森の長文/読解マラソン長文
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CDのしくみ τ
今では、「音楽を聞く」といえば、CDを聞くことを指すくらい、CDはあたりまえの存在になっています。しかし、CDはそんなに昔からあるものではなく、登場してから、まだそれほど日がたっていないものなのです。
CDは、日本のソニーという会社と、オランダのフィリップスという会社が共同で開発しました。それまでは、プラスチックの円盤に刻んだでこぼこの溝に針を当て、音にして再生するレコードが、音楽の録音用としては一般的だったのです。CDプレーヤーの第一号機が発売されたのが一九八二年、あと七年ほどで昭和から平成に時代が変わるころでした。
CDはもっと小さいサイズのMDや映画のDVDと同じ、「光ディスク」と呼ばれるものです。これらに音を記録する方法は、まず、音による空気のふるえをマイクで取り込み、それを電気の信号に変えます。この電気の信号は、さまざまな大きさの波の形をしています。ここまでは、レコードでも同じです。レコードでは、この波の大きさをそのまま、レコード盤の表面に刻んでいました。
光ディスクへの記録は、ここから、この電気の波を、デジタル信号に変えて行われます。デジタル信号は、〇と一の二つの数字だけで成り立っています。この二つの数字のさまざまな組み合わせで、すべての音の波の大きさを表すのです。さらに、レーザーの光と磁石を使って、デジタル信号を光ディスクの記録層に記録していきます。
光ディスクは、見ただけでは表面はでこぼこしていません。これは、でこぼこしている記録層の上が、平らで透明なプラスチックで覆われているためです。記録層はその奥にあるアルミニウムのとても薄い層です。ここには、ピットと呼ばれる、とても小さなくぼみがたくさんついているのですが、もちろん目には見えません。ただ、光ディスクがきらきらと虹のように輝いて見えるのは、このアルミニウム層が光を反射しているためです。
音楽を聞く時は、このアルミニウム層にレーザー光線をあてて、その反射する光の変化でデジタル信号を読み取ります。平らな部分と、くぼみのあるピットとの境目は一、その他は〇、というふうに読み取っていくことで、書き込んだ波の信号を読むことができるのです。この信号をまた音や映像の信号に変えて、私たちが見たり聞いたりできるようになります。
このように、光を使って信号を読んでいるので、光ディスクは何度繰り返して再生しても、その信号が消えることはありません。また、デジタル信号を使うので、とても細かくてくっきりとした音や映像を記録することができます。さらに、たくさんの情報を書き込むことができるので、たった直径十二センチメートルのCDに一時間以上の演奏時間の音楽が、そしてDVDに至っては同じサイズの光ディスクに、なんと音ばかりか映像までが入っています。これは、DVDは、じつはディスクを二枚、貼り合わせた構造になっているため、その分多くの情報を書き込むことができるからです。
ところで、CDによくある録音時間の74分というのは、なぜこんなに半端な時間なのでしょうか。これはじつは、日本では年末に合唱付きでよく演奏される、ベートーベンの交響曲第九番の演奏時間から決められたからだそうです。
たまに、「カラスよけ」としてCDをぶら下げているのを見ることがありますが、あのキラキラした円盤の中に、こんなにたくさんの情報が詰まっているなんて、カラスたちは夢にも思わないにちがいありません。