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 読解マラソン集(ルビつき)小3冬
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 脳のネットワーク 読解マラソン集 小3 冬 1番
 読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
 脳(のう)は、人間の体の中でもとくに大切な器官(きかん)で、がんじょうな頭蓋骨(ずがいこつ)の中におさめられ、念入り(ねんい )に守ら(まも )れています。人間のからだの、ほとんどすべての動き(うご )は、脳(のう)の命令(めいれい)によるものです。また、体の動き(うご )だけでなく、感情(かんじょう)、思考、創造(そうぞう)、言語などの知的(ちてき)活動(かつどう)も、脳(のう)が行なっています。その重(おも)さは、生まれたばかりの赤ちゃんで約(やく)四百グラム、大人はその三倍(ばい)ぐらいあります。 
 しかし、人間よりももっと重い(おも )脳(のう)をもつ動物(どうぶつ)もいます。たとえば、ゾウの脳(のう)は約(やく)五キログラムもあり、クジラにいたっては十キログラムにも達する(たっ  )ものがいます。もし脳(のう)の重(おも)さだけで頭のよさが決まる(き  )とすれば、私(わたし)たち人間は、ゾウやクジラよりも頭が悪い(わる )ということになってしまうので、重(おも)さだけが頭のよさを決める(き  )わけではなさそうです。 
 人間の脳(のう)では、大脳(だいのう)とよばれる部分(ぶぶん)がとくに発達(はったつ)しており、その表面(ひょうめん)にはたくさんの皺(しわ)があります。大脳(だいのう)の皺(しわ)をていねいにのばすと、その大きさは新聞紙1ページ分にもなります。それだけの広い面積(めんせき)をもつ大脳(だいのう)の神経(しんけい)細胞(さいぼう)の数は、百四十億(おく)個(こ)と言われています。では、この神経(しんけい)細胞(さいぼう)の数が、頭のよさを決める(き  )のでしょうか。 
 実は(じつ )、二十歳(はたち)をすぎたころから、人間の神経(しんけい)細胞(さいぼう)はだんだん減っ(へ )ていきます。その数は、一日に十万個(こ)から二十万個(こ)です。しかも、神経(しんけい)細胞(さいぼう)は新しく作られることはありません。 
 もし、神経(しんけい)細胞(さいぼう)の数が頭のよさを決める(き  )のであれば、二十歳(はたち)ぐらいの人が一番頭がよく、その後、神経(しんけい)細胞(さいぼう)が減っ(へ )ていくにしたがって、次第に(しだい )頭の働き(はたら )がおとろえていくということになります。しかし、六十歳(さい)や七十歳(さい)になっても、りっぱな仕事(しごと)をして、すばらしい活躍(かつやく)をしている人はたくさんいます。計算してみると、二十歳(はたち)の人とくらべると、六十歳(さい)の人は二十億(おく)個(こ)以上(いじょう)も細胞(さいぼう)が減っ(へ )ていることになりますが、その分、頭の働き(はたら )が悪く(わる )なっているということはないのです。∵
 人間の頭が働く(はたら )ために大切なものは、神経(しんけい)細胞(さいぼう)の数だけではありません。神経(しんけい)細胞(さいぼう)は、一つ一つが別々(べつべつ)に働く(はたら )のではなく、いくつもの細胞(さいぼう)が手をつなぐようにネットワークを作っています。そして、私(わたし)たちが勉強(べんきょう)をして頭を使え(つか )ば使う(つか )ほど、たくさんの神経(しんけい)細胞(さいぼう)が手をつなぎ、新しいネットワークを作ってくれます。ぎゃくに、使わ(つか )ないネットワークは、次々(つぎつぎ)と消え(き )ていきます。たとえば、自分でものを考えず人にたよってばかりいると、せっかく作ったネットワークがどんどん消え(き )てしまうおそれがあります。神経(しんけい)細胞(さいぼう)の数が減っ(へ )ても頭の働き(はたら )はおとろえませんが、このネットワークが減っ(へ )てしまうと、判断(はんだん)する力や新しいことを考える力がおとろえていきます。
 人間の脳(のう)は、使い(つか )続ける(つづ  )かぎり新しい神経(しんけい)細胞(さいぼう)のネットワークが作られ、何歳(さい)になってもそのすばらしい働き(はたら )を失わ(うしな )ずにいられます。そして、自分の頭の中に、どんなすばらしい神経(しんけい)細胞(さいぼう)のネットワークを作るのかは、自分しだいというわけです。
 すばらしいネットワークを作って、ワークワークした人生を送り(おく )ましょうねっと。

 言葉(ことば)の森長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(κ)
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 恐竜はなぜ絶滅したか 読解マラソン集 小3 冬 2番
 読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
 恐竜(きょうりゅう)は、およそ二億(おく)三千万年前に出現(しゅつげん)しました。しかし、今から六千五百万年前に、なぜか突然(とつぜん)のように、地球(ちきゅう)上から姿(すがた)を消し(け )てしまいました。なぜ恐竜(きょうりゅう)は、絶滅(ぜつめつ)してしまったのでしょうか。その理由(りゆう)について、研究者(けんきゅうしゃ)たちから多くの考えが出されています。
 そのひとつは、巨大(きょだい)隕石(いんせき)説(せつ)というものです。宇宙(うちゅう)から巨大(きょだい)な隕()石が落ち(お )てきて、地球(ちきゅう)に衝突(しょうとつ)したのではないかという説(せつ)です。そのため、ガスや細かいちりが発生(はっせい)して地球(ちきゅう)をおおいつくし、半年近くも太陽光(たいようこう)線をさえぎりました。まっくらな大地で植物(しょくぶつ)は枯れ(か )、気温(きおん)も下がりました。植物(しょくぶつ)をエサとする草食恐竜(きょうりゅう)たちは、飢え(う )と寒(さむ)さで次々(つぎつぎ)と倒れ(たお )、死ん(し )でいきます。すると、その草食恐竜(きょうりゅう)をエサにしていた肉食恐竜(きょうりゅう)たちも死に絶え(し た )ます。こうして、地球(ちきゅう)上の恐竜(きょうりゅう)たちは絶滅(ぜつめつ)してしまったとする考えです。
 ほかに、火山噴火(ふんか)説(せつ)という説(せつ)もあります。そのころ、地球(ちきゅう)のいろいろなところで火山が爆発(ばくはつ)しました。噴出(ふんしゅつ)した二酸化炭素(にさんかたんそ)で、地球(ちきゅう)は急激(きゅうげき)に温暖(おんだん)化(か)しました。このため食べられる植物(しょくぶつ)が、すっかり枯れ(か )てしまったのです。さらに、噴火(ふんか)によって塩素(えんそ)が大量(たいりょう)に放出(ほうしゅつ)され、地球(ちきゅう)を取り巻く(と ま )オゾン層(そう)も破壊(はかい)されました。この結果(けっか)、有害(ゆうがい)な紫外線(しがいせん)が地上に降り注ぎ(ふ そそ )、恐竜(きょうりゅう)をはじめとする多くの生物(せいぶつ)が死に絶え(し た )たという説(せつ)です。
 さらに、ストレス説(せつ)という考えもあります。恐竜(きょうりゅう)の数がどんどん増え(ふ )、地球(ちきゅう)はいたるところ恐竜(きょうりゅう)だらけになってしまいました。満員(まんいん)電車に乗っ(の )ているような状態(じょうたい)です。このストレスで、異常(いじょう)のある卵(たまご)が生まれるようになりました。また、たくさんの恐竜(きょうりゅう)たちが植物(しょくぶつ)を食べつくし、エサも少なくなってしまいました。このため、恐竜(きょうりゅう)の数が減っ(へ )ていき、ついには絶滅(ぜつめつ)したというのです。∵
 おもしろいところでは、便秘(べんぴ)説(せつ)というものもあります。そのころ、地球(ちきゅう)上に多くはえていたソテツは、草食恐竜(きょうりゅう)の大切なエサでした。このソテツには、草食恐竜(きょうりゅう)が排泄(はいせつ)をするために必要(ひつよう)な成分(せいぶん)がふくまれていたのです。ところが自然(しぜん)環境(かんきょう)の変化(へんか)で、このソテツは少なくなってしまいました。草食恐竜(きょうりゅう)たちは便秘(べんぴ)になり、死ん(し )でしまいました。すると肉食恐竜(きょうりゅう)たちもエサがなくなり、生き続ける(つづ  )ことができません。あの大きな恐竜(きょうりゅう)たちが便秘(べんぴ)で絶滅(ぜつめつ)してしまったなんて、運(うん)が悪く(わる )てかわいそうな、しかしちょっと情けない(なさ   )ような話です。
 さて、どの考えが一番正しいのでしょうか。実は(じつ )、それはわかっていません。恐竜(きょうりゅう)絶滅(ぜつめつ)の理由(りゆう)は、まだまだ大きな謎(なぞ)につつまれています。
 しかし、恐竜(きょうりゅう)は一億(おく)六千万年以上(いじょう)もの長い間、この地球(ちきゅう)上でゆうゆうと生きました。一億(おく)六千万年。気が遠くなるような、長い年月です。わたしたち人類(じんるい)は、誕生(たんじょう)してから今日まで、まだ数百万年しかたっていません。恐竜(きょうりゅう)の生きた時間をかりに一年とすると、人類(じんるい)の生きてきた時間はわずか数十日ほどという計算になります。今、我が(わ )もの顔にこの地球(ちきゅう)を支配(しはい)している人類(じんるい)も、恐竜(きょうりゅう)に比べ(くら )たら、まだほんのわずかしか生きていないのです。
 そう考えると、恐竜(きょうりゅう)は十分にこの地球(ちきゅう)上で生きつくしたとも言えるでしょう。わたしたち人類(じんるい)も、恐竜(きょうりゅう)のように長くたくましく生きていきたいものです。そして、少なくとも人類(じんるい)が便秘(べんぴ)で絶滅(ぜつめつ)することだけは避け(さ )なければなりません。それは、ちょっと格好(かっこう)悪い(わる )からです。

 言葉(ことば)の森長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(γ)



   
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 筋肉の働き 読解マラソン集 小3 冬 3番
 読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
 私(わたし)たちの体を動かす(うご  )ために、筋肉(きんにく)はとても大切なものです。筋肉(きんにく)というと、きたえぬかれた肉体をもつボディビルダーを思い浮かべる(おも う   )かもしれませんが、筋肉(きんにく)は、動物(どうぶつ)にとって生命(せいめい)活動(かつどう)をいとなむためになくてはならない重要(じゅうよう)な組織(そしき)なのです。
 私(わたし)たちが走ったり歩いたりジャンプしたりするために、筋肉(きんにく)が働い(はたら )ているのは言うまでもありませんが、運動(うんどう)するときに働く(はたら )筋肉(きんにく)は、骨格筋(こっかくきん)といって、骨(ほね)にしっかりとむすびついて骨(ほね)を動かし(うご  )ているものです。この筋肉(きんにく)は、私(わたし)たちが動かそ(うご  )うと思えば自由(じゆう)に動かす(うご  )ことができます。顔にも、表情(ひょうじょう)を作り出すたくさんの筋肉(きんにく)が複雑(ふくざつ)に入り組んでいます。これは骨格筋(こっかくきん)ではありませんが、自分の意志(いし)で動か(うご )せる筋肉(きんにく)です。笑い(わら )顔や泣き顔(な がお)や困っ(こま )た顔など、心の動き(うご )に合わせて私(わたし)たちはいろいろな表情(ひょうじょう)を作ることができます。
 筋肉(きんにく)が働く(はたら )のは、運動(うんどう)するときだけではありません。私(わたし)たちの内臓(ないぞう)が毎日動い(うご )ているのも、内臓(ないぞう)の壁(かべ)を作っている筋肉(きんにく)のおかげであり、たとえば心臓(しんぞう)が動く(うご )のは心筋(しんきん)という筋肉(きんにく)が動い(うご )ているからです。この心筋(しんきん)は、生まれてから死ぬ(し )まで、休むことなく一定(いってい)のリズムで動い(うご )て、体中に血液(けつえき)を送っ(おく )ています。内臓(ないぞう)の筋肉(きんにく)は、自分の意志(いし)で動かす(うご  )ことはできません。
 自分の意志(いし)で動か(うご )せる骨格筋(こっかくきん)について考えてみましょう。腕(うで)を曲げる(ま  )と、りっぱな力こぶができる人がいます。筋肉(きんにく)があまりない女の人でも、さわってみると、少しは力こぶができているのが確認(かくにん)できます。この力こぶは腕(うで)の筋肉(きんにく)が縮ん(ちぢ )だときにできるもので、筋肉(きんにく)が力を発揮(はっき)するのは、このように縮ん(ちぢ )だ状態(じょうたい)のときです。
 オリンピックの陸上(りくじょう)選手(せんしゅ)を思い浮かべ(おも う  )てください。短距離(たんきょり)を走る選手(せんしゅ)の筋肉(きんにく)は、みごとに発達(はったつ)していて、いかにも力強い感じ(かん )です。しかし、マラソンのような長距離(ちょうきょり)の選手(せんしゅ)はどうでしょう。∵ほっそりとして、華奢(きゃしゃ)な体つきの選手(せんしゅ)がほとんどです。あの細い体のどこにあれだけのパワーがひそんでいるのかと、不思議(ふしぎ)に思えるほどです。では、マラソン選手(せんしゅ)が、短距離(たんきょり)選手(せんしゅ)のように筋肉(きんにく)を発達(はったつ)させたら、もっと記録(きろく)をのばせるのでしょうか。そうはいきません。
 私(わたし)たちの骨格筋(こっかくきん)には、縮み(ちぢ )方が速く(はや )瞬時(しゅんじ)に大きな力を出せる速筋(そっきん)と、縮む(ちぢ )速(はや)さがおそいかわりに持久(じきゅう)力にすぐれた遅筋(ちきん)があり、短距離(たんきょり)走者(そうしゃ)には速筋(そっきん)が多く、長距離(ちょうきょり)走者(そうしゃ)には遅筋(ちきん)が多いといわれています。それぞれの必要(ひつよう)な筋肉(きんにく)の種類(しゅるい)が異なる(こと  )わけです。遅筋(ちきん)は、赤い色のタンパク質(    しつ)を多くふくんでいるので「赤い筋肉(きんにく)」、速筋(そっきん)は「白い筋肉(きんにく)」とよばれることがあります。
 おもしろいことに、「赤い筋肉(きんにく)」「白い筋肉(きんにく)」は、魚にもあります。みなさんは、マグロの身(み)が赤く、ヒラメの身(み)が白いことを知っているでしょう。マグロやカツオのように長距離(ちょうきょり)を泳ぐ(およ )魚には遅筋(ちきん)が多くついているので、肉が赤身(あかみ)になり、ヒラメなど海底(かいてい)にじっとしていることの多い魚はほとんど速筋(そっきん)なので、肉が白身(しろみ)になります。つまり、マグロは長距離(ちょうきょり)走者(そうしゃ)、ヒラメは短距離(たんきょり)走者(そうしゃ)に似(に)ているというわけです。
 もし、マグロの赤身(あかみ)とヒラメの白身(しろみ)の両方(りょうほう)を持っ(も )ている魚がいたらどうなるでしょう。身(み)が赤と白なので、おめでたい魚として、お正月のカマボコのかわりに使わ(つか )れるようになったかもしれません。
「マグロさん、どうでしょうか。」
「マー、グロテスク。」
「ヒラメさん、どうですか。」
「そんな魚、ヒラメえなあ。」

 言葉(ことば)の森長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(κ)
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 伝書バト 読解マラソン集 小3 冬 4番
 読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
 伝書(でんしょ)バトは、信頼(しんらい)のおける郵便(ゆうびん)配達員(はいたついん)のようです。伝書(でんしょ)バトに届け(とど )てもらう手紙は、足につけた小さな筒(つつ)の中に入れたり、背中(せなか)にくくりつけたりします。伝書(でんしょ)バトは、託さ(たく )れた手紙を、遠く離れ(はな )た相手(あいて)のもとへ届ける(とど  )ことができます。二百キロメートルぐらいの距離(きょり)を飛ぶ(と )のが普通(ふつう)ですが、時には千キロメートルも離れ(はな )た場所(ばしょ)まで飛ぶ(と )こともあります。千キロメートルというと、だいたい東京から北海道、又は(また )東京から九州(しゅう)ぐらいまでの距離(きょり)になります。これほど離れ(はな )た相手(あいて)先に、間違わ(まちが )ずにたどりつける能力(のうりょく)にはおどろきます。
 しかし、こんなに優秀(ゆうしゅう)な伝書(でんしょ)バトにも弱点があります。それは、いつも同じ届け先(とど さき)にしか手紙を運べ(はこ )ないことと、あまり重い(おも )ものは運べ(はこ )ないことです。伝書(でんしょ)バトがめざすのは、手紙のあて先に書かれた住所(じゅうしょ)ではなく、自分が生まれたハト小屋(ごや)です。つまり、伝書(でんしょ)バトの手紙の配達(はいたつ)は、帰巣(きそう)本能(ほんのう)を利用(りよう)したものなのです。
 地図も持た(も )ずに何百キロも離れ(はな )た地点に正確(せいかく)にたどりつくのは、人間にとっては、たいへん難しい(むずか  )ことです。伝書(でんしょ)バトは、なぜ自分の巣(す)のある場所(ばしょ)に迷わ(まよ )ずに帰ることができるのでしょう。かつては、地上に見える目印(めじるし)と、太陽(たいよう)の場所(ばしょ)、それに地球(ちきゅう)の磁気(じき)をたよりに飛び(と )、夜になると星を目印(めじるし)に進む(すす )のだろうと言われてきました。最近(さいきん)の研究(けんきゅう)によると、伝書(でんしょ)バトの方向(ほうこう)感覚(かんかく)は、すぐれた嗅覚(きゅうかく)のおかげでもあると言われています。
 遠くからでも、迷わ(まよ )ずに自分の巣(す)に帰ることができるハトの性質(せいしつ)を、大昔(おおむかし)から人間は知っていました。古代(こだい)エジプトでは、漁船(ぎょせん)が伝書(でんしょ)バトを使っ(つか )て、漁(りょう)の成果(せいか)を海から陸(りく)に知らせていたそうです。一度(いちど)放た(はな )れた伝書(でんしょ)バトは、休むことなく何百キロも飛び(と )続ける(つづ  )ため、電話やメールがない時代(じだい)は、最も(もっと )速い(はや )通信(つうしん)手段(しゅだん)でした。∵近代(きんだい)にいたるまで、伝書(でんしょ)バトは、軍事(ぐんじ)用や報道(ほうどう)用の通信(つうしん)手段(しゅだん)として数多く使わ(つか )れてきました。また、離れ(はな )小島(こじま)などの輸送(ゆそう)が難しい(むずか  )地域(ちいき)に、薬(くすり)や血清(けっせい)を運ん(はこ )で、医療(いりょう)の手助け(てだす )をしていた伝書(でんしょ)バトもいました。
 現在(げんざい)では、通信(つうしん)手段(しゅだん)として伝書(でんしょ)バトが利用(りよう)されることはほとんどなくなり、スポーツとしてのハトのレースが開催(かいさい)されている程度(ていど)です。本来、帰巣(きそう)本能(ほんのう)にすぐれているハトですが、近年になって、レースに出たハトが戻っ(もど )てこないことがだんだん増え(ふ )てきました。優秀(ゆうしゅう)なはずのハトが、なぜか途中(とちゅう)で迷子(まいご)になってしまうのです。この原因(げんいん)は、はっきりとはわかっていませんが、携帯(けいたい)電話などの電磁波(でんじは)が影響(えいきょう)しているという説(せつ)があります。また、ハトの品種(ひんしゅ)改良(かいりょう)を行なった際(さい)、スピードばかりを重視(じゅうし)して、方向(ほうこう)感覚(かんかく)がにぶってしまったのではないかとも言われています。
 それにしても、伝書(でんしょ)バトの郵便(ゆうびん)配達(はいたつ)には、ガソリンなどの燃料(ねんりょう)は一切使わ(つか )ないし、切手も不要(ふよう)です。ごほうびに豆(まめ)をいくつか与えれ(あた  )ば満足(まんぞく)してくれる伝書(でんしょ)バトは、環境(かんきょう)にやさしい、すばらしく優秀(ゆうしゅう)な郵便(ゆうびん)配達員(はいたついん)ではないでしょうか。
 ハトと同じように身近(みぢか)な鳥に、スズメやカラスがいます。どうして伝書(でんしょ)スズメや伝書(でんしょ)カラスがいないかというと、スズメに手紙をつけると重く(おも )て前にすずめないからです。また、カラスに手紙をつけると、途中(とちゅう)でゴミ箱(  ばこ)に寄り(よ )、手紙のことを忘れ(わす )てしまうからっす。

 言葉(ことば)の森長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(κ)
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 強い骨 読解マラソン集 小3 冬 5番
 読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
 骨(ほね)と言うと、理科室にある人骨(じんこつ)の模型(もけい)を思い出す人もいるでしょう。人間の体は、さまざまな形や大きさの骨(ほね)が数多く集まっ(あつ  )て、骨格(こっかく)を作っています。骨(ほね)はたいへん丈夫(じょうぶ)なもので、たとえば、頭蓋骨(ずがいこつ)は平ら(たい )な骨(ほね)がドーム状(じょう)に組み合わさってできていて、脳(のう)を守る(まも )ヘルメットのような役割(やくわり)をしています。また、肋骨(ろっこつ)はかごのような形をしていて、肺(はい)や心臓(しんぞう)などの内臓(ないぞう)を守っ(まも )ています。
 骨(ほね)と骨(ほね)がつながっている部分(ぶぶん)は、どうなっているのでしょう。ただ単に(たん )、接着(せっちゃく)剤(ざい)でくっつけたように組み合わさっていたら、骨(ほね)は自由(じゆう)に動き(うご )ません。しかし、私(わたし)たちは手や足を自由(じゆう)に動かす(うご  )ことができます。骨(ほね)どうしが動き(うご )やすいようにつながっているところを関節(かんせつ)といいます。ひざや指(ゆび)の関節(かんせつ)は、ドアの蝶番(ちょうつがい)のような形をしています。肩(かた)や股関節(こかんせつ)などは、丸いくぼみに球(たま)の形をした骨(ほね)がはまっており、あらゆる方向(ほうこう)に動かす(うご  )ことができます。関節(かんせつ)の骨(ほね)と骨(ほね)が接し(せっ )ている部分(ぶぶん)は、摩擦(まさつ)を減らす(へ  )ために軟骨(なんこつ)組織(そしき)におおわれている上、滑液(かつえき)という液体(えきたい)が潤滑油(じゅんかつゆ)がわりに骨(ほね)を囲ん(かこ )でいます。つまり、機械(きかい)に油(あぶら)をさしてすべりやすくするのと同じで、なめらかに動く(うご )ように工夫(くふう)されているのです。
 骨(ほね)は、つねに新しい細胞(さいぼう)と入れ替わっ(い か  )ています。破骨(はこつ)細胞(さいぼう)がどんどん骨(ほね)を壊す(こわ )一方で、骨芽(こつが)細胞(さいぼう)はせっせと新しい骨(ほね)を作ります。骨折(こっせつ)しても、しばらくすると元どおりに骨(ほね)がつながるのは、この破骨(はこつ)細胞(さいぼう)と骨芽(こつが)細胞(さいぼう)が骨(ほね)の修理(しゅうり)屋(や)の役目(やくめ)をするからです。
 壊さ(こわ )れる骨(ほね)と新しく作られる骨(ほね)のバランスが取れ(と )ていれば、骨(ほね)はずっと同じ状態(じょうたい)を保つ(たも )ことができますが、作られる骨(ほね)のほうが少なくなると、骨(ほね)に空洞(くうどう)がふえて軽く(かる )なり、骨折(こっせつ)しやすくなります。この状態(じょうたい)を、骨(こつ)粗しょう(そ   )症(しょう)といいます。∵
 カルシウムは、骨(ほね)を新しく作るために大切な栄養素(えいようそ)です。またカルシウムは、心臓(しんぞう)をうまく動かす(うご  )ためにも、筋肉(きんにく)に力を発揮(はっき)させるためにも、欠か(か )せないものです。カルシウムが不足(ふそく)すると、イライラしやすくなることも知られています。骨(ほね)は、カルシウムを貯蓄(ちょちく)する銀行(ぎんこう)のような役目(やくめ)もしており、あまったカルシウムは骨(ほね)に蓄え(たくわ )られますが、足りなくなると骨(ほね)から引き出されて使わ(つか )れてしまいます。ですから、食事(しょくじ)の量(りょう)を減らし(へ  )て無理(むり)にダイエットをすると、カルシウム不足(ふそく)になって、骨(ほね)が折れ(お )やすくなる危険(きけん)があります。
 骨(ほね)を強くするために、もう一つ大事(だいじ)なことがあります。それは、運動(うんどう)をして骨(ほね)に適度(てきど)な刺激(しげき)を与える(あた  )ことです。宇宙(うちゅう)旅行(りょこう)から帰ってきた飛行(ひこう)士(し)たちは、地球(ちきゅう)にいるときよりも、骨(ほね)がもろくなっているそうです。宇宙(うちゅう)空間は無重力(むじゅうりょく)なので、人間はふわふわと浮い(う )ていることができます。地球(ちきゅう)にいるときのように、力を入れて歩く必要(ひつよう)もありません。そのため、骨(ほね)に刺激(しげき)を与える(あた  )ことが極端(きょくたん)に少なくなり、骨(ほね)が弱くなってしまうのです。
 バランスよく食べて適度(てきど)な運動(うんどう)をすれば、骨(ほね)の健康(けんこう)を保つ(たも )ことができます。カルシウムは、小魚や乳製品(にゅうせいひん)にたくさん含ま(ふく )れているので、好ききらい(す    )をせずしっかり食べて、運動(うんどう)をして、骨(ほね)を強くしましょう。骨(ほね)は、使え(つか )ば使う(つか )ほど丈夫(じょうぶ)になるのです。
 そうでしょう。骨(ほね)さん。 
「ほうねえ。」 

 言葉(ことば)の森長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(κ)
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 クマとの共生 読解マラソン集 小3 冬 6番
 読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
 最近(さいきん)、人里におりてきたクマによる被害(ひがい)が、ニュースでもときどき報道(ほうどう)されています。クマの生息(せいそく)地に近い住宅(じゅうたく)では、自宅(じたく)の玄関(げんかん)先にクマがいた、などということもあるようです。キノコ狩り(か )に山に入った人が襲わ(おそ )れたりするので、クマは凶暴(きょうぼう)でこわい動物(どうぶつ)だと思われています。しかし、はたして本当にそうなのでしょうか。
 現在(げんざい)日本には、北海道に住む(す )ヒグマと本州(ほんしゅう)に住む(す )ツキノワグマの二種類(しゅるい)がいます。ヒグマの方がツキノワグマよりも大型(おおがた)です。ツキノワグマの体重(たいじゅう)が、人間の大人一人分か二人分ぐらいなのに対して( たい  )、ヒグマのオスの体重(たいじゅう)は、ツキノワグマの二倍(ばい)から三倍(ばい)にもなります。クマの動き(うご )は意外(いがい)にすばやく、ツキノワグマでも時速(じそく)四十キロメートルくらいで走れるそうですから、ゆっくりめに走っている自動車(じどうしゃ)くらいの速(はや)さは出ることになります。しかも、木登り(のぼ )も得意(とくい)ですから、追いかけ(お   )られたら、まず逃げ(に )られません。爪(つめ)は鋭く(するど )、きばもあります。確か(たし )に、敵(てき)に回すと、こわい動物(どうぶつ)のようです。
 ふだん、山で木()の実(み)や虫、小動物(しょうどうぶつ)などを食べているクマは、かなり警戒(けいかい)心が強いので、自分から人間に近づいてくることはありません。どちらかというと、人間を恐れ(おそ )ていて、できれば出会いたくないと思っているのです。ですから、クマと出会わないようにするためには、クマよけの鈴(すず)やラジオなど、大きな音を出すものを持っ(も )て歩くとよいと言われています。クマの方に、先に逃げ(に )てもらうのです。
 それでも、クマが人里におりてくることがあります。秋、冬ごもりの前にたくさんの食べ物(た もの)を必要(ひつよう)としているときと、春、冬ごもりから目覚め(めざ )てお腹( なか)をすかせているときが多いようです。人里には、人間の出した生ゴミが置か(お )れていることがあります。また、果物(くだもの)畑(ばたけ)や畑(はたけ)には、おいしそうな食べ物(た もの)がたくさんあります。庭先(にわさき)の柿の木(かき き)につられてくることもあるようです。∵
 人里に来ることは、クマにとっても人間にとっても望ましい(のぞ   )ことではありません。人に出くわしたクマが人に危害(きがい)を加え(くわ )てしまったり、逆(ぎゃく)にクマが追わ(お )れて鉄砲(てっぽう)で撃た(う )れて殺さ(ころ )れてしまったりすることもあります。しかし、クマを撃ち殺す(う ころ )だけでは、問題(もんだい)の解決(かいけつ)にはなりません。クマがこんなに人里におりてくるようになったのはなぜか。その原因(げんいん)を調査(ちょうさ)して、対策(たいさく)をとらなければならないのです。
 クマが人里におりてくるようになったのには、いくつかの原因(げんいん)が考えられます。クマのすみかの山が人間の開発(かいはつ)で荒らさ(あ  )れ、クマの食べ物(た もの)が少なくなっているという説(せつ)があります。あるいは逆(ぎゃく)に、山の食べ物(た もの)がたくさんあるのでクマが増え(ふ )ているからだという説(せつ)もあります。そして、人里に行けばおいしい食べ物(た もの)がたくさんあると、クマが知ってしまったことも、大きな原因(げんいん)と考えられています。
 では、解決(かいけつ)法(ほう)にはどんなものがあるでしょうか。今、さまざまな団体(だんたい)が、クマの生活を調査(ちょうさ)し、クマと人間がどちらもうまくやっていけるように、いろいろな方法(ほうほう)を試し(ため )ています。
 もともと、クマたちが住ん(す )でいたところへ後から入ってきて、山を切りひらき、町を作ったのは人間です。本当のことを言うと、クマもくまっているのです。人間はもっとクマの気持ち(きも )をくまなければならないのかもしれません。「みなさんのすみかの近くにおじゃましてごめんなさい。でも、あまり私(わたし)たちの方へはおりてこないでほしいのです。その代わり(か  )、毎年お歳暮( せいぼ)に、たっぷりのハチミツを贈り(おく )ますから、どうぞ食べてください」などという「大人の付き合い(つ あ )」が、クマともできるとよいのでしょう。

 言葉(ことば)の森長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(τ)
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 赤ちゃんの音の世界 読解マラソン集 小3 冬 7番
 読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
 生まれたての赤ちゃんも、耳は聞こえます。しかし、赤ちゃんは、自分の耳にひびいてくるものが何かは、まったくわかりません。
 たとえば、ドアが「バタン」としまる音がします。赤ちゃんにはその音は聞こえますが、それが「ドア」が「しまった」ときの音ということはわかりません。「ドア」というものをまだ知らないからです。
 赤ちゃんに世界(せかい)がどう聞こえるかについては、さまざまな研究(けんきゅう)がされてきました。
 赤ちゃんの耳に聞こえるものは、赤ちゃんの頭の中で、いつまでもこだまのようにひびいています。生まれて一ヶ月(かげつ)の赤ちゃんの耳の中は、あちこちでお寺のかねがなりひびいているような、こだまだらけの音の世界(せかい)です。その中から、少しずつ、いろいろな音を聞き分けられるようになります。ですから、赤ちゃんは、はっきり、ゆっくりしゃべってくれる声がすきです。
 大人たちが、赤ちゃんにいっしょうけんめい話しかけるとき、よく赤ちゃんことばを使い(つか )ます。いつもより、高い大きい声で、ことばをやさしくして、みじかくくぎりながら話しかけます。たとえば、
「ごはんは、おいしかったですか? たくさん食べられていいこですね。」
と話しかけるより、
「まんま、おいしい? いっぱい、たべたね。いいこ、いいこ。」
と言ってあげます。赤ちゃんにとっては、このような話しかけ方のほうが親切なのです。
 赤ちゃんは、ゆっくりはっきりしゃべってくれると、ぼんやりしたこだまのひびきの中からことばを聞きわけることができます。生まれて四ヶ月(かげつ)くらいになると、大人どうしの会話より、赤ちゃんことばで話しかけてくれるほうをあきらかに聞きたがるようになります。ぼんやりしたこだまより、はっきり聞こえてくる音をつかまえるほうがおもしろいし、安心(あんしん)するからです。
 ところで、赤ちゃんの耳には、大人のまねできない能力(のうりょく)もあります。
 赤ちゃんは、世界中(せかいじゅう)で話されているどんなことばの音も聞き分けることができます。たとえば、日本人はよく英語(えいご)で「L」と∵「R」の発音(はつおん)が区別(くべつ)できないと言われます。フランス人は、「ハヒフヘホ」という音が出せません。そのほかにも、「ダヂヅデド」という音が出せない国など、国によってさまざまなことばがあります。しかし、赤ちゃんは、そのすべての音を聞き分けられます。赤ちゃんは外国語の天才といえるかもしれません。
 赤ちゃんのときはだれでも、世界中(せかいじゅう)のことばを聞きわけることができ、声に出すこともできていたというわけです。けれども、赤ちゃんはそのうちに、自分のまわりでよく使わ(つか )れていることばの音だけを聞き取る(き と )ようになってきます。
 赤ちゃんのころには、「東京特許(とっきょ)許可(きょか)局(きょく)」や「蛙(かえる)ぴょこぴょこ三(み)ぴょこぴょこ合わせてぴょこぴょこ六(む)ぴょこぴょこ」なども、すらすら言えたのかもしれません。

 言葉(ことば)の森長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(λ)
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 人類の祖先 読解マラソン集 小3 冬 8番
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 約(やく)六千五百万年前に恐竜(きょうりゅう)が絶滅(ぜつめつ)すると、哺乳類(ほにゅうるい)が急速(きゅうそく)に繁栄(はんえい)しはじめました。最初(さいしょ)の哺乳類(ほにゅうるい)は、今のネズミに似(に)ていました。哺乳類(ほにゅうるい)は、体温(たいおん)を一定(いってい)に保つ(たも )しくみを体の中に持っ(も )ていたので、いろいろな環境(かんきょう)で暮らす(く  )ことができ、多くの種類(しゅるい)に分かれていきました。
 アフリカでは、サルの仲間(なかま)である霊長(れいちょう)類(るい)が、さまざまな進化(しんか)をしていきました。その中でも、森の中で暮らし(く  )ていた霊長(れいちょう)類(るい)が、私(わたし)たち人類(じんるい)の祖先(そせん)だと言われています。彼ら(かれ )は、果物(くだもの)などを食べて、一日のほとんどを木の上で過ごし(す  )ていました。木の上は食料(しょくりょう)がたくさんあり、猛獣(もうじゅう)から身(み)を守る(まも )のにも都合(つごう)がよく、暮らし(く  )やすい場所(ばしょ)だったと考えられます。
 森の木の上に住ん(す )でいた霊長(れいちょう)類(るい)が、どのようにして人類(じんるい)の祖先(そせん)に進化(しんか)したのでしょう。これについては、次(つぎ)のような説(せつ)があります。
 ちょうどこのころ、火山が活発(かっぱつ)に活動(かつどう)し、大きな地震(じしん)が起こり(お  )、アフリカ大陸(たいりく)を南北に貫く(つらぬ )「アフリカ大地溝(ちこう)帯(たい)」が形成(けいせい)されました。富士山(ふじさん)よりも標高(ひょうこう)の高い、長い山脈(さんみゃく)ができたことによって、その東側(ひがしがわ)はだんだん乾燥(かんそう)し、もともとジャングルだった場所(ばしょ)が草原に変わっ(か  )ていきました。
 草原で生きていくために、霊長(れいちょう)類(るい)は木から下りなくてはなりませんでした。豊か(ゆた )な森と比べる(くら  )と、草原は食料(しょくりょう)が少ない上、猛獣(もうじゅう)にも見つかりやすく、おそわれる危険(きけん)がありました。獲物(えもの)をつかまえたり、敵(てき)をいち早く見つけて逃げる(に  )ためには、より遠くを見渡す(みわた )必要(ひつよう)があったのでしょう。草原で生活を始め(はじ )た霊長(れいちょう)類(るい)は、二本足で立って歩き始め(はじ )ました。これが人類(じんるい)の祖先(そせん)です。
 直立二足歩行を始め(はじ )たことで、人類(じんるい)の祖先(そせん)は、ほかのサルとは明らかに違う(ちが )道を歩み始め(はじ )ました。彼ら(かれ )は、自由(じゆう)になった前足を∵手として使う(つか )ことができるようになりました。今から三百万年前の猿人(えんじん)、アウストラロピテクスは、石器(せっき)を使っ(つか )ていました。これが道具(どうぐ)の始まり(はじ  )です。また、約(やく)五十万年前の原人は、火を使っ(つか )て生活していたことがわかっています。その後に出現(しゅつげん)した旧(きゅう)人のネアンデルタール人は、死者(ししゃ)を埋葬(まいそう)する習慣(しゅうかん)がありました。
 約(やく)四万年前に生活していた新人のクロマニヨン人は、現在(げんざい)の人類(じんるい)とほとんど変わら(か  )ない姿(すがた)をしていました。彼ら(かれ )はすでに言葉(ことば)を話し、協力(きょうりょく)して狩り(か )や漁(りょう)をして暮らし(く  )ていたのです。クロマニヨン人は、ナイフ、刀などの石器(せっき)や、美しく(うつく  )彫刻(ちょうこく)された骨格(こっかく)器(き)を作り、槍(やり)や弓矢を発明(はつめい)して集団(しゅうだん)で狩り(か )を行なっていました。わなをしかけることで、マンモスやシカなどの巨大(きょだい)な獲物(えもの)もつかまえることができました。彼ら(かれ )の暮らし(く  )ていた洞くつ(どう  )には、今も、狩り(か )の成功(せいこう)を祈っ(いの )て描い(えが )たと思われる動物(どうぶつ)の絵が残っ(のこ )ています。
 このように、アフリカ大地溝(ちこう)帯(たい)の東側(ひがしがわ)の厳しい(きび  )環境(かんきょう)が、人類(じんるい)の祖先(そせん)を生み出しましたが、西側(にしがわ)ではどうだったのでしょうか。食料(しょくりょう)が豊富(ほうふ)なジャングルの中で暮らし(く  )てきた霊長(れいちょう)類(るい)は、現在(げんざい)まであまり変わら(か  )ない姿(すがた)を保っ(たも )てきました。これが、ゴリラ、チンパンジー、ボノボなどの、人類(じんるい)と最も(もっと )似かよっ(に   )た生物(せいぶつ)とされている類人猿(るいじんえん)です。
 人間は木から下りることによって、サルと分かれました。しかし、今でも昔(むかし)の時代(じだい)が懐かしく(なつ   )なることがあります。公園の木を見るとふと登り(のぼ )たくなったり、木の上でキャッキャッと叫ん(さけ )でみたくなったりするのはそのためです。

 言葉(ことば)の森長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(κ)
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 免疫の連携プレー 読解マラソン集 小3 冬 9番
 読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
 私(わたし)たちの身(み)の周り(まわ )には、細菌(さいきん)、かび、寄生虫(きせいちゅう)など、病気(びょうき)の元になるものがたくさんあります。しかし、私(わたし)たちは病気(びょうき)の元に出会ったからといって、すぐに病気(びょうき)にかかってしまうわけではありません。なぜなら、体の中には、病気(びょうき)の元になる病原(びょうげん)体から体を守る(まも )システムが備わっ(そな  )ているからです。このシステムのことを免疫(めんえき)システムといいます。
 体の中には、免疫(めんえき)細胞(さいぼう)という細胞(さいぼう)が何種類(しゅるい)もあり、病原(びょうげん)体が体の中に入ってくると、それを攻撃(こうげき)してとりのぞく働き(はたら )をします。これにはいろいろな方法(ほうほう)があります。まず、病原(びょうげん)体を丸ごと食べてしまう方法(ほうほう)です。血液(けつえき)の中には、赤血球(せっけっきゅう)と白血球(はっけっきゅう)がありますが、免疫(めんえき)を担当(たんとう)しているのは白血球(はっけっきゅう)です。白血球(はっけっきゅう)の仲間(なかま)の好中球(こうちゅうきゅう)は、食いしん坊(く   ぼう)な細胞(さいぼう)で、体の中に入った細菌(さいきん)などを食べて消化(しょうか)してしまいます。しかし、好中球(こうちゅうきゅう)だけでは病原(びょうげん)体を退治(たいじ)できない場合があります。
 風邪(かぜ)で熱(ねつ)を出したときなど、わきの下や首筋(くびすじ)がはれて、さわるとぐりぐりを感じる(かん  )場合があります。これはリンパ節(せつ)がはれている状態(じょうたい)です。このリンパ節(せつ)は、体のあちこちに約(やく)六百個(こ)もあります。免疫(めんえき)システムの主役(しゅやく)は、このリンパ節(せつ)と、リンパ節(せつ)どうしをむすぶリンパ管(かん)です。リンパ管(かん)の中にはリンパと呼ば(よ )れる黄色っぽい透明(とうめい)な液体(えきたい)が流れ(なが )ています。その中には免疫(めんえき)細胞(さいぼう)のリンパ球(きゅう)が入っていて、病原(びょうげん)体が入ってくると、リンパ節(せつ)のところで待ち受け(ま う )て戦い(たたか )を始め(はじ )ます。
 では、リンパ球(きゅう)はどのように病原(びょうげん)体と戦う(たたか )のでしょう。まず、ヘルパーT細胞(さいぼう)が、自分の体に本来あるはずのないものが入って来たことに気づきます。そして、攻撃(こうげき)を始め(はじ )なさいという命令(めいれい)をB細胞(さいぼう)に出します。B細胞(さいぼう)は、抗体(こうたい)という武器(ぶき)をあやつることができる細胞(さいぼう)です。B細胞(さいぼう)が作り出した抗体(こうたい)は、効率(こうりつ)よく病原(びょうげん)体を攻撃(こうげき)することができます。抗体(こうたい)に攻撃(こうげき)されて弱った病原(びょうげん)体は、マクロ∵ファージが食べてしまいます。みごとな連携(れんけい)プレーです。
 そのほか、ナチュラル・キラー細胞(さいぼう)(NK細胞(さいぼう))も、病原(びょうげん)体を攻撃(こうげき)することができます。T細胞(さいぼう)やB細胞(さいぼう)が見逃す(みのが )ような病原(びょうげん)体でも、「何か変(へん)だな」と思えば攻撃(こうげき)します。また、T細胞(さいぼう)やB細胞(さいぼう)は、攻撃(こうげき)を始める(はじ  )のにある程度(  ていど)時間がかかりますが、その間も、ナチュラル・キラー細胞(さいぼう)はずっと攻撃(こうげき)をし続け(つづ )てくれます。体を守る(まも )ために、免疫(めんえき)システムは、二重三重(にじゅうさんじゅう)に防御(ぼうぎょ)をしていることがわかります。
 それぞれの細胞(さいぼう)の連携(れんけい)プレーによって、病原(びょうげん)体がほぼ全滅(ぜんめつ)すると、T細胞(さいぼう)の仲間(なかま)が攻撃(こうげき)をやめるように全体(ぜんたい)に命令(めいれい)を出します。この命令(めいれい)が出ると、戦い(たたか )は終了(しゅうりょう)です。
 おどろいたことに、T細胞(さいぼう)もB細胞(さいぼう)も、一度(いちど)出会ったことのある敵(てき)は決して(けっ  )忘れ(わす )ません。同じ敵(てき)が二度目(どめ)に体に入ってきたときは、一度目(どめ)よりもずっとすばやく攻撃(こうげき)をしかけることができます。たとえば、はしかの病原(びょうげん)体に初めて(はじ  )出会ったとき、B細胞(さいぼう)は、抗体(こうたい)を作るのに時間がかかるので、その間に熱(ねつ)が出たり病気(びょうき)のさまざまな症状(しょうじょう)が出たりします。しかし二度目(どめ)からは、B細胞(さいぼう)がはしかの病原(びょうげん)体を覚え(おぼ )ているので、すぐに抗体(こうたい)を作り、病原(びょうげん)体を退治(たいじ)することができます。抗体(こうたい)によって、あっという間に病原(びょうげん)体を後退(こうたい)させてしまうのです。ですから、二度目(どめ)からは、はしかの病原(びょうげん)体が体に入っても熱(ねつ)が出るようなことはありません。このことを「はしかの免疫(めんえき)がある」と言います。
 免疫(めんえき)は、明るい気持ち(きも )でいると強くなることが知られています。免疫(めんえき)さえあれば、細菌(さいきん)や寄生虫(きせいちゅう)に囲ま(かこ )れていても元気に暮らし(く  )ていくことができます。試し(ため )に、カビだらけでにこにこ笑っ(わら )ている自分の姿(すがた)を想像(そうぞう)してみてください。何だか楽しくなってくるでしょう。 言葉(ことば)の森長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(κ)
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 音のしくみ 読解マラソン集 小3 冬 10番
 読解マラソン集は、みなさんの声を取り入れて編集します。ご意見ご要望は、マラソン広場まで。 http://www.mori7.com/marason/hiroba/
 暗い(くら )夜道を一人で歩いているとき、後ろから誰か(だれ )が近づいてきたら、何となく気配(けはい)でわかるものです。何も見えないのに、後ろの様子(ようす)がわかるのはなぜでしょう。このとき感じる(かん  )気配(けはい)というのは、実は(じつ )音なのです。真っ(ま )暗闇(くらやみ)の中では、目よりも耳が活躍(かつやく)して、音によって周り(まわ )の様子(ようす)を感じ取っ(かん と )ています。
 目隠し(めかく )をしていても、どの方向(ほうこう)から音がするのか私(わたし)たちは知ることができます。それは、耳が二つあるおかげです。右耳と左耳で聞いている音の大きさの違い(ちが )から、音のする場所(ばしょ)を判断(はんだん)することができるのです。これをうまく利用(りよう)したのが、ステレオスピーカーです。目をつぶってステレオから流れる(なが  )音楽を聴い(き )ていると、自分の前でオーケストラが演奏(えんそう)しているような感じ(かん )がします。一つ一つの楽器(がっき)の左右の音の強さを、位置(いち)に応じ(おう )て変え(か )ているため、いろいろな位置(いち)から音が聞こえてくるように思えるのです。たとえば、右のスピーカーと左のスピーカーから同じ強さでピアノの音が聞こえれば、ピアノは舞台(ぶたい)の中央(ちゅうおう)にあるように感じ(かん )ます。また、左のスピーカーからバイオリンの音が強く聞こえれば、左のほうにバイオリニストがいて演奏(えんそう)しているように感じる(かん  )のです。
 音の正体は、空気の振動(しんどう)です。空気の濃い(こ )部分(ぶぶん)と薄い(うす )部分(ぶぶん)が、リズミカルにくり返さ(かえ )れると、それが音になります。たいこを叩く(たた )と、たいこの皮(かわ)が押さ(お )れて、反対(はんたい)側(がわ)の空気を押しつぶし(お    )ます。すると、その部分(ぶぶん)の空気が濃く(こ )なります。次に(つぎ )、押さ(お )れた皮(かわ)は反動(はんどう)で元にもどります。このときに空気をひきもどし、その部分(ぶぶん)の空気は薄く(うす )なります。皮(かわ)が元にもどる力で、この動き(うご )がくり返さ(かえ )れると、空気の濃い(こ )部分(ぶぶん)と薄い(うす )部分(ぶぶん)がリズミカルに現れ(あらわ )ます。たいこを叩く(たた )と音が鳴るのは、このためです。
 バイオリンやギターなどの弦(げん)楽器(がっき)も、たいこと同じ原理で音を出します。ただ、弦(げん)は細いので、たいこのように周り(まわ )の空気をたくさんふるわせることができません。そこで、弦(げん)の振動(しんどう)を板(いた)に∵伝え(つた )て、板(いた)全体(ぜんたい)がふるえるように工夫(くふう)されています。そうすることで、細い弦(げん)を使っ(つか )ていても大きな音を出すことができるのです。
 空気が振動(しんどう)すれば、それはすべて音になって聞こえるのでしょうか。空気の濃い(こ )薄い(うす )がくり返さ(かえ )れる速(はや)さの単位(たんい)を、ヘルツといいます。たとえば、一秒間(びょうかん)に百回くり返さ(かえ )れれば、百ヘルツです。このヘルツが大きければ大きいほど、音は高くなります。人間が聞き取れる(き と  )音は、二十ヘルツから二万ヘルツの間で、それよりも高い音や低い(ひく )音は聞こえません。ところが、こうもりはもっと高い音を聞き取る(き と )ことができます。昔(むかし)は、こうもりには声がないと思われていましたが、調査(ちょうさ)の結果(けっか)、人間には聞こえない高い声を出しているということがわかりました。コウモリはこの音の反射(はんしゃ)を利用(りよう)して、暗闇(くらやみ)の中でもぶつからずに飛ぶ(と )ことができたのです。昔(むかし)の人は、コウモリがこうもりこうな動物(どうぶつ)だとは知らなかったでしょう。
 私(わたし)たちの生活の中で、音は大切な役割(やくわり)を果たし(は  )ています。ものの位置(いち)を確かめる(たし   )レーダーの役目(やくめ)をしているのはもちろんですが、音はコミュニケーションの役割(やくわり)も担っ(にな )ています。言葉(ことば)を使え(つか )ば人と人の心を伝え(つた )あうことができます。さらに、生活を豊か(ゆた )な楽しいものにしてくれるのが音楽です。私(わたし)たち人間は、多くのすばらしい楽器(がっき)を作り出し、音の組み合わせを芸術(げいじゅつ)にまで高めたのです。楽器(がっき)は、音の世界(せかい)を豊か(ゆた )にする画期的(かっきてき)な発明(はつめい)だと言えるでしょう。

 言葉(ことば)の森長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(κ)
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 ヘモグロビンと葉緑素 読解マラソン集 小3 冬 11番
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 ホラー映画(えいが)や推理(すいり)ドラマでは、「したたる真っ赤(ま か)な血(ち)」の映像(えいぞう)に、怖い(こわ )場面(ばめん)が想像(そうぞう)されて、ドキドキしたり、時には「きゃーっ」と叫ん(さけ )でチャンネルを変え(か )てしまうことがあります。赤いペンキがたれていても、私(わたし)たちは血(ち)を連想(れんそう)してしまいます。では、血(ち)の色はなぜ赤いのでしょうか。
 じつは、血(ち)の色は必ずしも(かなら   )赤とは限ら(かぎ )ないのです。ふだんあまり血(ち)まで見ることはありませんが、エビやタコ、イカなどは青い血(ち)を持っ(も )ています。人間や多くの動物(どうぶつ)の血(ち)の色は確か(たし )に赤ですが、この赤い色は、意外(いがい)なものに関係(かんけい)があります。それは、鉄(てつ)です。では、どうして、鉄(てつ)と血(ち)が関係(かんけい)あるのでしょうか。
 人間の血液(けつえき)は、赤血球(せっけっきゅう)という赤い色のつぶと血漿(けっしょう)という黄色の液体(えきたい)でできています。赤血球(せっけっきゅう)は、丸いお団子(だんご)の真ん中(ま なか)をへこませてつぶしたような形をしていて、大きさは髪の毛(かみ け)の太さの十分の一ほどです。この赤血球(せっけっきゅう)が、私(わたし)たちの体の中で酸素(さんそ)を運ぶ(はこ )大切な役目(やくめ)を果たし(は  )ているのです。
 赤血球(せっけっきゅう)の中には、ヘモグロビンという赤い色素(しきそ)がいっぱいに詰まっ(つ  )ています。これが、血(ち)の赤い色の正体です。ヘモグロビンは、ヘムとグロビンが合体してできています。グロビンが透明(とうめい)なのに対して( たい  )、ヘムは赤い色をしています。そして、このヘムの真ん中(ま なか)に鉄(てつ)が含ま(ふく )れているためにヘムが赤い色をしているのです。
 ちなみに、青い血(ち)のエビやタコでは、鉄(てつ)は含ま(ふく )れていません。エビやタコの血(ち)の中には、鉄(てつ)の代わり(か  )に銅(どう)が含ま(ふく )れています。銅(どう)というのは、十円玉を作っている金属(きんぞく)です。銅(どう)は、そのままではやや赤い色をしていますが、血(ち)の中では青い色の素(もと)になるのです。
 細胞(さいぼう)が活動(かつどう)するには酸素(さんそ)が必要(ひつよう)で、活動(かつどう)するといらない二酸化炭素(にさんかたんそ)ができます。ヘモグロビンと血液(けつえき)は、このいらない二酸化炭素(にさんかたんそ)を代わり(か  )に受け取り(う と )、また肺(はい)へともどっていきます。そ∵して、また肺(はい)で、二酸化炭素(にさんかたんそ)と酸素(さんそ)を交換(こうかん)して運ん(はこ )でくるのです。
 ところで、この働き者(はたら もの)のヘモグロビンですが、意外(いがい)なことに、とても似(に)たものが植物(しょくぶつ)の中にあるのです。それは、植物(しょくぶつ)の葉(は)の中にある葉緑素(ようりょくそ)です。葉緑素(ようりょくそ)は、葉(は)が緑色(みどりいろ)に見えている素(もと)になっているものですが、こちらもとても働き者(はたら もの)です。太陽(たいよう)の光を浴びる(あ  )と、葉緑素(ようりょくそ)は、私(わたし)たちが捨て(す )ている二酸化炭素(にさんかたんそ)と水を使っ(つか )て、デンプンという養分(ようぶん)と酸素(さんそ)を作り出します。地球(ちきゅう)上に酸素(さんそ)がいっぱいあるのは、植物(しょくぶつ)の葉緑素(ようりょくそ)のおかげなのです。
 そして、不思議(ふしぎ)なことに、この葉緑素(ようりょくそ)と私(わたし)たちの血(ち)の中にあるヘモグロビンのヘムは、構造(こうぞう)がとてもよく似(に)ているのです。葉緑素(ようりょくそ)は、ヘムの中の鉄(てつ)の代わり(か  )に、真ん中(ま なか)にマグネシウムという金属(きんぞく)を持っ(も )ています。ヘモグロビンと葉緑素(ようりょくそ)は、どちらも動物(どうぶつ)と植物(しょくぶつ)が生きていくのに大切なものですが、それがこのように似(に)ているということは、もしかすると動物(どうぶつ)も植物(しょくぶつ)も、みんな仲間(なかま)なのだということなのかもしれません。
 私(わたし)たちが赤い血(ち)の代わり(か  )に、葉緑素(ようりょくそ)でも生きていけるようになったら、太陽(たいよう)の光に当たるだけで、食事(しょくじ)をしなくても済む(す )ようになるでしょう。そうしたら、太陽(たいよう)でお腹( なか)いっぱい、めでたいようなどということになるかもしれません。しかし、いろいろなおいしい料理(りょうり)を食べる楽しみはなくなってしまいます。また、ホラー映画(えいが)で血(ち)がたれていても、
「だあれ、こんなところに青汁(じる)こぼしたの。」 
の一言で終わっ(お  )てしまいます。ドラキュラも、緑色(みどりいろ)の液体(えきたい)を飲み干し(の ほ )て、こう言うようになるかもしれません。 
「まずい! もう一杯(いっぱい)。」 言葉(ことば)の森長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(τ)
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 薬だった砂糖 読解マラソン集 小3 冬 12番
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 時計が動く(うご )には電池が必要(ひつよう)なように、私(わたし)たちが生きて活動(かつどう)するためには、エネルギーが必要(ひつよう)です。そのエネルギーを、私(わたし)たちはご飯( はん)を食べることで体に取り込ん(と こ )でいます。お米やパンの中に多く含ま(ふく )れているデンプンは、糖(とう)質(しつ)と呼ば(よ )れるものの仲間(なかま)で、人間の体の大事(だいじ)な栄養(えいよう)の素(もと)です。砂糖(さとう)も、この糖(とう)質(しつ)の仲間(なかま)です。デンプンも砂糖(さとう)も、いちばん小さい単(たん)糖類(とうるい)というのものに分解(ぶんかい)されて体に吸収(きゅうしゅう)され、私(わたし)たちのエネルギーになりますが、脳(のう)や神経(しんけい)は、単(たん)糖類(とうるい)の一種(いっしゅ)であるブドウ糖(   とう)だけしかエネルギーとして利用(りよう)できません。つまり、脳(のう)や神経(しんけい)を働か(はたら )せるために、糖(とう)質(しつ)はなくてはならないものなのです。脳(のう)や神経(しんけい)は、砂糖(さとう)のおかげで、さっと動く(うご )ことができるというわけです。
 最近(さいきん)では「太る」とか、「糖尿(とうにょう)病(びょう)になる」とか、「虫歯(むしば)になる」などと言われて、ちょっと悪者(わるもの)扱い(あつか )の砂糖(さとう)ですが、じつは私(わたし)たちにとってはなくてはならない調味(ちょうみ)料(りょう)です。昔(むかし)のヨーロッパでは、栄養(えいよう)豊富(ほうふ)な薬(くすり)として使わ(つか )れていたこともありました。昔(むかし)、砂糖(さとう)は、現在(げんざい)の石油(せきゆ)のように輸入(ゆにゅう)しなければならない高価(こうか)な食品(しょくひん)だったのです。また、日本でも、江戸(えど)時代(じだい)ごろから砂糖(さとう)を輸入(ゆにゅう)し始め(はじ )ましたが、最初(さいしょ)のころ、砂糖(さとう)はやはり薬(くすり)として高い値段(ねだん)で輸入(ゆにゅう)されていました。
 どうして砂糖(さとう)を輸入(ゆにゅう)しなければならなかったかというと、砂糖(さとう)は最初(さいしょ)、サトウキビから作られていたからです。サトウキビというのはイネ科の植物(しょくぶつ)で、熱帯(ねったい)や亜熱帯(あねったい)などの暑い(あつ )地方でしか栽培(さいばい)できないので、ヨーロッパなどでは作ることができませんでした。日本では、現在(げんざい)は沖縄(おきなわ)と南西諸島(なんせいしょとう)で作られています。
 サトウキビは、高さが人間の背(せ)の倍(ばい)ぐらい、茎(くき)の太さが手首ぐらいの、竹とススキを足して二で割っ(わ )たような姿(すがた)をしています。
 サトウキビは暑い(あつ )地方でしかとれなかったので、ヨーロッパで力∵のあったスペインやポルトガル、イギリスやフランスなどは、そういう暑い(あつ )地方を自分たちの植民(しょくみん)地にしました。そして、その地方の人々や、アフリカから奴隷(どれい)として連れ(つ )てきた人たちを働か(はたら )せて、砂糖(さとう)を作らせたのです。
 しかし、そういう植民(しょくみん)地を持た(も )ない国は、サトウキビ以外(いがい)のものから砂糖(さとう)を作る研究(けんきゅう)を進め(すす )ました。そして、今のドイツであるプロイセンの研究(けんきゅう)者(しゃ)が、サトウダイコンにも砂糖(さとう)が含ま(ふく )れていることを発見(はっけん)しました。フランスのナポレオンがサトウダイコンの栽培(さいばい)に力を入れると、砂糖(さとう)はヨーロッパ中に広まりました。
 サトウダイコンは、テンサイやビートとも呼ば(よ )れ、カブに似(に)た植物(しょくぶつ)で、この根(ね)から砂糖(さとう)をとることができます。サトウキビと違っ(ちが )て、涼しい(すず  )気候(きこう)でよく育つ(そだ )ので、日本では北海道で栽培(さいばい)されています。ロシア民話(みんわ)に出てくるカブは、たいていはこのサトウダイコンのことです。
 現在(げんざい)、砂糖(さとう)の約(やく)七割(わり)は、やはりサトウキビから作られています。残り(のこ )の三割(わり)が、サトウダイコンから作られています。また、サトウカエデの幹(みき)に穴(あな)を開(あ)け、そこから出てくる液(えき)を集め(あつ )て煮詰め(につ )たものがメープルシロップで、カナダのものが有名(ゆうめい)です。
 「宿題(しゅくだい)しなさい。」と言われて、「ちょっと待っ(ま )て。おやつを食べてから。」というのは、脳(のう)に栄養(えいよう)を与え(あた )てよく働く(はたら )ようにするという意味(いみ)で正しいことです。「腹(はら)が減っ(へ )ては戦(いくさ)はできぬ」と言いますが、それは脳(のう)にとっても同じです。
 砂糖(さとう)は今、サトウキビやサトウダイコンやサトウカエデから取れ(と )ますが、将来(しょうらい)、品種(ひんしゅ)改良(かいりょう)が進ん(すす )で、ニンジンやゴボウやショウガからも取れる(と  )ようになるかもしれません。 
「どうですか。ショウガさん。」
「さあ、どうでしょうが。」
 言葉(ことば)の森長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(τ)
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