長文集  6月1週  ○およげなくてもしずまない(感)  ka-06-1
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2017/03/14 09:50:21
【長文が二つある場合、音読の
練習はどちらか一つで可。】
 【1】日曜日のことです。お
父さんが、
「ちょっと背中踏んで。」
と言いました。私は、時々お父
さんの背中を踏んであげます。
手でマッサージをするよりも、
私が踏む方が気持ちがいいのだ
そうです。【2】私が手でマッ
サージをしても、お父さんにと
っては物足りないのでしょう。
 私は、靴下を脱ぐと、
「うん、いいよ。」
と言いました。どうしてかとい
うと、靴下を履いていると滑り
やすいからです。
【3】「お父さん、乗るよ。」
と声をかけて、右足から背中に
乗りました。そして、お父さん
の背中の上でゆっくりと足踏み
をしました。
「ううん。気持ちいいなあ。」
お父さんは、うつぶせになった
まま声を出しました。
 【4】背中の上は、バランス
をとって足踏みをするのが少し
難しいです。それも、同じとこ
ろだけでなく、背中全体を踏ま
なくてはなりません。足の裏全
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体で優しく踏むのは、少しコツ
が要ります。
 私は、
「もう少し強く踏んでもいい。

と聞きました。【5】お父さん
は、
「うん。思い切り踏んでいいよ
。」
と答えました。私は、少し力を
入れて踏み始めました。
 お父さんの仕事は、体をたく
さん動かす仕事です。重いもの
を運ぶこともあるので、大変な
のだと思います。【6】お父さ
んは、いつも元気に働いている
ので、日曜日にはたっぷり休ん
でほしいと思いました。∵
 私がしばらく踏んでいると、
お父さんは気持ちよさそうに居
眠りのふりを始めました。私 
は、ふざけて、もっと強く踏み
出しました。
 【7】お父さんの背中は、広
くて厚みがあって、まるで小さ
な丘のようです。私は、いつの
間にかお父さんの背中の上にい
ることを忘れ て、丘の上で行
進しているような気持ちになっ
てきました。
 【8】お父さんは、しばらく
寝たふりをしていましたが、突
然、
「いたたた。踏み方が強すぎる
。」
と言って起き上がりました。私
は、昔、お母さんにやってもら
ったように、
「痛いの、痛いの、飛んでけえ
。」
と言ってあげました。
 【9】すると、お父さんは、
にっこりして、
「よし、元気になったから、ど
こかに遊びに行こう。」
と言いました。私はうれしくて
、お父さんに飛びつきました。
【0】

(言葉の森長文(ちょうぶん)
作成委員会  ω)∵
 およげなくてもしずまないみ
ずうみ――ふしぎな死海(しか
い)――

 【1】死海(しかい)では、
なぜからだがしずまないのか、
そのわけをおはなししましょ 
う。
 ふつう、みずうみは、海とち
がって、ま水(しおけのない水
)のわけです。【2】ところ 
が、この死海(しかい)は、海
の水よりも、もっとしおからい
のです。六ばいもしおけがおお
いのです。
 みなさんは、ま水の川や、プ
ールよりも、しおけのある海の
ほうが、よくおよげるというこ
とを、知っているでしょう。
 【3】だから、海よりもしお
けのおおい死海(しかい)では
、からだがうきあがってしまう
のです。
 それでは、ふつうのみずうみ
はま水なのに、この死海(しか
い)は、なぜそんなにたくさん
のしおけをふくんでいるのでし
ょうか。
 【4】それは、こういうわけ
です。
 この死海(しかい)のあると
ころは、とちがひくくて、海よ
り四百メートルもひくいので 
す。
 ですから、たくさんの川が、
みんなこのみずうみにながれこ
んでいます。
 【5】ところで、このへんの
とちは、しぜんのしおをふくん
でいますので、川の水がすこし
ずつしおを死海(しかい)には
こんでいるのです。ところが死
海(しかい)からは、どこへも
水がながれていきません。【6
】そのかわり、つよいたいよう
にてらされて、水だけがどんど
んじょうはつしますから、しお
がみずうみにのこって、だんだ
んしおけがこくなったのです。
 【7】さて、にんげんがしね
ないのに死海(しかい)という
なまえがついているわけをおは
なししましょう。
 【8】にんげんはしねないけ
れど、このみずうみには、さか
ながすんでいないのです。しお
からすぎて、さかながすめない
のです。
 さかなをはなしてやっても、
みんなしんでしまいます。
 【9】にんげんだって、水に
おぼれることはありませんが、
あまりながく、このみずうみに
はいっていると、からだのひふ
がぴりぴりしてきて、たいへん
なことになります。それで、死
海(しかい)というのです。【
0】

(「世界ふしぎめぐり二年生」
より抜粋)