森の長文/読解マラソン長文  ●文章類似度判定


 きれいでおいしい食用花 Μ
 お腹がすいたらだんぜん花屋さんに入る、という人はいません。また、人に花を贈るのは、おいしく食べてもらうためではありません。花は普通、その美しい色彩で視覚を、またそのかぐわしい香りで嗅覚を満足させるもの、と考えられており、おいしいかどうかはまず考慮に入りません。『花より団子』のことわざに見られるとおり、花は見るものであり食べるものではない、というのが一般的な見方です。しかし世の中には、目や鼻だけでなく、舌まで楽しませてくれる花が数多くあるのです。
 例えば、バラは『彩食兼備』な花の代表と言えるでしょう。美しいだけではなく、食用にもなるのです。花びらの根元は苦味があるので取り除きます。また、花の中心部は食べないようにしましょう。チーズやナッツ類と合わせてサラダにしたり、刻んだものをスパゲッティにふりかけたりするとおいしいのだそうです。バラを使って、アイスクリームや飲み物に風味を添えることもできます。
 また、野菜の花も食用になります。これは比較的分かりやすいかもしれません。中でもかぼちゃの花は、すでに十六世紀ごろから南北アメリカで食卓に上っていたようです。そのまろやかな風味は現在でも人気です。しかし、いくらおいしいからといっても、花を全部食べてしまうとかぼちゃにありつけません。ですから、雌花は残して雄花だけを食べます。やはり植物の世界でも『男はつらい』のです。かぼちゃの花は、オリーブ油やトウモロコシ、そしてかぼちゃそのものとよく合います。また、チーズやたまねぎを混ぜたものを花に詰め、フライにしても大変おいしいのだそうです。
 そのほか、レモンやオレンジなど柑橘系の花を飲み物に入れたりデザートに添えたりすると、風味がぐっと引き立ちます。
 このように、美しくてしかもおいしい花々は思いのほかたくさんあるのです。しかし、だからといって花壇で育てられているものを見境なく口にするのは危険です。有毒な花もあるからです。食用になるかどうかをよく確かめなければなりません。また、花屋さんや園芸店で購入したものは、たいてい殺虫剤や他の化学薬品を使って栽培されていますから、食べることはできません。喘息の人、また植物にアレルギーのある人も避けたほうが無難です。
 花で目も舌も楽しませるのは決して簡単ではありませんが、条件さえクリアすれば『花も団子も』が可能なのですから、試してみる価値はあるでしょう。