森の長文/読解マラソン長文
●文章類似度判定
古代エジプトの声が聞こえる λ
エジプトのピラミッドの中のかべには、たくさんの絵文字がしるされています。小さいタカやつぼ、人間や太陽のような、さまざまな絵で表された文字です。
大昔エジプトにはピラミッドを作ったようなすばらしい文明がさかえていたのですが、いつしかほろびてしまいました。それから2000年の間、その絵文字をどうやって読むのか、どんな意味があるのか、だれにもわからなくなっていました。
ところが1798年、エジプトの砂の中から1枚の石の板が発見されました。そこには3種類のことばがきざまれていました。古代ギリシア語、昔のエジプト語、そしてピラミッドに書かれている絵の文字であるヒエログリフということばです。おそらく、同じ文章がこの3種類のことばできざまれているのではないかと思われました。この石の発見に、学者たちは興奮しました。当時古代ギリシア語は知っている人がいましたから、それとくらべてみれば、もしかしたらヒエログリフが読めるようになるかもしれないからです。この石にはロゼッタ・ストーンという名前がつけられました。
しかし、ことはかんたんにははこびませんでした。いくら名だたる学者たちが考えて研究しても、だれもヒエログリフの読み方をとくことができなかったのです。
ロゼッタ・ストーンが発見されてから10年後、19才のシャンポリオンというフランス人の若者が、お兄さんにすすめられてこのヒエログリフのなぞにとりくむことにしました。シャンポリオンは若くて貧しかったけれど、もうたくさんのことばを学んでいたのです。
シャンポリオンはそれからもさらにたくさんのことばを勉強しながらあきらめずに研究を続けました。とうとう32才になったある日、ひらめきがおとずれたのです。この絵文字には、「音」だけを表す字と、「意味」だけを描いた字が両方まざっているのではないか、と。私たち日本人は、「音」だけを表す「かな」と、「意味」を表す「漢字」をまぜた文を使っています。しかしヨーロッパでは「音」を表す字しかなかったので、だれも気がつかなかったのでした。
シャンポリオンはヒエログリフの読み方の表を作り、発表しました。ほかの学者たちもやがてそれが正しいとみとめるようになりました。
38才になったとき、シャンポリオンはようやくあこがれのエジプトに行って、本物のエジプトの遺跡の中に入ることができました。そこでシャンポリオンはぎっしりと描かれたヒエログリフに圧倒されてしまいました。なぜかというと、シャンポリオンにはそれらが自分が思っていた以上にすらすらと読めることがわかったのです。それはまさに「祖先からの声が聞こえてきたようだった」とシャンポリオンはしるしました。2000年もの間眠っていた声があちこちから、聞いたこともないすばらしい神話やエジプト文明の物語を語りかけてきたのです。シャンポリオンは感動のあまり、2時間も動くことができませんでした。
今では、エジプトに観光旅行すると、このヒエログリフ文字で自分の名前をつづったペンダントを作ってもらうことができ、おみやげに買って帰る人がたくさんいます。