森の長文/読解マラソン長文
●文章類似度判定
微生物の働き μ
「ああ、おいしい。朝はやっぱり、お味噌汁ね。」
かつおだしのきいた、わが家の味が、一日の元気の源になります。そして、納豆とおいしい漬物で、ごはんがすすみます。お昼は、学校の給食でチーズパンが出ました。これも、風味があって大好物です。夜になって、お風呂上りに、お父さんは冷えたビール、わたしは乳酸菌飲料で乾杯します。お母さんは、おしゃれにワインです。
「ああ、うまい。」
みんなが思わずうなずくような、一日の記録ですね。おいしいものがたくさん登場しました。かつお節、みそ、納豆、漬物、パン、チーズ、乳酸菌飲料、ビール、ワイン。これらのおいしさの共通点は、「独得の風味」にあります。その共通の風味をもたらしている秘密は、どれもが「発酵食品」だということにあります。
同じ「発酵食品」でも、発酵を行う微生物のちがいによって、グループに分けることができます。一つ目は、かつお節のように、主にカビの作用によるものです。二つ目は、納豆、乳酸菌飲料、チーズのように、主に細菌の作用によるものです。三つ目は、ビール、ワイン、パンのように、主に酵母の作用によるものです。そして、みそ、しょうゆ、漬物のように、三つの作用が重なり合ってうまれるものもあります。
このように、目には見えない微生物は、自らが生育するときに材料を分解して、消化しやすく変化させたり、独得のおいしい風味を与えたりします。ところが、微生物には反対の働きもあって、材料を分解する時に食中毒などの有害物質を作ったり、悪臭を放つ不快な物質をつくることもあります。これを、私たちは「腐敗」腐ってしまったと表現しています。
微生物はまた、食品以外の分野でも活躍しています。微生物の働きを利用した産業には、分解者としての働きを応用して、下水道処理や環境浄化、抗生物質や抗がん剤などの医薬品製造、ビタミンや酵素などの化学製品の製造などがあります。日本の微生物産業を、売り上げの比率で見ると、食品17%、医薬品32%、化学製品24%、酵素11%、環境浄化9%となっています。食べ物での利用は、ほんの一部であることがわかります。
地球上のあらゆるところに生育するという微生物は、忍者のように目には見えないけれど確実な働きをしてきました。良くも悪しくも私たちの暮らしに深く関わってきました。私たちが健康で環境にやさしい生き方をするためにも、微生物とのより良い共存がこれからいっそう大切になります。