長文 8.2週
1. 羽には、様々さまざま用途ようとがあります。あるときには婦人ふじん帽子ぼうし飾りかざ 女性じょせい美しうつく さを際立たきわだ せます。べつのときにはペンになり、ラブレターをつづるかもしれません。またあるときにはコートの中綿なかわたになり、わたしたちを温かくあたた  包んつつ でくれます。
2. しかし、羽のありがたみをいちばん感じかん ているのは、何といっても鳥たちでしょう。羽がなければ飛ぶと ことができません。更にさら 美しいうつく  羽は、つがいの相手あいてとなるパートナーをひきつけるのにも役立ちやくだ ます。また、鳥をさむさから守るまも 役目やくめ果たしは  ます。これらの点では、鳥たちも人間とあまり変わりか  ません。もっとも、羽をペンの代わりか  にする鳥はいないようですが。
3. 鳥類ちょうるいが羽を持っも ていることは広く知られていますが、その作りをじっくり眺めなが たことのある人はあまり多くないかもしれません。羽は実にじつ 見事みごとにデザインされています。
4. 風切羽かざきりばねの中心には羽を支えるささ  じくが走っています。よく見るとその裏側うらがわには一本のみぞ刻まきざ れています。このちょっとした工夫くふうのおかげでじく強度きょうどは高まり、曲がっま  たりよじれたりしても折れお にくくなっています。
5. 鳥類ちょうるいはまた、普通ふつうの羽の間に、糸のような細長い羽を持っも ています。この羽の根元ねもとにある一種いっしゅ感覚かんかくは、羽の乱れみだ を鳥に知らせます。羽が乱れみだ てきたという信号しんごうが出ると、鳥はつばさを休め、くちばしでづくろいをして羽を整えととの ます。この感覚かんかくはまた、飛んと でいる速度そくどを鳥が判断はんだんするのに役立っやくだ ているのではないかとも言われています。
6. 表面ひょうめんから見える羽の下には、ダウンと呼ばよ れる綿羽わたばねがぎっしりと生えています。カモの場合、そのあつさはニセンチ近くにもなります。綿羽わたばね断熱だんねつせい優れすぐ ており、冬のを切られるようなさむさも、ダウンのコートがあれば平気へいきです。∵
7. 羽のおかげで、鳥も人間もファッションを楽しむことができ、さらにはさむさをしのぐこともできます。鳥の羽は、まさに「一石三鳥さんちょう」あるいはそれ以上いじょう働きはたら をしています。しかし、生まれつきそういう羽を持っも ているカモたちにとっては、当たり前のことなのカモしれません。

8. 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいん会(τ)