森の長文/読解マラソン長文
●文章類似度判定
ペンギン Ω
ヨチヨチとおぼつかない足どりで歩くペンギン。小さく、短い足で支えられた体を右に左にゆすりながら歩く姿はまるで歩き始めたばかりの人間の赤ちゃんのようです。そんなペンギンですが、ひとたび水の中に入ると、今までの愛らしい姿は一変し、つばさをはばたかせ、早いスピードで優雅に泳ぎます。まるで水の中を飛んでいる飛行機のようです。
空を飛ぶことのできる鳥とできない鳥、ちがいは骨と羽にあります。空を飛ぶことのできる鳥には「竜骨突起」とよばれる大きな骨があり、その骨で翼を動かす大きな筋肉を支えています。一方、ダチョウのように飛べない鳥にはこの骨はありません。しかし空を飛ぶことのないペンギンには竜骨突起があるのです。これはペンギンの祖先が昔、空を飛んでいたことを意味します。
ではなぜペンギンは空を飛ばなくなったのでしょう。大昔、空を飛べる鳥だったペンギンは水面から食べ物を取っていましたが、やがて海中にもぐってオキアミ、イカ、イワシなどの魚を取るようになり、今の姿に進化したといわれています。
また、空を飛ぶためには軽くて大きく、根元がまっすぐな羽根がたくさん必要ですが、水中の生活を選んだペンギンにとってじゃまになるだけなので、かたくて短く、羽根の根元が曲がって、体にぴったりそった一枚の板のような羽に変わったのです。ペンギンはこの羽を使ってオールでこぐように泳いでいます。
ペンギンの体には水の中で生活する工夫がたくさんあります。イルカのような体型は水の抵抗を小さくし、高速で泳ぐことを可能にします。くちばしと舌には、のどのおくへ食べ物が流れるようにつきでたのこぎりのような部分があります。つかまえた魚などが口から逃げないようにするためです。耳は、高速で泳いだ後に作られるあわのはじける音が魚などにぶつかって出る反射音を聞いて、食べ物の位置が正確にわかるようにできています。羽毛は水を通さないダイビングスーツの役目をするというからおどろきます。
けれども、このダイビングスーツの役目をするのはいちばん上の羽毛だけです。いちばん上の羽毛が抜けるとそこから水が入り、体がぬれてしまいます。ですから羽毛がはえかわる季節は海に入ることができません。
「う、もう! 早く着替えが終わらないかしら。」
新しいダイビングスーツがはえそろうまで、がまんしているペンギンの声が聞こえてきそうです。