森の長文/読解マラソン長文
●文章類似度判定
クマムシ、小さなスーパーマン Μ
クマムシがどんなものか知っている人はほとんどいません。肉眼では見えないからです。しかし、この生き物はどこにでもたくさんいます。庭先の土ひとすくいをよく調べれば、何万匹ものクマムシが見つかるかもしれません。
クマムシは虫の一種です。顕微鏡を使えばその姿を見ることができます。全体的な感じは熊に似ていますが、ただ足が八本もあります。歩き方まで熊そっくりです。八本の足をゆっくり動かして、のっしのっしと歩くのです。その姿かたちと歩き方から、この小さな生き物には「クマムシ」という名前がつけられました。微生物が「クマ」だなんて、なんだか変な感じがしませんか。
クマムシは小さなスーパーマンです。といっても、空を飛んだり列車を止めたりするわけではありません。では、一体どこがスーパーマンみたいなのでしょう。実は、この生き物はほとんど不死身なのです。つまりめったなことでは死なないのです。
例えば、クマムシは、空気の無い宇宙でも生きていくことができます。人間はどれくらい息をしないでいられるでしょう。試したことがありますか。普通の人であれば、1分もてばよいほうでしょう。人間は空気がなければ生きていけません。ところがクマムシは、空気がなくても死にません。一体どうなっているのでしょう。
それだけではありません。クマムシは、北極よりも南極よりももっともっと冷たいところ、マイナス二百七十二度もの寒いところでも、凍ってしまうということがありません。マイナス二百七十二度などという低温を想像できますか。水は零度で氷になります。冷凍庫の温度はマイナス二十度前後ですが、肉や魚を冷凍庫に入れると、数時間で凍ってしまいます。では、その十倍以上も寒いところで人間は生きていけるでしょうか。いいえ、きっと一瞬でかちかちに凍ってしまうでしょう。でも、クマムシは平気です。凍らないで生きていくことができるのです。信じられないような話ですね。
クマムシがこんなにタフなのには秘密があります。実は、クマムシの持つ特技「死んだふり」がなぞを解く鍵なのです。この小さな生き物は、酸素不足や寒さなどの危険がせまると「死んだふり」をして、つまり体を死んだような状態にして深く眠ってしまうのです。熊が冬眠するのと似ています。クマムシはあまりにもぐっすりと眠るため、本当に死んでいるように見えます。しかも、危険が去るまで何日でも、何週間でも、何年でも眠り続けるのです。なんと、100年間も「死んだふり」をして眠っていたクマムシが、みごとに目を覚まして生き返ったという例もあるそうです。
クマムシが小さなスーパーマンと呼ばれる理由はそこにあります。ただし、危険ですから、決してまねしないようにしましょう。