a 長文 7.1週 00i
 1江戸(えど)時代(じだい)は、戦争(せんそう)の多かっ(おお  )た当時(とうじ)のヨーロッパとはちがい、犯罪(はんざい)も少ない(すく  )平和(へいわ)な時代(じだい)でした。大(だい)都会(とかい)の江戸(えど)で二百(ひゃく)年(ねん)以上(いじょう)もお風呂(ふろ)屋(や)さんの料金(りょうきん)が変わら(か  )ないという、とても安定(あんてい)した時代(じだい)だったのです。
 2多く(おお )の人(ひと)が、長屋(ながや)というせまい家(いえ)に身(み)をよせあって暮らし(く  )ていましたが、ぜいたくを言わ(い )なければ食べ物(た もの)は充分(じゅうぶん)にあり、貧しく(まず  )とも心(こころ)豊か(ゆた )に生きる(い  )ことができる時代(じだい)でした。そこでいろいろな庶民(しょみん)の文化(ぶんか)が生まれ(う  )育っ(そだ )ていきました。3なかでも園芸(えんげい)はとてもさかんでした。
 広い(ひろ )庭(にわ)はなくても、鉢植え(はちう )の植物(しょくぶつ)ならだれでも楽しむ(たの  )ことができます。たくさんの人々(ひとびと)が鉢物(はちもの)のおもしろさに熱中(ねっちゅう)し、やがてそれぞれの時代(じだい)の流行(りゅうこう)も生まれ(う  )ました。4カラタチの小さな(ちい  )鉢植え(はちう )一つに、今(いま)で言え(い )ば数(すう)億(おく)円(えん)の値段(ねだん)がついたこともあったということですから、その熱中(ねっちゅう)の度合(どあい)がよくわかります。
 ところで、江戸(えど)時代(じだい)にはまだ電灯(でんとう)がなく夜(よる)は早く(はや )寝(ね)たので、多く(おお )の人(ひと)が早起き(はやお )でした。5そこで早起き(はやお )で美しく(うつく  )見(み)られる花(はな)、アサガオが親しま(した  )れ、大(だい)流行(りゅうこう)しました。江戸(えど)時代(じだい)以前(いぜん)には、アサガオは淡い(あわ )青色(あおいろ)のものだけで、道(みち)のすみなどに咲い(さ )ている地味(じみ)な花(はな)でした。6それが江戸(えど)時代(じだい)の後期(こうき)になると、花(はな)も葉(は)も実に(じつ )さまざまな変わっ(か  )た種類(しゅるい)のものが栽培(さいばい)されるようになりました。カラーで印刷(いんさつ)されたアサガオの専門(せんもん)書(しょ)まで何(なん)冊(さつ)も出さ(だ )れました。町中(まちなか)では、天秤棒(てんびんぼう)をかついだ植木(うえき)売り(う )が歩い(ある )ている姿(すがた)がよく見(み)られました。7アサガオの優劣(ゆうれつ)を競う(きそ )花(はな)合わせ(あ  )、コンクールもさかんに行わ(おこな )れ、お寺( てら)や神社(じんじゃ)の境内(けいだい)などには、自慢(じまん)の珍しい(めずら  )鉢植え(はちう )がたくさん持ち寄ら(も よ )れました。
 アサガオは色(いろ)や形(かたち)が変化(へんか)しやすい植物(しょくぶつ)なので、いろいろなものが作ら(つく )れました。8当時(とうじ)のカラーの本(ほん)の中(なか)に、濃い(こ )黄色(きいろ)のアサガオがあります。濃い(こ )黄色(きいろ)のアサガオを咲かせる(さ   )ことは、現代(げんだい)の技術(ぎじゅつ)でもまだできていません。
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 花(はな)の色(いろ)や形(かたち)だけでなく、葉(は)も花(はな)に合っ(あ )た形(かたち)のものが珍重(ちんちょう)されました。9中でも(なか  )好ま(この )れたのが牡丹(ぼたん)咲(ざ)きと言わ(い )れるもので、これは雄しべ(お  )や雌しべ(め  )までが花びら(はな  )と同じ(おな )ような色(いろ)や形(かたち)になったものです。しかし、苦労(くろう)を重ね(かさ )た末(すえ)、やっと満足(まんぞく)のいく色(いろ)や形(かたち)のものができても、変化(へんか)の進ん(すす )だ花(はな)ほど種(たね)ができないのが普通(ふつう)です。0牡丹(ぼたん)咲(ざ)きのものは、種(たね)をつくるのに必要(ひつよう)な雄しべ(お  )や雌しべ(め  )までが変化(へんか)したものになっているのでなおさらです。そこで、牡丹(ぼたん)咲(ざ)きの花(はな)と同じ(おな )親(おや)を持つ(も )兄弟(きょうだい)で普通(ふつう)に咲い(さ )た花(はな)から種(たね)をとり、その種(たね)から芽(め)を出し(だ )たものからまた牡丹(ぼたん)咲(ざ)きのものを選ぶ(えら )という、気(き)の遠く(とお )なるような手間(てま)をかけて、新しい(あたら  )品種(ひんしゅ)を作っ(つく )ていったのです。
 こんなに手間(てま)のかかることでは、「アサガオ」そい人(ひと)には、とてもできなかったでしょう。

 言葉(ことば)の森(もり)長(ちょう)文(ぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい) α
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a 長文 7.2週 00i
 1焼肉(やきにく)屋(や)さんでは、鉄板(てっぱん)の上(うえ)に肉(にく)や野菜(やさい)を乗せ(の )て焼き(や )ますが、なぜ鉄板(てっぱん)の上(うえ)に乗せる(の  )のでしょうか。肉(にく)や野菜(やさい)を直接(ちょくせつ)火(ひ)にかけて焼く(や )こともできるはずなのに鉄板(てっぱん)を使う(つか )のはなぜでしょう。2それは、肉(にく)や野菜(やさい)を直接(ちょくせつ)火(ひ)にかけると、焦げ(こ )てしまったり、火(ひ)がついてしまったりすることがあるからです。3鉄板(てっぱん)を火(ひ)で熱し(ねっ )て、その熱(ねつ)で肉(にく)や野菜(やさい)を焼け(や )ばちょうどよい加減(かげん)に焼く(や )ことができます。 
 4では、鉄(てつ)は燃え(も )ないのでしょうか。製鉄所(せいてつじょ)の高炉(こうろ)で焼け(や )ば、鉄(てつ)も真っ赤(ま か)になって溶け(と )てしまいます。5また、台所(だいどころ)にある、スチールウールでできたタワシにガスバーナーで火(ひ)をつけると、簡単(かんたん)に火(ひ)がついて、じわじわと燃え(も )てしまいます。でも、鉄板(てっぱん)は燃え(も )ません。これはなぜでしょう。 
 6物(もの)が燃える(も  )ためには、物(もの)が酸素(さんそ)と結びつく(むす   )ことが必要(ひつよう)です。鉄(てつ)が燃える(も  )ためには、鉄(てつ)の表面積(ひょうめんせき)が広く(ひろ )なって、たっぷりの酸素(さんそ)と結びつか(むす   )なければなりません。7細い(ほそ )鉄(てつ)がぐるぐる巻き(ま )になっているスチールウールのタワシは、表面積(ひょうめんせき)が広い(ひろ )ために空気(くうき)中(ちゅう)の酸素(さんそ)と結びつき(むす   )やすく、すぐに燃え(も )てしまいます。8しかし、鉄板(てっぱん)は、厚(あつ)さがある分(ぶん)、表面積(ひょうめんせき)が狭く(せま )、十分(じゅうぶん)に酸素(さんそ)と結びつく(むす   )ことができないために燃え(も )ないのです。 
 9表面積(ひょうめんせき)の大き(おお )さが鉄(てつ)を燃やす(も  )のを手伝っ(てつだ )ているというわけです。0

 言葉(ことば)の森(もり)長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい) Λ
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a 長文 7.3週 00i
 1私(わたし)たちは眠っ(ねむ )ているとき、レム睡眠(すいみん)という浅い(あさ )眠り(ねむ )と、ノンレム睡眠(すいみん)という深い(ふか )眠り(ねむ )を繰り返し(く かえ )ています。「レム」というのは「目玉がよく動く(うご )」という意味(いみ)の英語(えいご)の略語(りゃくご)で、「ノンレム」というのは、「目玉が動か(うご )ない」という意味(いみ)です。2レム睡眠(すいみん)のときには私(わたし)たちの身体(しんたい)は休んでいますが、脳(のう)はまだ活動(かつどう)しています。そして、ノンレム睡眠(すいみん)のときには、身体(しんたい)とともに脳(のう)も休んでいます。
 3夢(ゆめ)は、おもにこのレム睡眠(すいみん)のときに見ていると言わ(い )れています。
 夢(ゆめ)には、寝る(ね )前(まえ)に考え(かんが )ていたことや、寝(ね)ている間(あいだ)に自分(じぶん)の身体(しんたい)に感じ(かん )たことも影響(えいきょう)しているようです。4ですから、テストの前(まえ)にはテストの夢(ゆめ)を見たり、トイレに行き(い )たいのを我慢(がまん)しているとトイレに行く(い )夢(ゆめ)を見たりします。5また、「自分(じぶん)でもどうしてこんな夢(ゆめ)を見たのかわからない」というような変(へん)な夢(ゆめ)も、じつは心(こころ)の奥(おく)に隠さ(かく )れているもう一つの自分(じぶん)の現れ(あらわ )ではないかと言わ(い )れています。
 6夢(ゆめ)を見るのは、人間(にんげん)だけではありません。犬も夢(ゆめ)を見ます。犬の寝(ね)ている様子(ようす)を見ていると、眠り(ねむ )ながら、うなったり、しっぽをふったり、足を動かし(うご  )たりすることがよくあります。7犬だけではなく、ある程度(  ていど)脳(のう)の発達(はったつ)した動物(どうぶつ)には、このような現象(げんしょう)が観察(かんさつ)されるそうです。
 今(いま)、人間(にんげん)の脳(のう)の働き(はたら )に近い(ちか )能力(のうりょく)を持っ(も )た人工(じんこう)知能(ちのう)の開発(かいはつ)が進ん(すす )でいます。8脳(のう)はあまりにも複雑(ふくざつ)なので、人工(じんこう)知能(ちのう)が完全(かんぜん)に脳(のう)の代わり(か  )ができる日はそう簡単(かんたん)には来(き)そうにありませんが、その研究(けんきゅう)の一環(いっかん)として、人工(じんこう)知能(ちのう)に夢(ゆめ)を見させようという研究(けんきゅう)もあります。9いろいろな画像(がぞう)やその他(  た)の刺激(しげき)を与え(あた )て、それを夢(ゆめ)として組み立て(く た )させようという試み(こころ )です。これは、科学(かがく)の世界(せかい)での夢(ゆめ)のある話(はなし)です。0

 言葉(ことば)の森長(ちょう)文作成(さくせい)委員(いいん)会(かい) τ
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a 長文 7.4週 00i
 1水槽(すいそう)の水(みず)を交換(こうかん)しないでいると、やがて水(みず)が緑色(みどりいろ)になってきます。これは、プランクトンによるものです。2プランクトンとは、水中(すいちゅう)に浮かん(う  )でいる生物(せいぶつ)のことで、植物(しょくぶつ)性(せい)のものと動物(どうぶつ)性(せい)のものとがあります。
 3ケイソウは、植物(しょくぶつ)性(せい)のプランクトンで、丸(まる)や四角(しかく)や星(ほし)型(がた)などいろいろな形(かたち)をしていますが、いずれも細胞(さいぼう)一つだけでできています。4ケイソウは、動物(どうぶつ)性(せい)のプランクトンや魚(さかな)のえさになりますが、海(うみ)や湖(みずうみ)でケイソウが大量(たいりょう)に発生(はっせい)すると赤潮(あかしお)を引き起こす(ひ お  )こともあります。5植物(しょくぶつ)性(せい)なのにどうして赤い(あか )色(いろ)になるかというと、細胞(さいぼう)の中(なか)に赤い(あか )色素(しきそ)も含ま(ふく )れているからです。
 6動物(どうぶつ)性(せい)のプランクトンには、ミジンコ、小型(こがた)のカニやエビ、魚(さかな)の幼生(ようせい)などがあります。ミジンコは、顕微鏡(けんびきょう)で見る(み )と、ひよこのような形(かたち)をしていて目(め)と口(くち)と触角(しょっかく)があります。7ミジンコのえさは、主(おも)に植物(しょくぶつ)性(せい)プランクトンです。
 家庭(かてい)からの排水(はいすい)などで湖(みずうみ)が栄養(えいよう)豊富(ほうふ)になると、植物(しょくぶつ)性(せい)プランクトンが大量(たいりょう)に発生(はっせい)します。8これらのプランクトンが増え(ふ )すぎると水(みず)の汚れ(よご )の原因(げんいん)になりますが、ミジンコは植物(しょくぶつ)性(せい)プランクトンを食べる(た  )ので、水(みず)をきれいにする働き(はたら )があります。
 9小さな(ちい  )プランクトンも、自然(しぜん)の中(なか)でいろいろな役割(やくわり)を果たし(は  )ているのです。0

 言葉(ことば)の森長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい)
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a 長文 8.1週 00i
 1約(やく)三万(まん)年(ねん)前(まえ)、日本(にっぽん)列島(れっとう)は大陸(たいりく)と陸続き(りくつづ )でした。縄文(じょうもん)人(じん)の祖先(そせん)は、陸続き(りくつづ )の日本(にっぽん)に渡っ(わた )てきた古(こ)モンゴロイドであると言わ(い )れています。2古(こ)モンゴロイドとは、アジア大陸(たいりく)南部(なんぶ)に誕生(たんじょう)した蒙古(もうこ)人種(じんしゅ)で、ナウマン象(ぞう)などを追っ(お )て、日本(にっぽん)に渡っ(わた )てきました。3この古(こ)モンゴロイドが旧(きゅう)石器(せっき)人(じん)となり、その子孫(しそん)が縄文(じょうもん)人(じん)となったのです。 
 4一方(いっぽう)、紀元前(きげんぜん)300年(ねん)ごろ、新(しん)モンゴロイドが鉄器(てっき)と青銅器(せいどうき)を持っ(も )て日本(にっぽん)に渡来(とらい)し、弥生(やよい)人(じん)と呼ば(よ )れるようになりました。5この新(しん)モンゴロイドが古(こ)モンゴロイドと混血(こんけつ)を繰り返し(く かえ )ながら今(いま)の日本人(にっぽんじん)になったと考え(かんが )られています。 
 6縄文(じょうもん)人(じん)は、四角い(しかく )顔(かお)で、眉毛(まゆげ)が太く(ふと )、二重(ふたえ)まぶたで、唇(くちびる)が厚い(あつ )のが特徴(とくちょう)です。弥生(やよい)人(じん)は、面長(おもなが)で、眉毛(まゆげ)が細く(ほそ )、一重(ひとえ)まぶたで、唇(くちびる)が薄い(うす )のが特徴(とくちょう)です。7このような対照(たいしょう)的(てき)な特徴(とくちょう)が今(いま)の日本人(にっぽんじん)にも現れ(あらわ )ていると考える(かんが  )と、同じ(おな )日本人(にっぽんじん)でもさまざまな顔(かお)の人(ひと)がいることも納得(なっとく)できます。 
 8また、日本(にっぽん)列島(れっとう)の北端(ほくたん)と南端(なんたん)の人々(ひとびと)の骨格(こっかく)や顔つき(かお  )が似(に)ているのは、後(あと)から日本(にっぽん)に来(き)た弥生(やよい)人(じん)の特徴(とくちょう)が薄まり(うす  )、弥生(やよい)人(じん)より前(まえ)から日本(にっぽん)にいた縄文(じょうもん)人(じん)の特徴(とくちょう)が色濃く(いろこ )残っ(のこ )たためと言わ(い )れています9。日本(にっぽん)列島(れっとう)の北端(ほくたん)と南端(なんたん)の人々(ひとびと)の祖先(そせん)は、率先(そっせん)して日本(にっぽん)にやってきた縄文(じょうもん)人(じん)の影響(えいきょう)の方(ほう)が強い(つよ )というわけです。0

 言葉(ことば)の森(もり)長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい) Λ
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a 長文 8.2週 00i
 1現代(げんだい)は携帯(けいたい)電話(でんわ)という便利(べんり)なものがありますが、昔(むかし)は情報(じょうほう)ひとつ運ぶ(はこ )のも大変(たいへん)でした。2手紙(てがみ)にして、相手(あいて)のいるところにまでとどけなくてはなりません。もちろん荷物(にもつ)を運ぶ(はこ )トラックも鉄道(てつどう)もない時代(じだい)です。
 3江戸(えど)時代(じだい)、このような郵便(ゆうびん)や宅配(たくはい)便(びん)の仕事(しごと)をしていたのが飛脚(ひきゃく)でした。戦乱(せんらん)の世の中(よ なか)では、各地(かくち)に関所(せきしょ)が置か(お )れ、道(みち)を自由(じゆう)に通行(つうこう)することができませんでした。4しかし、江戸(えど)の平和(へいわ)な時代(じだい)になると、街道(かいどう)や宿場(しゅくば)が整備(せいび)され、人や物(もの)の移動(いどう)がスムーズになったのです。
 5飛脚(ひきゃく)のうちで、料金(りょうきん)がいちばん安い(やす )ものは、何(なん)日で届ける(とど  )という保証(ほしょう)がないものでした。急ぐ(いそ )ものや重い(おも )ものは値段(ねだん)が高い(たか )というところは今(いま)と同じ(おな )でした。
 6飛脚(ひきゃく)を頼む(たの )とき、近い(ちか )ところだと今(いま)のお金で数(すう)百円、江戸(えど)から大阪(おおさか)までの最も(もっと )速い(はや )特急(とっきゅう)便(びん)だと数(すう)十万(まん)円もかかったそうです。
 ところで、なぜ馬(うま)を使わ(つか )なかったのか、という疑問(ぎもん)がわいてきます。7理由(りゆう)としては、当時(とうじ)の馬(うま)は今(いま)の競走(きょうそう)馬(ば)のように速く(はや )なかったこと、遠距離(えんきょり)を走れ(はし )なかったこと、そして何より(なに  )リレーしていく馬(うま)を常に(つね )飼っ(か )ておく費用(ひよう)がかかりすぎたことなどが挙げ(あ )られています。
 8さて、これらの飛脚(ひきゃく)は明治(めいじ)時代(じだい)に入って、イギリスから郵便(ゆうびん)制度(せいど)が取り入れ(と い )られたことにより、その役割(やくわり)を終え(お )ました。郵便(ゆうびん)は国(くに)だけが行う(おこな )ようになり、切手(きって)をはるという仕組み(しく )もできました。9江戸(えど)時代(じだい)の飛脚(ひきゃく)たちが、今(いま)の高速(こうそく)情報(じょうほう)通信(つうしん)の時代(じだい)に来(き)たら、目を丸く(まる )することでしょう。もしかしたら、マラソン選手(せんしゅ)になって、オリンピックで活躍(かつやく)するかもしれません。0

 言葉(ことば)の森長(ちょう)文作成(さくせい)委員(いいん)会(かい) α
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a 長文 8.3週 00i
 1みなさんのおじいちゃん、おばあちゃんはお元気(げんき)ですか。
 2年(とし)をとると、腰(こし)やひざが痛く(いた )なったり、うまく動か(うご )なくなったりします。3また、目(め)や耳(みみ)や歯(は)も若い(わか )ころとはちがって、だんだん衰え(おとろ )てきます。 
 4こうした変化(へんか)を老化(ろうか)と言い(い )ますが、実際(じっさい)に自分(じぶん)がなってみないとどんなに不自由(ふじゆう)かわかりません。 
 5今(いま)、いろいろなところで「シニア体験(たいけん)」といって、ひざにおもりをつけたり、見え(み )にくいメガネをかけたりして、お年寄り(としよ )と同じ(おな )ような状態(じょうたい)を作っ(つく )て、生活(せいかつ)の一部(いちぶ)を体験(たいけん)するという試み(こころ )が行わ(おこな )れています。 
 6普段(ふだん)は、特に(とく )意識(いしき)しないでひょいとまたいでバスタブにつかっている私(わたし)たちですが、二キログラムのおもりを足(あし)につけると、へりの高(たか)さが高い(たか )バスタブにはなかなか入れ(い )ません。
 7また、ぐるぐると厚い(あつ )サポーターをひざにまかれてトイレに座っ(すわ )てみると、立ち上がる(た あ  )とき、とても苦労(くろう)します。8そんなとき、手すり(て  )があると助かり(たす  )ます。 
 9生活(せいかつ)に使う(つか )いろいろなものを作る(つく )会社(かいしゃ)では、このような研究(けんきゅう)をして、お年寄り(としよ )が安全(あんぜん)で暮らし(く  )やすい製品(せいひん)を開発(かいはつ)しているのです。0

 言葉(ことば)の森(もり)長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい) φ
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a 長文 8.4週 00i
 1世界(せかい)には、人間(にんげん)に発見(はっけん)されていない動物(どうぶつ)や植物(しょくぶつ)がまだたくさんあります。もしそうした新種(しんしゅ)の動植物(どうしょくぶつ)が発見(はっけん)されると、「学名(がくめい)」がつけられます。2「学名(がくめい)」には、ラテン語(   ご)が使わ(つか )れることが多く(おお )、全(ぜん)世界(せかい)の学者(がくしゃ)が共通(きょうつう)でわかるようになっています。たとえば、「犬(いぬ)」という動物(どうぶつ)は、英語(えいご)では「ドッグ」、フランス語(    ご)では「シャン」、タイ語(ご)では「マー」、と国(くに)によって言い方(い かた)がちがいます。3しかし、「学名(がくめい)」では、世界中(せかいじゅう)共通(きょうつう)で「カニス」ということばを使う(つか )のです。
 4学名(がくめい)は、主(おも)にラテン語(   ご)で作ら(つく )れますが、中(なか)には日本語(にほんご)をもとにしたものもあります。
 5ニホンザルは、学名(がくめい)をマカカ・フスカタと言い(い )ます。この「マカカ」は、「お尻(しり)がまっかっか」という日本語(にほんご)からつけられました。また、トキの学名(がくめい)はニッポニア・ニッポンと言い(い )ます。6昔(むかし)日本(にっぽん)にはこのトキがたくさんいて、群れ(む )となって、美しい(うつく  )ピンク色(   いろ)の姿(すがた)で空(そら)をそめたこともあるそうです。
 7人間(にんげん)にも、学名(がくめい)があります。それはホモ・サピエンスといって、ラテン語(   ご)で「知恵(ちえ)のある人(ひと)」という意味(いみ)です。
 8今(いま)、ラテン語(   ご)を普通(ふつう)の生活(せいかつ)で使っ(つか )ている場所(ばしょ)はありません。ラテン語(   ご)は、もともとイタリア半島(はんとう)に住ん(す )でいたラテン人(じん)の言葉(ことば)でした。それがローマ帝国(   ていこく)の言葉(ことば)となったために、ヨーロッパ中(じゅう)に広がっ(ひろ  )たのです。
 9どうして学名(がくめい)にラテン語(   ご)が多く(おお )使わ(つか )れるのかというと、今(いま)の世の中(よ なか)で使わ(つか )れていないために、かえって世の中(よ なか)の動き(うご )に左右(さゆう)されない本来(ほんらい)の意味(いみ)が伝わる(つた  )からだというのが一つの理由(りゆう)のようです。0

 言葉(ことば)の森長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい)
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a 長文 9.1週 00i
 1蚊(か)は湿っ(しめ )た水のあるところが好き(す )です。遠く(とお )からでも人の体温(たいおん)や汗(あせ)からでる水分(すいぶん)を感じ(かん )てよってきます。そして、ちくりと刺し(さ )ます。2ですから、蚊(か)は「この人はおいしくなさそうだから、あっちの人にしよう」と人をみて刺す(さ )のではありません。3体温(たいおん)の高い(たか )人、汗(あせ)かきの人のほうが標的(ひょうてき)にされるのです。4また、スポーツをして汗(あせ)をかいたあとやお風呂(ふろ)あがりで体(からだ)がほてっているときなどは、蚊(か)に刺さ(さ )れやすくなります。
 5血(ち)をすう蚊(か)は卵(たまご)を持っ(も )たメスだけです。メスでも、卵(たまご)を持っ(も )ていないときは、花の蜜(みつ)や果物(くだもの)の汁(しる)などを食物(しょくもつ)としています。
 6蚊(か)が一回(かい)に吸う(す )血液(けつえき)の量(りょう)は、蚊(か)の体重(たいじゅう)の二倍(ばい)ぐらいです。そのため、血液(けつえき)をたっぷり吸う(す )と、よたよたして飛び(と )方(かた)が遅く(おそ )なることがあります。
 7たっぷり血(ち)を吸っ(す )た蚊(か)は、四、五日たつと数(すう)百個(こ)の卵(たまご)を産み(う )ます。卵(たまご)はボウフラからサナギになり、やがて成虫(せいちゅう)になります。8卵(たまご)から成虫(せいちゅう)になるまで十日ほどですから、夏(なつ)の間(あいだ)は次々(つぎつぎ)と蚊(か)が生まれてくるのです。
 9蚊(か)の天敵(てんてき)には、トンボやツバメやコウモリがいます。ツバメは、一日で数(すう)百から数(すう)千の蚊(か)を食べ(た )ます。夏(なつ)の空をトンボやツバメが飛ん(と )でいるときは、蚊(か)を捕まえ(つか  )ているのです。0

 言葉(ことば)の森長(ちょう)文作成(さくせい)委員(いいん)会(かい) β
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a 長文 9.2週 00i
 1夜(よる)、空(そら)を見上げる(みあ  )とまんまるのお月(つき)様(さま)が見える(み  )ことがあります。思わず(おも  )「あ、満月(まんげつ)だ」とうれしくなります。2また、別(べつ)の日(ひ)に、同じ(おな )ように見上げる(みあ  )と、今度(こんど)はお月(つき)様(さま)が半分(はんぶん)だったり、三日月(みかづき)といって、細長く(ほそなが )なっていたりします。3お月(つき)様(さま)は、本当に(ほんとう )太っ(ふと )たり、やせたりしているのでしょうか? お月(つき)様(さま)も食べ(た )過ぎ(す )たり、ダイエットしたりするのでしょうか? 
 4実は(じつ )お月(つき)様(さま)は、ずっとまんまるのままです。それも平たい(ひら  )のではなくて、ボールのような形(かたち)をしています。5ですから、太陽(たいよう)と月(つき)と地球(ちきゅう)の位置(いち)の関係(かんけい)で、かげができたり、明るく(あか  )光っ(ひか )たりするのです。6みなさんも実際(じっさい)にボールに光(ひかり)を当て(あ )て、実験(じっけん)してみてください。7ボールに光(ひかり)があたっている面(めん)だけが明るく(あか  )見える(み  )のと同じ(おな )で、月(つき)が太陽(たいよう)にてらされている部分(ぶぶん)だけが光っ(ひか )て見える(み  )のです。 
 8ところで、その丸い(まる )お月(つき)様(さま)には、本当に(ほんとう )ウサギがいるのでしょうか。
9「お月(つき)さん、どうですか」
「むーん。それはね……」(月(つき)は、英語(えいご)でムーン といいます)0

 言葉(ことば)の森(もり)長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい) φ
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a 長文 9.3週 00i
1「カー! カー! カー!」
 さむい、さむい、正月(しょうがつ)の朝(あさ)。
 ひとりのおぼうさんが、からすの鳴き(な )まねをしながら京都(きょうと)の町(まち)を歩き(ある )まわっています。
2「なんや、へんなぼうさんやなあ。」
「やや! このぼんさん、しゃれこうべもってるえ!」
 子ども(こ  )たちがさわいでもへいっちゃら。
「カー! カー! なむあみだぶつう……。」
 3おぼうさんは、一けんの大(だい)きな家(いえ)の前(まえ)でとまると、もっていたしゃれこうべをふりふりおきょうをとなえだしたのです。
 門(もん)があいて、主人(しゅじん)が出(で)てきました。
「帰り(かえ )や、このくそぼんず! めでたい正月(しょうがつ)にえんぎでもないわ!」
 4すると、おぼうさんはこういったのです。
「まあ、よくごらん。しゃれこうべは、目(め)が出(で)っぱなし。こんなにめでたいものもない。それに、人(ひと)はみな、いつかこうなるのだ。」
 5主人(しゅじん)は、あわててなかにひっこむと、
「いや、負け(ま )ましたわ、なんまんだあ。」
と、おぼうさんがかけているふくろのなかにひとつかみのお米(こめ)をいれてくれました。
 6つぎの家(いえ)でも、そのつぎの家(いえ)でも、おぼうさんは、同じ(おな )ようにしゃれこうべを見せ(み )、おきょうをあげて、お米(こめ)をもらいました。
 おぼうさんのふくろは、お米(こめ)でいっぱいになりました。7おぼうさんは、それをもってまずしい人々(ひとびと)のところへいきました。そして、
「さあさあ、みんなでおかゆをたいて、いただこう。」
といったのです。
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 8おぼうさんの名(な)まえは、「一休(いっきゅう)」。
「ねえ。どうして『一休(いっきゅう)』っていうの。」
「わしはな、一休み(ひとやす )しながら生きる(い  )のがすきなんじゃ。だから『一休(いっきゅう)』さ。のんびり生きる(い  )のは、いいことだよ。」
といったそうです。
 9それはいまから六百(ひゃく)年(ねん)ほど昔(むかし)。室町(むろまち)時代(じだい)のことでした。0

(岡田(おかだ)好恵(よしえ))
「心(こころ)をそだてるはじめての伝記(でんき)101人(にん)」(講談社(こうだんしゃ))
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a 長文 9.4週 00i
 1「雑草(ざっそう)のように強い(つよ )」というたとえがあるように、雑草(ざっそう)という言葉(ことば)は、たくましく生きる(い  )ものを表現(ひょうげん)することがあります。
 2雑草(ざっそう)は、そのたくましさの故(ゆえ)に、農作物(のうさくもつ)に悪い(わる )影響(えいきょう)を与える(あた  )ことがあります。3農業(のうぎょう)では、草取り(くさと )をきちんとしないと、雑草(ざっそう)が作物(さくもつ)の養分(ようぶん)などを横取り(よこど )してしまうため、収穫(しゅうかく)できる量(りょう)が減っ(へ )たり、作物(さくもつ)の品質(ひんしつ)が落ち(お )てしまいます。
 4また、作物(さくもつ)を収穫(しゅうかく)するときに、雑草(ざっそう)が邪魔(じゃま)になることもあります。5たとえば稲刈り(いねか )をするとき、昔(むかし)は鎌(かま)を使っ(つか )た手作業(てさぎょう)だったので、雑草(ざっそう)と稲(いね)を区別(くべつ)しながら収穫(しゅうかく)することができました。ところが、現代(げんだい)では機械(きかい)で収穫(しゅうかく)作業(さぎょう)を行う(おこな )ので、稲(いね)と雑草(ざっそう)の区別(くべつ)ができません。6その上(うえ)、雑草(ざっそう)の大き(おお )さや形(かたち)はさまざまなので、作物(さくもつ)の大き(おお )さに合わせ(あ  )て作ら(つく )れた機械(きかい)ではうまく刈る(か )ことができず、機械(きかい)にからみついて、収穫(しゅうかく)作業(さぎょう)の能率(のうりつ)が悪く(わる )なります。
 7しかし、雑草(ざっそう)は、人間(にんげん)の役に立つ(やく た )場合(ばあい)もあります。薬(くすり)として使わ(つか )れるチョウセンニンジンは、栽培(さいばい)されているものよりも野生(やせい)のもののほうが効果(こうか)が高い(たか )といわれ、値段(ねだん)もまた高価(こうか)です。
 8また、生活(せいかつ)排水(はいすい)などで汚染(おせん)された水(みず)を浄化(じょうか)するのにも、雑草(ざっそう)が役に立つ(やく た )ことがわかってきました。9水路(すいろ)に水生(すいせい)植物(しょくぶつ)を植える(う  )ことで、水(みず)を浄化(じょうか)することができるのです。アメリカのフロリダでは、この目的(もくてき)のためにホテイアオイを活用(かつよう)し、効果(こうか)を上げ(あ )ています。0

 言葉(ことば)の森長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい)
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