長文集  1月4週  ○きのこは木の子  0e-01-4
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/12/15 06:30:00
 【1】「香りマツタケ味シメ
ジ」という言葉にあるように、
私たち日本人は、秋になるとマ
ツタケを楽しみたいと感じます
。マツタケご飯に、土瓶蒸し、
焼(やき)マツタケ、貴重で高
級な味を年(ねん)に一度味わ
って、心も体も元気になるよう
です。【2】また、ふだんから
シイタケ、エノキダケ、シメジ
、ヒラタケ、マイタケ、エリン
ギなど、お料理に欠かせない素
材となるきのこもあります。こ
のように身近な存在であるきの
こは、いったいいつごろから食
べられるようになったのでしょ
う。
 【3】高松の この峯も狭(
せ)に 笠立てて
 みち盛(さか)りたる 秋の
香(か)のよさ
 万葉集に収められた歌です。
「笠立てて」はマツタケがカサ
を広げてはえている様子、「秋
の香(か)」はマツタケの香り
のことです。【4】この歌に見
られるように、日本人は少なく
とも奈良時代にはきのこを食べ
ていたと考えられます。更に平
安時代には、貴族たちの間で、
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季節をいろどる文化的行事とし
てマツタケ狩(が)りが行われ
たそうです。
 【5】きのこは、光合成をし
ている植物と違って、光がなく
ても生きていくことができま 
す。昔は、花を咲かせない植物
であるシダやコケの仲間と考え
られていたこともありますが、
今は菌類として植物や動物とは
違う生物だとされています。
 【6】植物や動物は、食べた
り食べられたりすることでつな
がり、バランスが保たれていま
す。植物は光から栄養物をつく
り出す生産者の役割を果たして
います。動物は、ほかの生物を
食べて栄養を吸収する消費者の
役割を果たしています。【7】
その植物の生産と動物の消費が
うまく流れていくように、消費
し切れなかったものを分解する
のがきのこたち菌類の役割で 
す。
 きのこは、「大きな木にはえ
る小さな子ど も」ではありま
せん。【8】自然界の中では、
植物や動物とならぶような大き
な存在なので∵す。そう思うと
、おなべの中でぐつぐつ煮えて
いるエノキやシメジが「自然を
大切にするんだよ」と語りかけ
るように思えてきます。 

 【9】同じように見えるきの
こにも、いろいろな性格があり
ます。のんきなエノキ、まじめ
なシメジ、じっとマツタケ、お
いシイタケ、筋肉もりもりマッ
シュルーム。【0】

 言葉の森長文(ちょうぶん)
作成委員会 μ