1「すまないなあ。おれの給料がやすいから、おまえにくろうをかけるなあ。」
「いいえ、そんなこと。」
「ぬう機械ができたら、服をつくるのも、ずいぶんらくになるだろうな。」
2「ええ、そうすれば、こんなにかたもこらないでしょうし。それにねえ、あなた。もし、そんな機械を発明した人は、大金持ちになれるんですって。」
「ふーん、じゃあ、ひとつ、そいつを発明してみるか。」
ハウは、じょうだんでなく、そういいました。
3びんぼうのために、学校へいけなかったハウは、もう、びんぼうはこりごりでした。つまや子どもには、らくをさせてやりたいとおもいました。
ハウは、さっそく、機械の研究に、とりかかりました。
4しかし、ちょっとかんがえたのでは、かんたんにできそうでしたが、どうしてどうして、なかなかむずかしいことでした。
またたくまになん年もたちました。だが、ハウのミシンは、できませんでした。
5ハウは、つとめをやめて、ミシンの発明にうちこんでいました。ハウは、あけてもくれても、ミシンのことばかりかんがえました。
糸のつかいかたや、はりのかたち、はりのうごかしかた……。いろいろ、くふうしてみましたが、なかなか、うまくいきませんでした。
6ハウは、研究にゆきづまって、ぼんやり、つまのはり仕事の手もとを、見ていました。
「おまえにらくをさせてやろうとおもったのに、かえってびんぼうさせちゃったなあ。」
「いいのよ。あなたの成功をしんじているんですもの。」
7「ぼくは、ゆうべ、こんなゆめを見たよ。ぼくは、土人につかまっちゃったんだ。土人の酋長が、はやくミシンをつくれ、つくらないと、ひとつきだぞって、ぼくの目のまえに、槍をつきつける
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