森の長文/読解マラソン長文
●文章類似度判定
一日の長さ Ω
「一分は六十秒、一時間は六十分、では一日は?」と聞かれたら迷わず「二十四時間」と、わたしたちは答えます。けれども本当に一日は二十四時間なのでしょうか? 「一日二十四時間」という答えはどの時代でも正解とはいえないようです。
一日というのは地球が地軸というものを中心にぐるっと一周まわるのにかかる時間をいいます。けれどその動きをくるわす存在があり、その一つに「月」が挙げられます。
月にも「引力」というものがあります。月の引力は潮汐作用を通じて地球からエネルギーを奪います。エネルギーを奪われた地球は、自転する力が弱まり自転速度が減速します。それだけならまだしも、潮汐作用によって地球は楕円形に変形します。風船のはしとはしをビヨーンと伸ばす感じです。この風船はかたい風船なので、伸びるまでに時間がかかります。するとそののびた部分にも月の引力が働いて、自転とは反対方向へ地球をひっぱるのです。そのため風船(地球)は早く回りたくても回れない状況になります。その結果、少しずつではありますが一日の長さが伸びていることになります。
地層を見ると昔のことが分かるといわれていますが、オーストラリアにある約六億年前の堆積岩に残された層には、三十本ずつのしま模様があり、それが十三個でひとくくりになっているそうです。三十本の縞模様は一ヶ月の潮汐の記録、そのかたまりが十三個あるということから当時一年はだいたい四百日あったと考えられ、一日は約二十二時間という計算になります。
六億年前に比べると、今の世の中はゆっくりと自転しているのです。一日たった二時間しかちがいませんが、毎日いそがしく過ごしている人にとってこの二時間は大きな差に感じることでしょう。しかも、地球が誕生したばかりのときは、さらに自転速度は速く、一年は二千日あったとされています。ということは一日四時間くらいしかなかったことになり、朝起きて学校へ行ったと思ったら、給食を急いで食べてもう寝る。そんな生活をしなければならなかったのです。今の世の中でよかった、と思わずにはいられません。
さて、自転の回転速度に影響を与えている月ですが、月も少なからず地球から影響を受けています。潮汐作用によって自転のエネルギーを受け取った月は、地球から離れてしまうのです。ちょうど勢いのあるボールを受け止めると後ろに退いてしまう感じです。月は一年間に約三センチメートルずつ地球から遠ざかっているようです。
十億年前の月は今より少し大きく見えており、逆に十億年後には今よりも少し小さく見えるようになるといわれています。肉眼で見る限りあまり大きなちがいには感じませんが、もしかすると、かぐや姫は日が経つごとに月が地球から離れてしまっていることを知っていたのかもしれません。
「もうすぐおばあさん、おじいさんと離れなければならない。」
と、泣いているのではなく、
「早くしないと月に帰れなくなる。」
と、思っていたとも考えられます。だから月を見ては涙を流していたのかもしれません。
「これでおむかえがこなければ、わたしも運のつき(月)かしら……。」