森の長文/読解マラソン長文  ●文章類似度判定


 脳は大食漢 ω
 脳は人間の体の中で最もエネルギーを必要とする器官です。脳の重さは体全体の重さのおよそ二パーセントを占めると言われています。たとえば体重が五十キロの人間の脳の重さは一キロになるというわけです。それほどの重さを占めているわけではないのですが、この脳は大変な食いしん坊です。人間が必要とする全エネルギーのうち、二十パーセントもが脳に使われています。しかもただの大食漢ではありません。なかなかのグルメなのです。どうしてかというと、脳がエネルギー源として取り込むのは、ブドウ糖だけなのです。また、脳は余分なエネルギーを蓄えておくことができませんから、絶えず補給し続ける必要があります。
 ご飯やパンなどの穀類、じゃがいもやさつまいもなどのイモ類など、炭水化物と呼ばれるものはブドウ糖のもとになります。体を動かすためや成長のためだけでなく、脳の働きを活発にするためにも、きちんと食事を摂ることは大切だと言えます。眠りから覚め、栄養不足の脳にとって、とりわけ朝食は最高のご馳走です。
 こんな実験結果があります。ラットを迷路に放り込むと、まずは一目散に走り出します。しかし、人間のように高度な知能を持たないラットのことですから、すぐに道に迷いあがき始めます。あがいているラットの脳内はどんな状態になっているのでしょう。脳の中には様々な働きをする場所があり、それぞれが自分の役目を果たすために働いています。迷路は空間を認識する能力が問われます。ラットの脳内の空間記憶を司る部分のブドウ糖値は、通常に比べ三十パーセントも落ち込んでいたそうです。それだけ脳がエネルギーを使ったということになります。注射によりブドウ糖を補給してあげたところ、迷路抜けの成績が上がったという結果も得られました。疲れきった脳が、ブドウ糖というエネルギーを補給したおかげで見事に元気を取り戻したのです。
 たとえば、歩く、走るという大きな動作を伴う体の動きと比べてみると、脳の仕事は、はっきりと目で見えません。ですから、そんなにも多くのエネルギーを必要とするとは想像できないでしょう。しかし、多くのエネルギーが必要だということは、それだけ重要な働きをしているからに他なりません。脳は大変な働き者です。私たちが眠っているあいだでさえひとときも休まずに働き続けます。脳の中は、神経細胞がぎっしりとつまっていて、体のすみずみまで命令を出しているのです。心臓の動きや呼吸でさえ、脳が命令を出しているおかげで一時も休まずに続けられているのです。
「Oh,No.(オー、ノー)少し休みたいよ。」
そう思うこともあるかも知れません。それでも脳は動き続けます。