エニシダ3 の山 2 月 1 週
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★じゆうなだいめい
○節分、マラソン
○まめまき

○赤身と白身
 赤身代表といえばマグロです。少し歯ごたえがあり、おすしの中ではなかなかの人気者(もの)です。一方白身代表といえばヒラメがあげられます。口の中でとろけるようになくなってしまうこの身は、大人の人に人気があります。どちらもおいしさにかわりはありませんが、同じ魚なのに、赤身と白身が存在するのはなぜでしょう。それは赤身と白身にはそれぞれ働きがあり、得意とする力が違うからです。
 マグロの体は、赤色筋(せきしょくきん)、遅筋(ちきん)とよばれる赤い筋肉が多くふくまれています。マグロは、赤色筋(せきしょくきん)が多い血合筋とよばれる筋肉が特に発達しているので、酸素を使って活動を長く続けることができます。陸地から遠く離れた広い外洋域を泳ぐマグロには、同じ力を長く持たせてくれる赤身が必要なのです。赤身の魚にはカジキやカツオ、サバなどがあり、どの魚も筋肉もりもりといった力強さを感じさせます。
 一方、ヒラメを代表とする白身は、瞬発力があります。ヒラメの体には、白色筋(はくしょくきん)、速筋(そっきん)とよばれる白い筋肉が多くふくまれています。白色筋(はくしょくきん)を動かすには、グリコーゲンとよばれる糖だけを使い、酸素を使いません。ですから、瞬間的に大きな力を出すことはできますが、すぐに乳酸という物質がたまり疲れてしまいます。ヒラメは、敵が近づくと、目だけをグルグルっと動かし身をひるがえして逃げます。それは一瞬の出来事で、敵は砂けむりの中、ヒラメの姿を見失います。瞬発力が命のヒラメにとって、この華麗なダンスは命がけの逃げ方なのです。
 人間の筋肉にも、赤身と白身があります。筋肉の場所や役目によって割合がちがい、個人差があるようです。マラソン選手は赤色筋(せきしょくきん)が多く、短距離走(そう)の選手は白色筋(はくしょくきん)が多いと言われています。∵
 お寿司屋さんで魚を食べるとき、赤かったらマラソン型の魚、白かったら短距離型の魚と想像しながら食べるとまた味わいも深くなるでしょう。では、黒かったら。それは、ただ焦げているだけです。

 言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(Ω)