エニシダ3 の山 1 月 3 週
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★じゆうなだいめい
○寒い朝、体がぽかぽか


○カンガルーの袋
 カンガルーは、オーストラリアとパプアニューギニアだけに住んでいます。カンガルーには長いしっぽがあり、これは後ろ足だけで立つときにバランスをとる役目もしています。
 カンガルーのもう一つの大きな特徴は、雌のおなかにある袋です。この袋で、お母さんは赤ちゃんを育てるのですが、それには理由があります。たいていの動物の赤ちゃんは、自分の力でお母さんのお乳を飲めるようになってから生まれてきますが、カンガルーの生まれたての赤ちゃんは、たいへん小さく、マッチ棒ぐらいの大きさしかありません。小さくて弱い赤ちゃんは、袋の中(なか)に入れて守ってあげなくてはならないのです。赤ちゃんは、袋の外で生まれます。そのあと、お母さんがなめて作った道を一生懸命にたどって、袋の中(なか)に入ります。上手に袋に入ることができれば一安心です。
 袋の中(なか)には、お母さんのおっぱいがあるので、中(なか)に入った赤ちゃんはさっそくすいついてお乳を飲みます。袋の内側には毛が生えていないので、ふんわりやわらかく、お母さんの体温のおかげで、いつもぽかぽか温かいのです。その上、お母さんがときどきなめて掃除をしてくれるので、袋の中(なか)はいつも清潔です。また、袋の入り口は、マジックテープのように閉じることもできます。赤ちゃんが入っていないときは、ぴったりとおなかにくっついて、ほこりや雨が入らないようになっています。
 こんな気持ちのいい袋ですから、カンガルーの赤ちゃんは、ずいぶん長い間袋の中(なか)で過ごします。袋は伸び縮みするので、大きくなった赤ちゃんが入っても破れたりはしません。生まれて半年ぐらいたつと、ときどき外に出てとびはねる練習をしますが、何かにびっくりすると、大(おお)あわてで袋に戻ってきます。赤ちゃんがやっと袋を卒業するのは、生まれて一年ぐらいたってからです。∵
 カンガルーにとってのお母さんは、まさに「おふくろさん」なのです。

 言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(κ)