森の長文/読解マラソン長文
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カブトムシ ω
夏休みの友といえばやはりカブトムシです。昆虫の王様と呼ぶにふさわしいその姿は、子どもたちの視線をとらえてはなしません。ペットショップのカブトムシコーナーは毎年黒山の人だかりができていますし、採集ツアーも登場するほどです。憧れのカブトムシを手に入れた子どもたちのキラキラ輝く目はまるで宝石のようで、嬉しさの程がうかがえます。
いかにも丈夫そうな姿のカブトムシですが、その命はそれほど長いものではありません。卵からかえり、冬を越した幼虫は、蛹へと姿を変え、夏になると成虫、つまりカブトムシへと大変身するわけですが、成虫になってからの命はおよそ一か月ほどといわれています。ですから、夏休みが終るころは、ちょうどカブトムシの命もつきる時期にあたるのです。クワガタムシもカブトムシと並んで人気があります。カブトムシがひと夏の命なのに対して、クワガタムシの場合、種類によっては越冬できるものもあります。
大切に育てていたカブトムシの死は悲しいものですが、死んでしまったからといってすぐに飼育ケースを処分してはいけません。ケースの中の腐葉土をそっとのぞいてみましょう。もしかしたら、小さな卵が見つかるかもしれません。直径三ミリ程度の白くて丸い卵です。孵化直前の卵は大きさは五ミリ程度になり、色も黄色味を帯び、まるでビービー弾のようです。この卵をじょうずに育てることができたら、大切にしていたカブトムシの二世と対面できる日がやってくるのです。
卵からかえった幼虫は、おもに腐葉土を食べて大きくなります。幼虫時代に摂取した栄養が成虫のカブトムシの大きさを決定付けます。いったん成虫になってしまったら、どんなに樹液を吸ったところでそれ以上大きくはならないのです。立派な大きさのカブトムシは幼虫時代に十分な栄養を取っていたのです。もしも人間がカブトムシと同じ性質だったらどうでしょう。成人したらいくら食べても太らないわけですから、ダイエットに励んでいる大人にとってはなんともうらやましい話です。
通常、一匹の幼虫が蛹になるまでに食べる腐葉土の量は、お風呂で使う洗面器に山盛り一杯分にもなるそうです。さすがに昆虫の王者、驚いてしまいます。友達に自慢できるくらいの大きなカブトムシを育てるためには、良質な腐葉土を絶えず補充してあげることが大切です。また、飼育ケースの中のフンを取り除いたり、掃除をしたり、根気よく世話を続けることが必要です。