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 いまから五せんねんくらいまえ古代こだいローマの時代じだい、「サポーのおか」というところにあった神殿しんでんでは、いけにえのひつじ焼いや かみ捧げるささ  という習わしなら  がありました。このひつじあぶらがしたたり落ちお はい混じりま  つち染み込んし こ でいきました。このつち汚れよご をよく落としお  たことから、石鹸せっけんとして使わつか れるようになったといわれています。英語えいご石鹸せっけんのことを「ソープ」といいますが、これは、このおか名前なまえの「サポー」からているそうです。 
 また、同じおな ころ、現在げんざいのイラクのあたりで栄えさか ていたメソポタミア文明ぶんめいでも、石鹸せっけん作り方つく かたがわかっていたようです。シュメールじん残しのこ 粘土ねんどいたには、くさびがた文字もじで、はいにいろいろなあぶら混ぜま 煮るに 石鹸せっけんができると書いか てあります。 
 このことからもわかるように、石鹸せっけんは、動物どうぶつ植物しょくぶつあぶらを、灰汁あくなどのアルカリ性    せい液体えきたい煮るに 作るつく ことができます。灰汁あくというのは、植物しょくぶつはいみず溶かしと  たその上澄みうわず です。しかし、アルカリ性    せいえきだけでも汚れよご はいくらか落とせるお   ことから、人々ひとびと洗濯せんたくには灰汁あく使うつか ことが多かっおお  たようです。
 日本にっぽん石鹸せっけん入っはい てきたのは、室町むろまち時代じだい終わりお  ごろです。鉄砲てっぽうなどと同じおな ように、石鹸せっけんはポルトガルじん持っも てきたものです。しかし、高級こうきゅうひんだった石鹸せっけんは、身分みぶん高いたか ひとたちだけのものでした。一般いっぱん人々ひとびとは、洗濯せんたくには、ムクロジというやサイカチというのさや、そして灰汁あく使っつか ていました。 
 ちなみに、ムクロジのたねはかたく、お正月 しょうがつのはねつきのはねのおもりに使わつか れています。この外側そとがわかわみずにつけてもむと、あわ石鹸せっけんのように使えつか たのです。 
 こんなに古いふる 歴史れきし持つも 石鹸せっけんですが、だれでも気軽きがる洗濯せんたく使うつか ことができるようになったのは、日本にっぽんでは明治めいじ時代じだい後半こうはんになってからです。
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 洗うあら とき、わたしたちも古代こだいローマのいけにえのひつじに、感謝かんしゃしなくてはなりませんね。 

「ヒツジさん、石鹸せっけんのもとになった感想かんそうをひとこと。」
「まあ、セッケン(世間せけん)ではそう言っい ているけどね……。」
「いけにえは、もうこりごりですか。」
「そうぷ。」

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