森の長文/読解マラソン長文
●文章類似度判定
味を感じるしくみ(味その1) τ
食べ物を食べると、いろいろな味を感じます。たとえば目かくしをしていても、それが知っている味なら、今食べたものが何か、当てることができるでしょう。また、初めて食べた、知らない食べ物でも、「塩辛い」とか「甘酸っぱい」などと、言葉で表すことができます。この味は、いったいどこでどうやって感じているのでしょうか。
味を感じる体の部分は舌である、というのは、よく知られていることです。その証拠に、味見をする時、ちょっと舌を出してなめてみたりしますね。この舌をよく見てみると、表面はなめらかではなく、ざらざら、でこぼこ、つぶつぶしています。じつは、このつぶつぶが、「味蕾」と呼ばれるものです。
「蕾」というのが「つぼみ」という漢字であることからわかるように、味蕾は花のつぼみのような形をしています。この味蕾の中にある、味を感じる細胞が「味細胞」です。まず、食べ物は口の中でかまれ、唾液と混じって液体になります。そして味蕾の中の味細胞に届きます。味細胞は下の方で神経と接していて、味の情報を脳に送ります。そして、私たちは味を感じることができるのです。また、味蕾は舌の表面だけではなく、上あごの奥やのどにもあります。ですから、舌だけで味を感じているのではないようです。
ところで、食べ物には数え切れないくらいの種類がありますね。では、味にも、同じくらい数え切れないほどの種類があるのでしょうか。そして、私たちは、その無限の味を感じ分けているのでしょうか。ところが、そうではありません。味にはさまざまなものがありますが、それらはたった四つの基本の味からできていることがわかっています。これを見つけたのはドイツの心理学者で、ヘニングという人です。彼は、塩味、酸味、甘味、苦味の四つの基本の味があって、どんな味もその組み合わせでできているという説を発表しました。
しかし、最近ではこの四つの組み合わせだけでは説明できない味もあることがわかってきて、これに第五の味「旨味」を加えるというのが、現在の基本の味の考え方です。「旨味」は日本で発見された、日本人にはなじみの深い「だしの味」です。
ただ、私たちが日ごろ実際に感じている味には、味蕾で感じる単純な味だけではなく、香り、舌触り、温度、見た目などさまざまな要因も関係しています。たとえば、アイスクリームが温かかったら、いつものようにおいしくはないでしょう。逆に、料理しだいで、きらいなニンジンもおいしく食べられるということです。
ところで、動物の中でも肉食動物は、においをかぎ分ける能力である嗅覚がとても発達している代わりに、味覚はそれほど優れていないようです。犬やネコも、この肉食動物の仲間です。おおざっぱに苦味、酸味、辛み、甘味などはわかり、苦いものがきらいで、甘いものが好きなのは人間と同じようです。肉食動物は本来、生肉を食べていて、しかもあっという間に食べてしまうため、それほど味わう必要がなかったのです。それに対し、いつまでもゆっくりと草を食べている草食動物は、肉食動物よりは味覚が発達していると言われています。
みなさんの家にも、おいしいものしか食べない、グルメな犬やネコがいるかもしれません。これは、おいしいものをいろいろもらってしまったので、学習して「違いがわかる」ようになってしまったのですね。現代の犬たちが、おしゃれなカフェで犬用のケーキを食べているなんて、犬のご先祖のオオカミには、想像もできなかったにちがいありません。