森の長文/読解マラソン長文  ●文章類似度判定


 ゴキブリの世界 χ
 苦手な虫の名前は何かと質問したら、多くの人はゴキブリと答えることでしょう。台所に潜んでは、夜中に這い出して来て住人を驚かす、という良くないイメージを持たれているゴキブリです。しかし、ほとんどのゴキブリは人間と直接関わりあうことなく、朽木や動物の死骸など、腐った物を食べて細々と暮らしている野の虫なのです。
 ゴキブリは生きている化石と呼ばれる生物の一つと言われており、現在と姿があまり変わらないその化石が、太古の地層から発見されています。ゴキブリは、人家を始め熱帯雨林や砂漠など、寒冷地以外の様々な場所に生息してきました。
 人間の住環境に出没するようになったゴキブリは、同じゴキブリの中でも特に雑食性の強い種です。ゴキブリにとって人家は、豊富な食料がほぼ確実に手に入れられる環境なのです。彼らは残飯だけでなく、人間の垢や髪の毛といったものまで食べてしまいます。このたくましさ無くしては、約三億年近くも絶滅することなく現在まで生き延びることはできなかったでしょう。
 生物には天敵がつきものですが、もちろんゴキブリにも天敵は存在します。カエルやクモなどはその代表ですが、人家に棲むゴキブリにとっては殺虫剤やスリッパの片方が恐ろしいかもしれません。
 ゴキブリは古来から生き延びてきたことから、「人類滅亡後はゴキブリが地球を支配する。」と考える人もいるようです。しかし、それには疑問が残ります。多くのゴキブリは森などの自然に生息しているのですから、地球の自然環境が破壊され続ければゴキブリもまた絶滅を免れないでしょう。人家に棲むゴキブリも例外ではありません。人間もまた自然の一部であるからです。真の天敵はカエルでもスリッパでもなく、自然環境を破壊し続ける人間という動物の身勝手さなのだと思います。