1私は朝寝坊などしたことがない。いつも早寝早起きを心がけ、時間的余裕を持って行動している。それはなぜかというと、以前、父から「会社に遅刻して上司を激怒させた」という話を聞いたことがあるからだ。
2父はそのことをまるで笑い話のように語るが、私は、とてもそんなのん気にはなれない。私の学校の先生は、みんな厳しいのだ。そんな先生たちに叱られて、震え上がるような思いをするのは絶対に嫌である。
3理由はもう一つある。そうした生活パターンのおかげで、私は六年生になるまで、ずっと皆勤賞を続けていた。卒業まであと数ヶ月。六年間の皆勤は、私の大きな目標でもあった。
しかし、私のそんな頑張りがあっさりと無駄になる出来事が、つい最近起こってしまった。4その日も私は寝坊をしなかった。定刻に起きて、家を出発したのである。それなのに、乗り込んだ電車が止まってしまったのだ。
車内アナウンスが、電線に異常があり走行できなくなった、と伝えていた。私は呆然とした。5このままでは遅刻はまぬがれない。それも、ひどい大遅刻だ。せっかくこれまで気をつけてきたというのに、しかも自分の責任ではないのに!
携帯で母に電話をかけると、速報が出ているから学校も分かっているはずだ。6あなたは怪我をしないように気をつけなさい、と優しく言ってくれた。そうやって落ち着かせてもらうまで、私の頭は焦りと苛立ちで混乱していた。
しばらく待っても電車は動く気配がない。ついに、私たちはその場で電車を降ろされ、次の駅まで歩く羽目になった。
7「今からドアを開きます。お体をお離しください。お降りになる際は、押し合わずゆっくりとお願いいたします。」
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