森の長文/読解マラソン長文  ●文章類似度判定


 高地での生活 Μ
 富士山の高さは三千七百七十六メートルです。頂上を目指して登る人は多いのですが、頂上に住んでいる人はいません。しかし世界には、この富士山よりもさらに高いところで生活している人がたくさんいるのです。
 高地では様々なおもしろい現象が起こります。例えば、ケーキやパンがうまく焼けなくなります。これは腕の問題ではありません。ケーキやパンが膨らむのは、生地の中に含まれる空気の泡が膨張するからですが、高地ではこの空気の泡が膨れすぎるのです。すると、出来上がりはぼそぼそした感じになってしまいます。もっと悪ければ、空気の泡が破裂してぺちゃんこです。
 高地では特別なレシピが必要なのです。ケーキの場合、卵はあわ立て過ぎないことです。ベーキングパウダーは少なめに使います。高度六百メートルでは二十五パーセント減らし、高度二千メートルでは七十五パーセント減らすとよいのだそうです。このぶんでいくと、富士山の頂上でケーキを焼けば、ベーキングパウダーはほとんどいらないかもしれません。また、パンを作るときは、卵の量を増やし砂糖を減らします。水は多めに加えます。高地の空気は薄く乾燥しているため、食べ物の水分を奪うからです。
 標高の高いところでは、ゆで卵一つ作るにも注意が必要です。普通なら十二分程度で固ゆで卵ができますが、高度千五百メートルのところでは一分長く、高度三千メートルでは三分長くゆでなければなりません。半熟が嫌いな人は特に気をつけてください。
 変化が起こるのはケーキやパン、ゆで卵だけではありません。人間の体にも影響が及びます。一言で言えば酸欠状態になるのです。高度が上がるにつれて気圧が低下するため、空気中の酸素量が減るからです。高度五千メートルでは、実に普通の半分にまで減ってしまいます。その結果、ほとんどの人は頭痛やめまいに悩まされます。しかし、体は徐々に高度に慣れますから心配はいりません。また、高所では紫外線などの光線から守ってくれる大気が薄いため、目や皮膚を傷める可能性があります。ですから、特に美白に興味のない人も、帽子をかぶり日焼け止めを塗るよう薦められています。
 いろいろと注意が必要な高地での生活。早く慣れるにはコーチが必要かもしれません。