森の長文/読解マラソン長文
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ウミガメの産卵 Κ
世界中をかんたんにたびすることができなかったむかしの人々にとって、いつもは見られないウミガメが毎年、きまった季節になると海岸にやってきて、たまごをうんでいくようすは、神秘的だったことでしょう。そんなウミガメから、この世のものとは思えない竜宮城のような夢の国を考えるのもおかしくありません。
では、日本にやってくるウミガメはどんな種類がいるのでしょうか。日本列島は春夏秋冬の四季がはっきりしていて、季節によって気温や海の温度も大きく変わってきます。その中で、アオウミガメ、ヒメウミガメ、タイマイ、アカウミガメ、オサガメの五種類が日本にやってくるといわれています。このうち、日本にたまごをうみにくるのが、アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイです。中でも、関東地方より南の海岸でたまごをうむアカウミガメは、春、四月ごろになると、日本近海にすがたをあらわします。産卵は四月から八月にかけてといわれています。いっぽう、屋久島より南で産卵するアオウミガメは、五月から八月にかけて、タイマイは沖縄本島より南で五月から九月にかけて産卵します。
産卵場所となっている海岸の沖には、オスがメスより一ヶ月も前にきているようです。やがてメスがやってくる時期になると、オスたちはメスのあとをついてまわるとともに、オスどうしはげしくあらそい、メスをとりあいます。かんだり、ぶつかったり、オールのような足ではたいたり、とても迫力があって、水族館でゆったり泳いでいるときのすがたからは想像もつかないほどです。オスとメスがうまくつがいになったら、海中で交尾します。その後、オスは産卵場所のまわりの海からすがたを消します。メスは近くの砂浜に上陸して産卵します。
みなさんは、おふろやプールに入ったとき、体がかるく感じることがあるでしょう。それは、水の中につかっているものは、どんなものでも浮力がはたらくからです。海中のウミガメは、浮力のおかげで重さが陸上にいるときよりもずっと軽くなります。しかし、浮力のはたらかない陸では自由に体を動かすことができません。海から上がってたまごをうむとなると、外敵から自分やたまごをまもる方法もなければ、すばやくにげることもできません。そのため、産卵をひかえたメスは、夜になると用心深く安全をたしかめながら砂浜に上陸し、産卵にとりかかるのです。
アカウミガメの産卵は、左右の後ろ足をかわりばんこにシャベルのようにつかって、直径二十cm、深さ六十cmくらいの穴をほり、一回に百十個ほどのたまごをうみます。一頭のメスは十二日から十五日ごとに上陸し、産卵します。多いウミガメで、夏の産卵期に六回くらいたまごをうみます。
では、ウミガメは危険をおかしてまでどうして陸にたまごをうむのでしょう。ウミガメは、、陸上で生活できるように進化してきたは虫類のなかまです。は虫類はかわいた場所でも、からだの水分が外へでていかないように、じょうぶなウロコのようなひふで体をおおっています。たまごも、水中にうむ魚類や両生類のものとちがい、鳥類のたまごのように、からにつつまれています。たまごの中身がわからないようにするためです。海でくらすようになっても陸でのなごりがのこっています。そのため、魚類は一生を水の中ですごすため、酸素をエラからとりこんで呼吸できますが、ウミガメにはできません。たまごも同じで、ウミガメのたまごは、からを通して息をしており、水中だと息ができず、死んでしまうのです。このようなわけで、ウミガメは一生の大部分を海でくらすようになった今でも、たまごだけは陸にうみにくるのです。
ウミガメのひとりごと「わたしも、ほんとは、うみでうみたいわ〜」