべてください。 短距離を走る 選手の 筋肉は、みごとに 発達していて、いかにも力強い 感じです。しかし、マラソンのような 長距離の 選手はどうでしょう。∵ほっそりとして、 華奢な体つきの 選手がほとんどです。あの細い体のどこにあれだけのパワーがひそんでいるのかと、 不思議に思えるほどです。では、マラソン 選手が、 短距離選手のように 筋肉を 発達させたら、もっと 記録をのばせるのでしょうか。そうはいきません。
私たちの 骨格筋には、 縮み方が 速く瞬時に大きな力を出せる 速筋と、 縮む速さがおそいかわりに 持久力にすぐれた 遅筋があり、 短距離走者には 速筋が多く、 長距離走者には 遅筋が多いといわれています。それぞれの 必要な 筋肉の 種類が 異なるわけです。 遅筋は、赤い色の タンパク質を多くふくんでいるので「赤い 筋肉」、 速筋は「白い 筋肉」とよばれることがあります。
おもしろいことに、「赤い 筋肉」「白い 筋肉」は、魚にもあります。みなさんは、マグロの 身が赤く、ヒラメの 身が白いことを知っているでしょう。マグロやカツオのように 長距離を 泳ぐ魚には 遅筋が多くついているので、肉が 赤身になり、ヒラメなど 海底にじっとしていることの多い魚はほとんど 速筋なので、肉が 白身になります。つまり、マグロは 長距離走者、ヒラメは 短距離走者に 似ているというわけです。
もし、マグロの 赤身とヒラメの 白身の 両方を 持っている魚がいたらどうなるでしょう。 身が赤と白なので、おめでたい魚として、お正月のカマボコのかわりに 使われるようになったかもしれません。
「マグロさん、どうでしょうか。」
「マー、グロテスク。」
「ヒラメさん、どうですか。」
「そんな魚、ヒラメえなあ。」
言葉の森 長文作成委員会(κ)
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伝書バト 読解マラソン集 小3 冬 4番
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伝書バトは、 信頼のおける 郵便配達員のようです。 伝書バトに 届けてもらう手紙は、足につけた小さな 筒の中に入れたり、 背中にくくりつけたりします。 伝書バトは、 託された手紙を、遠く 離れた 相手のもとへ 届けることができます。二百キロメートルぐらいの 距離を 飛ぶのが 普通ですが、時には千キロメートルも 離れた 場所まで 飛ぶこともあります。千キロメートルというと、だいたい東京から北海道、 又は東京から九 州ぐらいまでの 距離になります。これほど 離れた 相手先に、 間違わずにたどりつける 能力にはおどろきます。
しかし、こんなに 優秀な 伝書バトにも弱点があります。それは、いつも同じ 届け先にしか手紙を 運べないことと、あまり 重いものは 運べないことです。 伝書バトがめざすのは、手紙のあて先に書かれた 住所ではなく、自分が生まれたハト 小屋です。つまり、 伝書バトの手紙の 配達は、 帰巣本能を 利用したものなのです。
地図も 持たずに何百キロも 離れた地点に 正確にたどりつくのは、人間にとっては、たいへん 難しいことです。 伝書バトは、なぜ自分の 巣のある 場所に 迷わずに帰ることができるのでしょう。かつては、地上に見える 目印と、 太陽の 場所、それに 地球の 磁気をたよりに 飛び、夜になると星を 目印に 進むのだろうと言われてきました。 最近の 研究によると、 伝書バトの 方向感覚は、すぐれた 嗅覚のおかげでもあると言われています。
遠くからでも、 迷わずに自分の 巣に帰ることができるハトの 性質を、 大昔から人間は知っていました。 古代エジプトでは、 漁船が 伝書バトを 使って、 漁の 成果を海から 陸に知らせていたそうです。 一度放たれた 伝書バトは、休むことなく何百キロも 飛び続けるため、電話やメールがない 時代は、 最も速い通信手段でした。∵ 近代にいたるまで、 伝書バトは、 軍事用や 報道用の 通信手段として数多く 使われてきました。また、 離れ小島などの 輸送が 難しい地域に、 薬や 血清を 運んで、 医療の 手助けをしていた 伝書バトもいました。
現在では、 通信手段として 伝書バトが 利用されることはほとんどなくなり、スポーツとしてのハトのレースが 開催されている 程度です。本来、 帰巣本能にすぐれているハトですが、近年になって、レースに出たハトが 戻ってこないことがだんだん 増えてきました。 優秀なはずのハトが、なぜか 途中で 迷子になってしまうのです。この 原因は、はっきりとはわかっていませんが、 携帯電話などの 電磁波が 影響しているという 説があります。また、ハトの 品種改良を行なった 際、スピードばかりを 重視して、 方向感覚がにぶってしまったのではないかとも言われています。
それにしても、 伝書バトの 郵便配達には、ガソリンなどの 燃料は一切 使わないし、切手も 不要です。ごほうびに 豆をいくつか 与えれば 満足してくれる 伝書バトは、 環境にやさしい、すばらしく 優秀な 郵便配達員ではないでしょうか。
ハトと同じように 身近な鳥に、スズメやカラスがいます。どうして 伝書スズメや 伝書カラスがいないかというと、スズメに手紙をつけると 重くて前にすずめないからです。また、カラスに手紙をつけると、 途中で ゴミ箱に 寄り、手紙のことを 忘れてしまうからっす。
言葉の森 長文作成委員会(κ)
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強い骨 読解マラソン集 小3 冬 5番
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骨と言うと、理科室にある 人骨の 模型を思い出す人もいるでしょう。人間の体は、さまざまな形や大きさの 骨が数多く 集まって、 骨格を作っています。 骨はたいへん 丈夫なもので、たとえば、 頭蓋骨は 平らな 骨がドーム 状に組み合わさってできていて、 脳を 守るヘルメットのような 役割をしています。また、 肋骨はかごのような形をしていて、 肺や 心臓などの 内臓を 守っています。
骨と 骨がつながっている 部分は、どうなっているのでしょう。ただ 単に、 接着剤でくっつけたように組み合わさっていたら、 骨は 自由に 動きません。しかし、 私たちは手や足を 自由に 動かすことができます。 骨どうしが 動きやすいようにつながっているところを 関節といいます。ひざや 指の 関節は、ドアの 蝶番のような形をしています。 肩や 股関節などは、丸いくぼみに 球の形をした 骨がはまっており、あらゆる 方向に 動かすことができます。 関節の 骨と 骨が 接している 部分は、 摩擦を 減らすために 軟骨組織におおわれている上、 滑液という 液体が 潤滑油がわりに 骨を 囲んでいます。つまり、 機械に 油をさしてすべりやすくするのと同じで、なめらかに 動くように 工夫されているのです。
骨は、つねに新しい 細胞と 入れ替わっています。 破骨細胞がどんどん 骨を 壊す一方で、 骨芽細胞はせっせと新しい 骨を作ります。 骨折しても、しばらくすると元どおりに 骨がつながるのは、この 破骨細胞と 骨芽細胞が 骨の 修理屋の 役目をするからです。
壊される 骨と新しく作られる 骨のバランスが 取れていれば、 骨はずっと同じ 状態を 保つことができますが、作られる 骨のほうが少なくなると、 骨に 空洞がふえて 軽くなり、 骨折しやすくなります。この 状態を、 骨粗しょう症といいます。∵
カルシウムは、 骨を新しく作るために大切な 栄養素です。またカルシウムは、 心臓をうまく 動かすためにも、 筋肉に力を 発揮させるためにも、 欠かせないものです。カルシウムが 不足すると、イライラしやすくなることも知られています。 骨は、カルシウムを 貯蓄する 銀行のような 役目もしており、あまったカルシウムは 骨に 蓄えられますが、足りなくなると 骨から引き出されて 使われてしまいます。ですから、 食事の 量を 減らして 無理にダイエットをすると、カルシウム 不足になって、 骨が 折れやすくなる 危険があります。
骨を強くするために、もう一つ 大事なことがあります。それは、 運動をして 骨に 適度な 刺激を 与えることです。 宇宙旅行から帰ってきた 飛行士たちは、 地球にいるときよりも、 骨がもろくなっているそうです。 宇宙空間は 無重力なので、人間はふわふわと 浮いていることができます。 地球にいるときのように、力を入れて歩く 必要もありません。そのため、 骨に 刺激を 与えることが 極端に少なくなり、 骨が弱くなってしまうのです。
バランスよく食べて 適度な 運動をすれば、 骨の 健康を 保つことができます。カルシウムは、小魚や 乳製品にたくさん 含まれているので、 好ききらいをせずしっかり食べて、 運動をして、 骨を強くしましょう。 骨は、 使えば 使うほど 丈夫になるのです。
そうでしょう。 骨さん。
「ほうねえ。」
言葉の森 長文作成委員会(κ)
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クマとの共生 読解マラソン集 小3 冬 6番
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最近、人里におりてきたクマによる 被害が、ニュースでもときどき 報道されています。クマの 生息地に近い 住宅では、 自宅の 玄関先にクマがいた、などということもあるようです。キノコ 狩りに山に入った人が 襲われたりするので、クマは 凶暴でこわい 動物だと思われています。しかし、はたして本当にそうなのでしょうか。
現在日本には、北海道に 住むヒグマと 本州に 住むツキノワグマの二 種類がいます。ヒグマの方がツキノワグマよりも 大型です。ツキノワグマの 体重が、人間の大人一人分か二人分ぐらいなの に対して、ヒグマのオスの 体重は、ツキノワグマの二 倍から三 倍にもなります。クマの 動きは 意外にすばやく、ツキノワグマでも 時速四十キロメートルくらいで走れるそうですから、ゆっくりめに走っている 自動車くらいの 速さは出ることになります。しかも、木 登りも 得意ですから、 追いかけられたら、まず 逃げられません。 爪は 鋭く、きばもあります。 確かに、 敵に回すと、こわい 動物のようです。
ふだん、山で 木の 実や虫、 小動物などを食べているクマは、かなり 警戒心が強いので、自分から人間に近づいてくることはありません。どちらかというと、人間を 恐れていて、できれば出会いたくないと思っているのです。ですから、クマと出会わないようにするためには、クマよけの 鈴やラジオなど、大きな音を出すものを 持って歩くとよいと言われています。クマの方に、先に 逃げてもらうのです。
それでも、クマが人里におりてくることがあります。秋、冬ごもりの前にたくさんの 食べ物を 必要としているときと、春、冬ごもりから 目覚めて お腹をすかせているときが多いようです。人里には、人間の出した生ゴミが 置かれていることがあります。また、 果物畑や 畑には、おいしそうな 食べ物がたくさんあります。 庭先の 柿の木につられてくることもあるようです。∵
人里に来ることは、クマにとっても人間にとっても 望ましいことではありません。人に出くわしたクマが人に 危害を 加えてしまったり、 逆にクマが 追われて 鉄砲で 撃たれて 殺されてしまったりすることもあります。しかし、クマを 撃ち殺すだけでは、 問題の 解決にはなりません。クマがこんなに人里におりてくるようになったのはなぜか。その 原因を 調査して、 対策をとらなければならないのです。
クマが人里におりてくるようになったのには、いくつかの 原因が考えられます。クマのすみかの山が人間の 開発で 荒らされ、クマの 食べ物が少なくなっているという 説があります。あるいは 逆に、山の 食べ物がたくさんあるのでクマが 増えているからだという 説もあります。そして、人里に行けばおいしい 食べ物がたくさんあると、クマが知ってしまったことも、大きな 原因と考えられています。
では、 解決法にはどんなものがあるでしょうか。今、さまざまな 団体が、クマの生活を 調査し、クマと人間がどちらもうまくやっていけるように、いろいろな 方法を 試しています。
もともと、クマたちが 住んでいたところへ後から入ってきて、山を切りひらき、町を作ったのは人間です。本当のことを言うと、クマもくまっているのです。人間はもっとクマの 気持ちをくまなければならないのかもしれません。「みなさんのすみかの近くにおじゃましてごめんなさい。でも、あまり 私たちの方へはおりてこないでほしいのです。その 代わり、毎年 お歳暮に、たっぷりのハチミツを 贈りますから、どうぞ食べてください」などという「大人の 付き合い」が、クマともできるとよいのでしょう。
言葉の森 長文作成委員会(τ)
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赤ちゃんの音の世界 読解マラソン集 小3 冬 7番
読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
生まれたての赤ちゃんも、耳は聞こえます。しかし、赤ちゃんは、自分の耳にひびいてくるものが何かは、まったくわかりません。
たとえば、ドアが「バタン」としまる音がします。赤ちゃんにはその音は聞こえますが、それが「ドア」が「しまった」ときの音ということはわかりません。「ドア」というものをまだ知らないからです。
赤ちゃんに 世界がどう聞こえるかについては、さまざまな 研究がされてきました。
赤ちゃんの耳に聞こえるものは、赤ちゃんの頭の中で、いつまでもこだまのようにひびいています。生まれて一 ヶ月の赤ちゃんの耳の中は、あちこちでお寺のかねがなりひびいているような、こだまだらけの音の 世界です。その中から、少しずつ、いろいろな音を聞き分けられるようになります。ですから、赤ちゃんは、はっきり、ゆっくりしゃべってくれる声がすきです。
大人たちが、赤ちゃんにいっしょうけんめい話しかけるとき、よく赤ちゃんことばを 使います。いつもより、高い大きい声で、ことばをやさしくして、みじかくくぎりながら話しかけます。たとえば、
「ごはんは、おいしかったですか? たくさん食べられていいこですね。」
と話しかけるより、
「まんま、おいしい? いっぱい、たべたね。いいこ、いいこ。」
と言ってあげます。赤ちゃんにとっては、このような話しかけ方のほうが親切なのです。
赤ちゃんは、ゆっくりはっきりしゃべってくれると、ぼんやりしたこだまのひびきの中からことばを聞きわけることができます。生まれて四 ヶ月くらいになると、大人どうしの会話より、赤ちゃんことばで話しかけてくれるほうをあきらかに聞きたがるようになります。ぼんやりしたこだまより、はっきり聞こえてくる音をつかまえるほうがおもしろいし、 安心するからです。
ところで、赤ちゃんの耳には、大人のまねできない 能力もあります。
赤ちゃんは、 世界中で話されているどんなことばの音も聞き分けることができます。たとえば、日本人はよく 英語で「L」と∵「R」の 発音が 区別できないと言われます。フランス人は、「ハヒフヘホ」という音が出せません。そのほかにも、「ダヂヅデド」という音が出せない国など、国によってさまざまなことばがあります。しかし、赤ちゃんは、そのすべての音を聞き分けられます。赤ちゃんは外国語の天才といえるかもしれません。
赤ちゃんのときはだれでも、 世界中のことばを聞きわけることができ、声に出すこともできていたというわけです。けれども、赤ちゃんはそのうちに、自分のまわりでよく 使われていることばの音だけを 聞き取るようになってきます。
赤ちゃんのころには、「東京 特許許可局」や「 蛙ぴょこぴょこ 三ぴょこぴょこ合わせてぴょこぴょこ 六ぴょこぴょこ」なども、すらすら言えたのかもしれません。
言葉の森 長文作成委員会(λ)
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人類の祖先 読解マラソン集 小3 冬 8番
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約六千五百万年前に 恐竜が 絶滅すると、 哺乳類が 急速に 繁栄しはじめました。 最初の 哺乳類は、今のネズミに 似ていました。 哺乳類は、 体温を 一定に 保つしくみを体の中に 持っていたので、いろいろな 環境で 暮らすことができ、多くの 種類に分かれていきました。
アフリカでは、サルの 仲間である 霊長類が、さまざまな 進化をしていきました。その中でも、森の中で 暮らしていた 霊長類が、 私たち 人類の 祖先だと言われています。 彼らは、 果物などを食べて、一日のほとんどを木の上で 過ごしていました。木の上は 食料がたくさんあり、 猛獣から 身を 守るのにも 都合がよく、 暮らしやすい 場所だったと考えられます。
森の木の上に 住んでいた 霊長類が、どのようにして 人類の 祖先に 進化したのでしょう。これについては、 次のような 説があります。
ちょうどこのころ、火山が 活発に 活動し、大きな 地震が 起こり、アフリカ 大陸を南北に 貫く「アフリカ大 地溝帯」が 形成されました。 富士山よりも 標高の高い、長い 山脈ができたことによって、その 東側はだんだん 乾燥し、もともとジャングルだった 場所が草原に 変わっていきました。
草原で生きていくために、 霊長類は木から下りなくてはなりませんでした。 豊かな森と 比べると、草原は 食料が少ない上、 猛獣にも見つかりやすく、おそわれる 危険がありました。 獲物をつかまえたり、 敵をいち早く見つけて 逃げるためには、より遠くを 見渡す必要があったのでしょう。草原で生活を 始めた 霊長類は、二本足で立って歩き 始めました。これが 人類の 祖先です。
直立二足歩行を 始めたことで、 人類の 祖先は、ほかのサルとは明らかに 違う道を歩み 始めました。 彼らは、 自由になった前足を∵手として 使うことができるようになりました。今から三百万年前の 猿人、アウストラロピテクスは、 石器を 使っていました。これが 道具の 始まりです。また、 約五十万年前の原人は、火を 使って生活していたことがわかっています。その後に 出現した 旧人のネアンデルタール人は、 死者を 埋葬する 習慣がありました。
約四万年前に生活していた新人のクロマニヨン人は、 現在の 人類とほとんど 変わらない 姿をしていました。 彼らはすでに 言葉を話し、 協力して 狩りや 漁をして 暮らしていたのです。クロマニヨン人は、ナイフ、刀などの 石器や、 美しく彫刻された 骨格器を作り、 槍や弓矢を 発明して 集団で 狩りを行なっていました。わなをしかけることで、マンモスやシカなどの 巨大な 獲物もつかまえることができました。 彼らの 暮らしていた 洞くつには、今も、 狩りの 成功を 祈って 描いたと思われる 動物の絵が 残っています。
このように、アフリカ大 地溝帯の 東側の 厳しい環境が、 人類の 祖先を生み出しましたが、 西側ではどうだったのでしょうか。 食料が 豊富なジャングルの中で 暮らしてきた 霊長類は、 現在まであまり 変わらない 姿を 保ってきました。これが、ゴリラ、チンパンジー、ボノボなどの、 人類と 最も似かよった 生物とされている 類人猿です。
人間は木から下りることによって、サルと分かれました。しかし、今でも 昔の 時代が 懐かしくなることがあります。公園の木を見るとふと 登りたくなったり、木の上でキャッキャッと 叫んでみたくなったりするのはそのためです。
言葉の森 長文作成委員会(κ)
| 読んだ回数を「正」で記録しておきましょう。 読解マラソン集 回目 8番目 |
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免疫の連携プレー 読解マラソン集 小3 冬 9番
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私たちの 身の 周りには、 細菌、かび、 寄生虫など、 病気の元になるものがたくさんあります。しかし、 私たちは 病気の元に出会ったからといって、すぐに 病気にかかってしまうわけではありません。なぜなら、体の中には、 病気の元になる 病原体から体を 守るシステムが 備わっているからです。このシステムのことを 免疫システムといいます。
体の中には、 免疫細胞という 細胞が何 種類もあり、 病原体が体の中に入ってくると、それを 攻撃してとりのぞく 働きをします。これにはいろいろな 方法があります。まず、 病原体を丸ごと食べてしまう 方法です。 血液の中には、 赤血球と 白血球がありますが、 免疫を 担当しているのは 白血球です。 白血球の 仲間の 好中球は、 食いしん坊な 細胞で、体の中に入った 細菌などを食べて 消化してしまいます。しかし、 好中球だけでは 病原体を 退治できない場合があります。
風邪で 熱を出したときなど、わきの下や 首筋がはれて、さわるとぐりぐりを 感じる場合があります。これはリンパ 節がはれている 状態です。このリンパ 節は、体のあちこちに 約六百 個もあります。 免疫システムの 主役は、このリンパ 節と、リンパ 節どうしをむすぶリンパ 管です。リンパ 管の中にはリンパと 呼ばれる黄色っぽい 透明な 液体が 流れています。その中には 免疫細胞のリンパ 球が入っていて、 病原体が入ってくると、リンパ 節のところで 待ち受けて 戦いを 始めます。
では、リンパ 球はどのように 病原体と 戦うのでしょう。まず、ヘルパーT 細胞が、自分の体に本来あるはずのないものが入って来たことに気づきます。そして、 攻撃を 始めなさいという 命令をB 細胞に出します。B 細胞は、 抗体という 武器をあやつることができる 細胞です。B 細胞が作り出した 抗体は、 効率よく 病原体を 攻撃することができます。 抗体に 攻撃されて弱った 病原体は、マクロ∵ファージが食べてしまいます。みごとな 連携プレーです。
そのほか、ナチュラル・キラー 細胞(NK 細胞)も、 病原体を 攻撃することができます。T 細胞やB 細胞が 見逃すような 病原体でも、「何か 変だな」と思えば 攻撃します。また、T 細胞やB 細胞は、 攻撃を 始めるのに ある程度時間がかかりますが、その間も、ナチュラル・キラー 細胞はずっと 攻撃をし 続けてくれます。体を 守るために、 免疫システムは、 二重三重に 防御をしていることがわかります。
それぞれの 細胞の 連携プレーによって、 病原体がほぼ 全滅すると、T 細胞の 仲間が 攻撃をやめるように 全体に 命令を出します。この 命令が出ると、 戦いは 終了です。
おどろいたことに、T 細胞もB 細胞も、 一度出会ったことのある 敵は 決して忘れません。同じ 敵が二 度目に体に入ってきたときは、一 度目よりもずっとすばやく 攻撃をしかけることができます。たとえば、はしかの 病原体に 初めて出会ったとき、B 細胞は、 抗体を作るのに時間がかかるので、その間に 熱が出たり 病気のさまざまな 症状が出たりします。しかし二 度目からは、B 細胞がはしかの 病原体を 覚えているので、すぐに 抗体を作り、 病原体を 退治することができます。 抗体によって、あっという間に 病原体を 後退させてしまうのです。ですから、二 度目からは、はしかの 病原体が体に入っても 熱が出るようなことはありません。このことを「はしかの 免疫がある」と言います。
免疫は、明るい 気持ちでいると強くなることが知られています。 免疫さえあれば、 細菌や 寄生虫に 囲まれていても元気に 暮らしていくことができます。 試しに、カビだらけでにこにこ 笑っている自分の 姿を 想像してみてください。何だか楽しくなってくるでしょう。 言葉の森 長文作成委員会(κ)
| 読んだ回数を「正」で記録しておきましょう。 読解マラソン集 回目 9番目 |
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音のしくみ 読解マラソン集 小3 冬 10番
読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
暗い夜道を一人で歩いているとき、後ろから 誰かが近づいてきたら、何となく 気配でわかるものです。何も見えないのに、後ろの 様子がわかるのはなぜでしょう。このとき 感じる気配というのは、 実は音なのです。 真っ暗闇の中では、目よりも耳が 活躍して、音によって 周りの 様子を 感じ取っています。
目隠しをしていても、どの 方向から音がするのか 私たちは知ることができます。それは、耳が二つあるおかげです。右耳と左耳で聞いている音の大きさの 違いから、音のする 場所を 判断することができるのです。これをうまく 利用したのが、ステレオスピーカーです。目をつぶってステレオから 流れる音楽を 聴いていると、自分の前でオーケストラが 演奏しているような 感じがします。一つ一つの 楽器の左右の音の強さを、 位置に 応じて 変えているため、いろいろな 位置から音が聞こえてくるように思えるのです。たとえば、右のスピーカーと左のスピーカーから同じ強さでピアノの音が聞こえれば、ピアノは 舞台の 中央にあるように 感じます。また、左のスピーカーからバイオリンの音が強く聞こえれば、左のほうにバイオリニストがいて 演奏しているように 感じるのです。
音の正体は、空気の 振動です。空気の 濃い部分と 薄い部分が、リズミカルにくり 返されると、それが音になります。たいこを 叩くと、たいこの 皮が 押されて、 反対側の空気を 押しつぶします。すると、その 部分の空気が 濃くなります。 次に、 押された 皮は 反動で元にもどります。このときに空気をひきもどし、その 部分の空気は 薄くなります。 皮が元にもどる力で、この 動きがくり 返されると、空気の 濃い部分と 薄い部分がリズミカルに 現れます。たいこを 叩くと音が鳴るのは、このためです。
バイオリンやギターなどの 弦楽器も、たいこと同じ原理で音を出します。ただ、 弦は細いので、たいこのように 周りの空気をたくさんふるわせることができません。そこで、 弦の 振動を 板に∵ 伝えて、 板全体がふるえるように 工夫されています。そうすることで、細い 弦を 使っていても大きな音を出すことができるのです。
空気が 振動すれば、それはすべて音になって聞こえるのでしょうか。空気の 濃い薄いがくり 返される 速さの 単位を、ヘルツといいます。たとえば、一 秒間に百回くり 返されれば、百ヘルツです。このヘルツが大きければ大きいほど、音は高くなります。人間が 聞き取れる音は、二十ヘルツから二万ヘルツの間で、それよりも高い音や 低い音は聞こえません。ところが、こうもりはもっと高い音を 聞き取ることができます。 昔は、こうもりには声がないと思われていましたが、 調査の 結果、人間には聞こえない高い声を出しているということがわかりました。コウモリはこの音の 反射を 利用して、 暗闇の中でもぶつからずに 飛ぶことができたのです。 昔の人は、コウモリがこうもりこうな 動物だとは知らなかったでしょう。
私たちの生活の中で、音は大切な 役割を 果たしています。ものの 位置を 確かめるレーダーの 役目をしているのはもちろんですが、音はコミュニケーションの 役割も 担っています。 言葉を 使えば人と人の心を 伝えあうことができます。さらに、生活を 豊かな楽しいものにしてくれるのが音楽です。 私たち人間は、多くのすばらしい 楽器を作り出し、音の組み合わせを 芸術にまで高めたのです。 楽器は、音の 世界を 豊かにする 画期的な 発明だと言えるでしょう。
言葉の森 長文作成委員会(κ)
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ヘモグロビンと葉緑素 読解マラソン集 小3 冬 11番
読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
ホラー 映画や 推理ドラマでは、「したたる 真っ赤な 血」の 映像に、 怖い場面が 想像されて、ドキドキしたり、時には「きゃーっ」と 叫んでチャンネルを 変えてしまうことがあります。赤いペンキがたれていても、 私たちは 血を 連想してしまいます。では、 血の色はなぜ赤いのでしょうか。
じつは、 血の色は 必ずしも赤とは 限らないのです。ふだんあまり 血まで見ることはありませんが、エビやタコ、イカなどは青い 血を 持っています。人間や多くの 動物の 血の色は 確かに赤ですが、この赤い色は、 意外なものに 関係があります。それは、 鉄です。では、どうして、 鉄と 血が 関係あるのでしょうか。
人間の 血液は、 赤血球という赤い色のつぶと 血漿という黄色の 液体でできています。 赤血球は、丸いお 団子の 真ん中をへこませてつぶしたような形をしていて、大きさは 髪の毛の太さの十分の一ほどです。この 赤血球が、 私たちの体の中で 酸素を 運ぶ大切な 役目を 果たしているのです。
赤血球の中には、ヘモグロビンという赤い 色素がいっぱいに 詰まっています。これが、 血の赤い色の正体です。ヘモグロビンは、ヘムとグロビンが合体してできています。グロビンが 透明なの に対して、ヘムは赤い色をしています。そして、このヘムの 真ん中に 鉄が 含まれているためにヘムが赤い色をしているのです。
ちなみに、青い 血のエビやタコでは、 鉄は 含まれていません。エビやタコの 血の中には、 鉄の 代わりに 銅が 含まれています。 銅というのは、十円玉を作っている 金属です。 銅は、そのままではやや赤い色をしていますが、 血の中では青い色の 素になるのです。
細胞が 活動するには 酸素が 必要で、 活動するといらない 二酸化炭素ができます。ヘモグロビンと 血液は、このいらない 二酸化炭素を 代わりに 受け取り、また 肺へともどっていきます。そ∵して、また 肺で、 二酸化炭素と 酸素を 交換して 運んでくるのです。
ところで、この 働き者のヘモグロビンですが、 意外なことに、とても 似たものが 植物の中にあるのです。それは、 植物の 葉の中にある 葉緑素です。 葉緑素は、 葉が 緑色に見えている 素になっているものですが、こちらもとても 働き者です。 太陽の光を 浴びると、 葉緑素は、 私たちが 捨てている 二酸化炭素と水を 使って、デンプンという 養分と 酸素を作り出します。 地球上に 酸素がいっぱいあるのは、 植物の 葉緑素のおかげなのです。
そして、 不思議なことに、この 葉緑素と 私たちの 血の中にあるヘモグロビンのヘムは、 構造がとてもよく 似ているのです。 葉緑素は、ヘムの中の 鉄の 代わりに、 真ん中にマグネシウムという 金属を 持っています。ヘモグロビンと 葉緑素は、どちらも 動物と 植物が生きていくのに大切なものですが、それがこのように 似ているということは、もしかすると 動物も 植物も、みんな 仲間なのだということなのかもしれません。
私たちが赤い 血の 代わりに、 葉緑素でも生きていけるようになったら、 太陽の光に当たるだけで、 食事をしなくても 済むようになるでしょう。そうしたら、 太陽で お腹いっぱい、めでたいようなどということになるかもしれません。しかし、いろいろなおいしい 料理を食べる楽しみはなくなってしまいます。また、ホラー 映画で 血がたれていても、
「だあれ、こんなところに青 汁こぼしたの。」
の一言で 終わってしまいます。ドラキュラも、 緑色の 液体を 飲み干して、こう言うようになるかもしれません。
「まずい! もう 一杯。」 言葉の森 長文作成委員会(τ)
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薬だった砂糖 読解マラソン集 小3 冬 12番
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時計が 動くには電池が 必要なように、 私たちが生きて 活動するためには、エネルギーが 必要です。そのエネルギーを、 私たちは ご飯を食べることで体に 取り込んでいます。お米やパンの中に多く 含まれているデンプンは、 糖質と 呼ばれるものの 仲間で、人間の体の 大事な 栄養の 素です。 砂糖も、この 糖質の 仲間です。デンプンも 砂糖も、いちばん小さい 単糖類というのものに 分解されて体に 吸収され、 私たちのエネルギーになりますが、 脳や 神経は、 単糖類の 一種である ブドウ糖だけしかエネルギーとして 利用できません。つまり、 脳や 神経を 働かせるために、 糖質はなくてはならないものなのです。 脳や 神経は、 砂糖のおかげで、さっと 動くことができるというわけです。
最近では「太る」とか、「 糖尿病になる」とか、「 虫歯になる」などと言われて、ちょっと 悪者扱いの 砂糖ですが、じつは 私たちにとってはなくてはならない 調味料です。 昔のヨーロッパでは、 栄養豊富な 薬として 使われていたこともありました。 昔、 砂糖は、 現在の 石油のように 輸入しなければならない 高価な 食品だったのです。また、日本でも、 江戸時代ごろから 砂糖を 輸入し 始めましたが、 最初のころ、 砂糖はやはり 薬として高い 値段で 輸入されていました。
どうして 砂糖を 輸入しなければならなかったかというと、 砂糖は 最初、サトウキビから作られていたからです。サトウキビというのはイネ科の 植物で、 熱帯や 亜熱帯などの 暑い地方でしか 栽培できないので、ヨーロッパなどでは作ることができませんでした。日本では、 現在は 沖縄と 南西諸島で作られています。
サトウキビは、高さが人間の 背の 倍ぐらい、 茎の太さが手首ぐらいの、竹とススキを足して二で 割ったような 姿をしています。
サトウキビは 暑い地方でしかとれなかったので、ヨーロッパで力∵のあったスペインやポルトガル、イギリスやフランスなどは、そういう 暑い地方を自分たちの 植民地にしました。そして、その地方の人々や、アフリカから 奴隷として 連れてきた人たちを 働かせて、 砂糖を作らせたのです。
しかし、そういう 植民地を 持たない国は、サトウキビ 以外のものから 砂糖を作る 研究を 進めました。そして、今のドイツであるプロイセンの 研究者が、サトウダイコンにも 砂糖が 含まれていることを 発見しました。フランスのナポレオンがサトウダイコンの 栽培に力を入れると、 砂糖はヨーロッパ中に広まりました。
サトウダイコンは、テンサイやビートとも 呼ばれ、カブに 似た 植物で、この 根から 砂糖をとることができます。サトウキビと 違って、 涼しい気候でよく 育つので、日本では北海道で 栽培されています。ロシア 民話に出てくるカブは、たいていはこのサトウダイコンのことです。
現在、 砂糖の 約七 割は、やはりサトウキビから作られています。 残りの三 割が、サトウダイコンから作られています。また、サトウカエデの 幹に 穴を 開け、そこから出てくる 液を 集めて 煮詰めたものがメープルシロップで、カナダのものが 有名です。
「 宿題しなさい。」と言われて、「ちょっと 待って。おやつを食べてから。」というのは、 脳に 栄養を 与えてよく 働くようにするという 意味で正しいことです。「 腹が 減っては 戦はできぬ」と言いますが、それは 脳にとっても同じです。
砂糖は今、サトウキビやサトウダイコンやサトウカエデから 取れますが、 将来、 品種改良が 進んで、ニンジンやゴボウやショウガからも 取れるようになるかもしれません。
「どうですか。ショウガさん。」
「さあ、どうでしょうが。」
言葉の森 長文作成委員会(τ)
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