1みよ子ちゃんは、このあいだから、こっそりおもいつづけていることがあります。
――いっちゃおうかな……と、夜になるとおもいます。でも、ちょっとはずかしくって、いえないのです。けれど、きょうは星のとくべつにきれいな夜でした。2そこで、みよ子ちゃんは、とうとう、おねだりしたのです。
――ね、おとうさん、おねがい。
ほほう……と、おとうさんは、めずらしそうにふりむきました。
――あれ、とって。
みよ子ちゃんは、空にたくさんある星をゆびさしました。
3あははは。おとうさんはわらって、
――あれは、だめ、星だもの。
みよ子ちゃんのかおはクシャンとゆがんで、べそをかきました。どうして星ならだめなのかしら。
おにいちゃんなんか、あんな高いところをとんでるトンボでも、ひょいとつかまえてくるのに……。
4――あれはね、とってもとおいところにあってとても大きいんだ。
けれどもみよ子ちゃんには、おとうさんのせつめいなぞ耳にはいりません。おもいつづけていたことを、やっといったのに、あははは、とわらわれちゃったんですからね。
5みよ子ちゃんはだまって家をでていって、うしろの丘にのぼりました。空の星に、いっそうちかくなった気のするところです。そして、そこにしゃがんでなきはじめました。
エーンエンエンエン
6大きななみだが、ポタンポタンとおっこちて、土にすいこまれてゆきます。すると、そのへんでへんな音がするのです。
コボン、コボ、コボ、ポコン
みよ子ちゃんはきみがわるくなって、なきやみました。7そしてたちあがったとたん、ポウン……と、足もとの土がはねのけられて、みょうないきものがかおをだしました。
――えへへ、ぼく、モグラだよ。
モグラなんて、しりません。
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