a 長文 7.1週 i
 1キンコーンカンコーン、キンコーンカーンコーン。
 チャイムがなるのと同時に(どうじ )、ぼくは教室(きょうしつ)のドアを飛び出し(と だ )ました。今日(きょう)の中休みは、校庭(こうてい)で鬼ごっこ(おに   )をすることにしていました。少し(すこ )でも長い(なが )時間(じかん)遊び(あそ )たかったので、一番乗り(いちばんの )で校庭(こうてい)にかけつけるつもりでした。
 2ぼくの教室(きょうしつ)は三階(かい)です。ドアを飛び出し(と だ )右へ曲がり(ま  )、階段(かいだん)まで全速力(ぜんそくりょく)で走り(はし )ます。階段(かいだん)の前(まえ)で急(きゅう)ブレーキをかけると、キキキキーと上履き(うわば )が廊下(ろうか)にこすれる音がしました。まるで自分(じぶん)が車になったような気分(きぶん)です。
 3ここまではぼくが一番(いちばん)です。うしろに、ヒロトとフミヤが続き(つづ )ます。これは負け(ま )ていられないぞ。ぼくは、心(こころ)の中で思い(おも )ました。
 ぼくは、階段(かいだん)を二段(だん)抜かし(ぬ  )で降りる(お  )ことにしました。二階(かい)までは順調(じゅんちょう)に飛ばし(と  )ました。4ところが、二階(かい)から一階(かい)へ降りる(お  )途中(とちゅう)で、階段(かいだん)を踏み外し(ふ はず )てしまいました。一瞬(いっしゅん)、何(なに)が起き(お )たのかわからないまま、ぼくは踊り場(おど ば)まで転がり(ころ  )ました。
「いてえ。」
 ぼくは腰(こし)を押さえ(お  )ながら起き上がり(お あ  )ました。5ヒロトとフミヤは心配(しんぱい)そうにぼくの顔(かお)をのぞき込み(   こ )ながら、
「大丈夫(だいじょうぶ)? 血(ち)が出てるよ。」
と言い(い )ます。ずきずき痛い(いた )足をふと見てみると膝(ひざ)から血(ち)が出ていました。
「あーあ、これじゃ、保健(ほけん)室(しつ)行き(い )だな。ちょっと行っ(い )てくるよ。」
6ぼくはそう言っ(い )て、一階(かい)にある保健(ほけん)室(しつ)に向かい(む  )ました。ぼく一人で行こ(い )うと思っ(おも )たのに、ヒロトとフミヤもついてきました。
「あら、どうしたの? 怪我(けが)?」
保健(ほけん)室(しつ)の田上先生は、ぼくとすっかり仲良し(なかよ )です。7どうしてかというと、ぼくはしょっちゅう怪我(けが)をして保健(ほけん)室(しつ)に行く(い )からです。
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「階段(かいだん)でこけちゃった。」
ぼくは恥ずかし(は   )そうに言い(い )ました。
「気をつけないと、ほんとうに危ない(あぶ  )のよ。階段(かいだん)は走ら(はし )ないこと。顔(かお)を怪我(けが)しなくてよかったね。8かっこいい顔(かお)が台無し(だいな )になっちゃうわよ。」
と、先生は優しく(やさ  )注意(ちゅうい)しました。怪我(けが)を消毒(しょうどく)するときは、とてもしみて、悲鳴(ひめい)をあげそうになりました。でも、格好(かっこう)が悪い(わる )ので我慢(がまん)しました。9怪我(けが)をしたのはぼくなのに、ヒロトとフミヤも、なんだか痛(いた)そうな顔(かお)になっていました。
「ごめんな。遊べ(あそ )なくなっちゃったな。」
と言う(い )と、二人とも、
「いいよ。また、明日(あした)やろう。」
と言っ(い )てくれました。明日(あした)は転ば(ころ )ないように、もう一度(  いちど)階段(かいだん)をかけおりるぞとぼくは思い(おも )ました。0

(言葉(ことば)の森長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい) ω)
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a 長文 7.2週 i
 鏡(かがみ)をつかっておもしろいことをしてみましょう。あなたの顔(かお)が正面(しょうめん)から大きく(おお  )写っ(うつ )ている写真(しゃしん)を用意(ようい)します。それから、目(め)のまんなか、鼻(はな)、口(くち)を通る(とお )顔(かお)の中心線(ちゅうしんせん)の上(うえ)に鏡(かがみ)を立て(た )ます。写真(しゃしん)の半分(はんぶん)と鏡(かがみ)に映っ(うつ )たその半分(はんぶん)とを合わせる(あ   )と、片方(かたほう)の側(がわ)だけからできた左右(さゆう)対称(たいしょう)の顔(かお)になります。鏡(かがみ)の向き(む )を変える(か  )と、もう片方(かたほう)の側(がわ)でも同じ(おな )ことができます。
 右側(みぎがわ)だけでできた顔(かお)と左側(ひだりがわ)だけでできた顔(かお)とでは、かなりちがった印象(いんしょう)を受け(う )ます。目(め)の大き(おお )さやほっぺたの形(かたち)など、右(みぎ)と左(ひだり)では意外(いがい)に大きく(おお  )異なっ(こと  )ているのです。
 顔(かお)だけではありません。人(ひと)の体(からだ)は、左右(さゆう)対称(たいしょう)に思え(おも )ますが、実は(じつ )少し(すこ )ちがっていて、手足(てあし)の長(なが)さや筋肉(きんにく)のつきかたなども同じ(おな )ではないのです。
 人(ひと)がまっすぐに歩く(ある )のは当たり前(あ  まえ)のようですが、実は(じつ )目(め)で周り(まわ )の景色(けしき)を確かめ(たし  )ながら体(からだ)の向き(む )をコントロールしています。そのため、視界(しかい)のきかない吹雪(ふぶき)のときなど、ただやみくもに進ん(すす )でいくと、弱い(よわ )足(あし)の方(ほう)に少し(すこ )ずつ曲がっ(ま  )ていってしまいます。そして、長い(なが )時間(じかん)歩い(ある )たあげく、結局(けっきょく)最初(さいしょ)と同じ(おな )地点(ちてん)にもどってしまうこともあるのです。
 内臓(ないぞう)では、右(みぎ)と左(ひだり)はもっとちがいます。たとえば心臓(しんぞう)は体(からだ)の少し(すこ )左側(ひだりがわ)にあります。赤ちゃん(あか   )を抱(だ)くときに、お母さん( かあ  )は自然(しぜん)と赤ちゃん(あか   )の頭(あたま)が心臓(しんぞう)の近く(ちか )にくるように抱(だ)きます。赤ちゃん(あか   )はお母さん( かあ  )のおなかの中(なか)にいるとき、お母さん( かあ  )の心臓(しんぞう)の音(おと)をずっと聞い(き )ていたので、この音(おと)を聞く(き )と安心(あんしん)するのかもしれません。
 右(みぎ)と左(ひだり)の違い(ちが )は、普段(ふだん)の生活(せいかつ)でも役に立ち(やく た )ます。例えば(たと  )、野球(やきゅう)をするとき、右(みぎ)利き(き )の人(ひと)は、左手(ひだりて)でボールをキャッチし右手(みぎて)でボールを投げ(な )ます。リンゴの皮(かわ)をむくときは、左手(ひだりて)でリンゴを支え(ささ )右手(みぎて)で包丁(ほうちょう)を動かし(うご  )ます。人間(にんげん)の体(からだ)は、右(みぎ)と左(ひだり)の違い(ちが )をうまく生かし(い  )ているのです。

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 ここで一句(いっく)。
「ウインクを 両目(りょうめ)でしたら ただのまばたき」

 言葉(ことば)の森(もり)長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい)(α)
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a 長文 7.3週 i
 1あくる年(とし)の春(はる)に、なたねはきいろいきれいな花(はな)をさかせました。花(はな)がちって、みがなりました。
 2そのみをあつめて、きんじろうはあぶらやさんへもっていきました。
「あぶらやさん。このなたねのみを、あぶらととりかえっこしてくれませんか。」
と、たのみました。3すると、あぶらやさんは、
「おお、きんじろうさんのつくったなたねのみだね。よしよし。」
と、しんせつに、あぶらととりかえてくれました。

4「こんどは、もうじぶんのあぶらだもの。おじさんだってしからないだろう。」
 きんじろうは、よるのくるのが、まちどおしくてなりません。あんどんにあぶらをいれて、あかりをつけて本(ほん)を読み(よ )ました。
 5ところが、おじさんは、やっぱりこわい顔(かお)して、
「きんじろうや。おまえはいったい、なにになるつもりじゃ。ひゃくしょうになるのに、べんきょうはいらないんだよ。あしたはあさはやくから、のらへいくのだ。はやくねなさい。」
6「はい。」
と、きんじろうは、またあかりをけさなければなりません。やっぱりきんじろうは、べんきょうができませんでした。

7「ああ、ひゃくしょうは、どうして、べんきょうをしてはいけないのだろう。そんなことはない。」
と思い(おも )ました。
 8けれども、おじさんにめいわくをかけてはいけません。
「そうだ。山(やま)へいく道(みち)や、たんぼへいく道(みち)で、本(ほん)を読も(よ )う。」
 9くわをかつぎながら、また、しばをかつぎながら、きんじろうは本(ほん)を読み(よ )ました。0

(二反長半(にたんおさなかば)編(へん) 白木(しらき)茂(しげる)著(ちょ) 「美しい(うつく  )話(はなし)・いじんの心(こころ)」より)
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a 長文 7.4週 i
 チョコレート、キャンディー、ケーキなど、甘い(あま )お菓子( かし)を思い浮かべる(おも う   )だけで幸せ(しあわ )な気分(きぶん)になれる人(ひと)は多い(おお )でしょう。それらのお菓子( かし)を作る(つく )のに大切(たいせつ)なのが砂糖(さとう)です。しかし、砂糖(さとう)にはほかにもいろいろな働き(はたら )があります。

 その働き(はたら )のひとつに、カビや微生物(びせいぶつ)が増殖(ぞうしょく)するのを防ぐ(ふせ )というものがあります。カビや微生物(びせいぶつ)は湿っ(しめ )たところ、つまり、水分(すいぶん)のあるところが好き(す )です。砂糖(さとう)は、食べ物(た もの)の水分(すいぶん)の周り(まわ )をおおって、微生物(びせいぶつ)やカビの働き(はたら )をにぶらせます。ジャムや果物(くだもの)の缶詰(かんづめ)などがその例(れい)です。果物(くだもの)はほうっておくと傷ん(いた )だり腐っ(くさ )たりしますが、砂糖(さとう)とともに調理(ちょうり)することで長期間(ちょうきかん)保存(ほぞん)することができます。

 水分(すいぶん)を抱え込む(かか こ )砂糖(さとう)の性質(せいしつ)は、生クリーム(なま    )や卵白(らんぱく)の泡立て(あわだ )にも一役(ひとやく)買っ(か )ています。クリームや卵(たまご)のたんぱく質(    しつ)の水分(すいぶん)を砂糖(さとう)が抱え込む(かか こ )ことによって、泡(あわ)がくずれるのを防ぎ(ふせ )、また泡(あわ)同士(どうし)がくっつくのををおさえてくれます。ふわふわのクリームを作る(つく )のには、砂糖(さとう)が欠か(か )せないのです。
 肉(にく)を煮込む(にこ )ときにも、その働き(はたら )が発揮(はっき)されます。調理(ちょうり)する前(まえ)の下(した)準備(じゅんび)の肉(にく)に砂糖(さとう)をすりこんでおくと、軟らかく(やわ   )煮る(に )ことができます。それは、砂糖(さとう)が肉(にく)のたんぱく質(    しつ)の持つ(も )水分(すいぶん)を肉(にく)の中(なか)にとどめておくからです。

 甘(あま)さを作り出す(つく だ )調味(ちょうみ)料(りょう)というイメージの強い(つよ )砂糖(さとう)ですが、実際(じっさい)には水分(すいぶん)と結びつき(むす   )やすい性質(せいしつ)が私(わたし)たちの生活(せいかつ)の中(なか)でいろいろな役割(やくわり)をはたしているのです。
 働き者(はたら もの)の砂糖(さとう)は、縁(えん)の下(した)の力持ち(ちからも )なので、決して(けっ  )「えっへん!」といばっているわけではありません。しかし、ダイエットをさけぶ人(ひと)たちからは、かたき扱い(あつか )されています。「えっ? 変(へん)? 一生懸命(いっしょうけんめい)働い(はたら )ているのに……。」砂糖(さとう)からそんな声(こえ)が聞こえ(き  )てきそうです。

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「カビ君(くん)は、どうして砂糖(さとう)が苦手(にがて)なの。」
「だって、砂糖(さとう)ってサ、トウっても甘い(あま )んだもん。」

  言葉(ことば)の森(もり)長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい)(σ)
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a 長文 8.1週 i
 1明日(あした)は、神社(じんじゃ)のお祭り( まつ )があります。天王様(てんのうさま)と呼ば(よ )れているお祭り( まつ )です。おじいちゃんが子どものころからずっと続い(つづ )ているお祭り( まつ )だそうです。毎年(まいとし)、子どもたちは、水色(みずいろ)の法被(はっぴ)を着(き)て神社(じんじゃ)に集まり(あつ  )ます。2私(わたし)も友だち(とも  )も、天王様(てんのうさま)をとても楽しみ(たの  )にしています。
 神社(じんじゃ)からは、お囃子(はやし)の笛(ふえ)の音が聞こえ(き  )てきました。明日(あした)の練習(れんしゅう)をしているのです。太鼓(たいこ)の音もドンドンとおなかの底(そこ)に響き(ひび )ます。3お兄ちゃん(にい   )が、
「ちょっと見てこよう。」
と言う(い )ので、私(わたし)もついていくことにしました。
「太鼓(たいこ)、たたいてみるか。ほれ。」
 そう声(こえ)をかけられて振り向く(ふ む )と、お父さん( とう  )の友だち(とも  )の中村さんがいました。4お兄ちゃん(にい   )は、
「え、やっていいの? やらせて、やらせて。」
と、大喜び(よろこ )でバチを貸し(か )てもらいました。
「ドン、ドン、ドン」
 お兄ちゃん(にい   )は三回(かい)、大きく打ち(う )ました。中村さんは、
「もっと思い切っ(おも き )てたたかないと、いい音は出ないぞ。それ、もう一回(かい)。」
と言い(い )ました。5お兄ちゃん(にい   )はもう一度(  いちど)、腕(うで)を大きく上げて打ち(う )ました。
「ドーン、ドーン」
 今度(こんど)はおなかに響く(ひび )音です。ほかのおじさんも、
「うまいなあ。明日(あした)、たたいてみるか。」
と笑っ(わら )ています。褒め(ほ )られたお兄ちゃん(にい   )は、ちょっぴり得意(とくい)そうです。
 6しばらく打っ(う )て満足(まんぞく)したのか、
「お前( まえ)もやる?」
と、私(わたし)にバチを手渡し(てわた )てくれました。お兄ちゃん(にい   )みたいに上手に
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できるかなあと心配(しんぱい)でしたが、私(わたし)も思い切り(おも き )打っ(う )てみました。
「ドーン。」
 自分(じぶん)でもびっくりするくらいいい音がでました。
7「おお、こりゃすごいぞ。」
 おじさんたちが拍手(はくしゅ)してくれました。
「笛(ふえ)、吹い(ふ )てみるから、ちょっと合わせ(あ  )てみろ。」
 そう言っ(い )て、赤い顔(かお)のおじさんが笛(ふえ)を口に当て(あ )ました。お囃子(はやし)のメロディーは小さなころから聞い(き )ているので、どこで太鼓(たいこ)を打つ(う )かも知っ(し )ています。
8「ピーピピーピピーピ」
「ドンドン」
 私(わたし)は、思い切り(おも き )打ち(う )ました。メロディーに合わせ(あ  )て、
「ドドン、ドドン、ドンドン」
と続け(つづ )ます。
「うわあ、楽しい(たの  )。」
 いつのまにかとてもいい気分(きぶん)でたたいていました。9いつまでもたたいていたい気分(きぶん)でした。
 お母さん( かあ  )は、よく私(わたし)のことを恥ずかし(は   )がりやだと言い(い )ます。私(わたし)もそうだと思っ(おも )ていました。でも、恥ずかし(は   )がりやの私(わたし)はどこかへ行(い)ってしまったみたいでした。0

(言葉(ことば)の森長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい) ω)
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a 長文 8.2週 i
 日本(にっぽん)は世界一(せかいいち)の漫画(まんが)王国(おうこく)とよばれています。大人(おとな)向け(む )のものまでふくめると、一年間(ねんかん)に七億(おく)冊(さつ)以上(いじょう)の漫画(まんが)が出版(しゅっぱん)されています。漫画(まんが)をもとにして、アニメーションや映画(えいが)やテレビ番組(ばんぐみ)もたくさん作ら(つく )れ、いろいろな国(くに)の言葉(ことば)に翻訳(ほんやく)されて、世界中(せかいじゅう)の人気(にんき)を集め(あつ )ています。
 では、漫画(まんが)は、いつの時代(じだい)からあったのでしょうか。いちばん古い(ふる )漫画(まんが)は、今(いま)から八百年(はっぴゃくねん)ほど前(まえ)にかかれたと言わ(い )れています。それは、京都(きょうと)の高山寺(こうざんじ)というお寺( てら)にある、「鳥獣(ちょうじゅう)人物(じんぶつ)戯画(ぎが)」という絵(え)です。
 その中(なか)には、人真似(ひとまね)をして遊ぶ(あそ )動物(どうぶつ)たちがかかれています。始まり(はじ  )は、動物(どうぶつ)たちの川遊び(かわあそ )。川(かわ)に飛びこむ(と   )ウサギや、泳ぐ(およ )サル。ウサギに背中(せなか)を流し(なが )てもらって、気持ちよ(きも  )さそうなサルもいます。別(べつ)の絵(え)には弓矢(ゆみや)の練習(れんしゅう)をしたり、相撲(すもう)をとって遊ん(あそ )だりするカエルやウサギの様子(ようす)がかかれています。カエルに投げ飛ばさ(な と  )れて、ひっくりかえったウサギのそばで、見物(けんぶつ)のカエルたちが大(おお)わらいしている絵(え)もあります。カエルの仏(ほとけ)様(さま)にお経(きょう)をあげているサルのお坊さん(ぼう  )の絵(え)もあります。どの動物(どうぶつ)も生き生き(い い )と描か(えが )れ、今にも(いま  )絵(え)の中(なか)から飛び出し(と だ )てきそうです。
 この昔(むかし)の漫画(まんが)には、セリフがかかれておらず、ストーリーもはっきりしません。しかし絵(え)の中(なか)には、今(いま)の漫画(まんが)に似(に)たところもあります。たとえば今(いま)の漫画(まんが)では、すばやい動き(うご )をあらわすために線(せん)を何本(なんぼん)もひき、スピードの出(で)ている様子(ようす)をあらわします。鳥獣(ちょうじゅう)人物(じんぶつ)戯画(ぎが)の中(なか)にも、同じ(おな )ようなかき方(かた)が見(み)られるのです。
 こんな昔(むかし)から、漫画(まんが)を楽しん(たの  )でいた日本人(にっぽんじん)。これからも、たくさんの名作(めいさく)が生まれ(う  )、多く(おお )の人(ひと)に愛さ(あい )れていくことでしょう。
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 漫画(まんが)は、世界中(せかいじゅう)に自(じ)マンガできる、日本(にっぽん)の宝(たから)です。しかし、漫画(まんが)は絵(え)がわかりやすいので、字(じ)の多い(おお )本(ほん)は読()マンガ、漫画(まんが)なら読む(よ )という生活(せいかつ)を続け(つづ )ていると、次第に(しだい )読む(よ )力(ちから)が低下(ていか)してきます。字(じ)の多い(おお )本(ほん)を読む(よ )一方(いっぽう)で、漫画(まんが)も楽しく(たの  )読み(よ )、漫画(まんが)の読み方(よ かた)についても自(じ)マンガできる国(くに)にしていきましょう。

 言葉(ことば)の森(もり)長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい)(γ)
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a 長文 8.3週 i
 1しばさぶろうは、よろこんでくまもとの学校(がっこう)へはいりました。べんきょうをはじめました。
 けれども、おとうさんのいったとおり、がいこくのことばはたいへんむずかしいのでした。2がいこくの先生(せんせい)が、がいこくのことばでおしえてくれるのです。さっぱりわかりません。いまのように、字引(じびき)もありません。
 3しばさぶろうは、やっぱり、いやになりました。

「学校(がっこう)をやめて、うちへかえって、ひゃくしょうをしよう。」
 4先生(せんせい)のところへいって、「学校(がっこう)をやめさせてください。」といおうとしました。けれども、しばさぶろうがいうまえに、先生(せんせい)からさきにききました。
5「しばさぶろうくん。元気(げんき)がありませんね。どうしたのです。」
「はい。その……。」
と、しばさぶろうは、なみだがでそうになりました。

 6じっと、こらえているうちに、ふと、先生(せんせい)のつくえの上(うえ)のしゃしんが目(め)につきました。ぶらんこにのっている、がいこくの子ども(こ  )のしゃしんです。先生(せんせい)の子ども(こ  )にちがいありません。
 7はっとして、しばさぶろうはいいました。
「先生(せんせい)は、とおいがいこくから、ひとりで、日本(にっぽん)へきてさびしくありませんか。」
 8すると、先生(せんせい)はにっこりとしていいました。
「そうですね。ときどき、子ども(こ  )のことを、ゆめに見(み)ます。でも、日本(にっぽん)では、すぐなおる病気(びょうき)にかかっても、みんな死に(し )ます。わたしひとりのことなどかんがえておられません。はやく日本(にっぽん)のみなさんに、ながいきをしていただきたいのです。」

 9ああ、なんとりっぱな、先生(せんせい)のことばでしょう。
 しばさぶろうは、いっぺんにこころがかわりました。もううれしくてなりません。
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0「そうだ。べんきょうがむずかしいなんていっていてはいけないんだ。はやくよいおいしゃさんになって、日本(にっぽん)のみなさんにながいきをしてもらわなければならない。」
 つよく、そう思い(おも )ました。

(二反長半(にたんおさなかば)編(へん) 白木(しらき)茂(しげる)著(ちょ) 「美しい(うつく  )話(はなし)・いじんの心(こころ)」より)
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a 長文 8.4週 i
 寝よ(ね )うとしたら、ブーンという音(おと)がして、あわてて灯り(あか )をつけたことがありませんか。そして、小さな(ちい  )蚊(か)がどこにいるか見つけよ(み   )うとしたことがあるでしょう。
 日本(にっぽん)では昔(むかし)、蚊(か)を防ぐ(ふせ )ために蚊帳(かや)という道具(どうぐ)を使っ(つか )ていました。これは、一ミリメートルほどの細かい(こま  )網(あみ)でできている四角い(しかく )テントのようなもので、部屋(へや)の中(なか)で四方(しほう)から吊り(つ )下げる(さ  )ようになっています。網目(あみめ)が細かい(こま  )ので、蚊(か)は中(なか)に入(はい)れませんが、涼しい(すず  )風(かぜ)は通す(とお )ことができます。昔(むかし)の日本人(にっぽんじん)は、蚊(か)の多い(おお )暑い(あつ )夏(なつ)の夜(よる)を、蚊帳(かや)の中(なか)で風鈴(ふうりん)の音(おと)を聞き(き )ながら涼しく(すず  )過ごし(す  )たのです。 

 しかし、昭和(しょうわ)の後期(こうき)になると、殺虫(さっちゅう)剤(ざい)や下水道(げすいどう)が普及(ふきゅう)した結果(けっか)、蚊(か)自体(じたい)が少なく(すく  )なり、蚊帳(かや)は次第に(しだい )使わ(つか )れなくなっていきました。 
 ところが、今(いま)、この蚊帳(かや)が再び(ふたた )注目(ちゅうもく)されています。蚊帳(かや)は、電気(でんき)も薬品(やくひん)も使わ(つか )ない点(てん)で、人間(にんげん)にも地球(ちきゅう)にももちろん蚊(か)にも優しい(やさ  )道具(どうぐ)だと考え(かんが )られるようになってきたのです。 

 日本(にっぽん)は、マラリヤの被害(ひがい)に悩まさ(なや  )れるアフリカ諸国(しょこく)にたくさんの蚊帳(かや)を送っ(おく )ています。これによって多く(おお )の子供(こども)たちの命(いのち)が助かっ(たす  )ているそうです。日本(にっぽん)ではほとんど使わ(つか )れることのなくなった蚊帳(かや)も、世界(せかい)では大(だい)活躍(かつやく)をしているのです。日本人(にっぽんじん)のこれからの役割(やくわり)は、より安く(やす )より安全(あんぜん)な蚊帳(かや)を世界中(せかいじゅう)に広める(ひろ  )ことではないでしょうカ。

「ブーン。」
「あ、蚊(か)や。蚊帳(かや)に入ろ(はい )う。」
「しまった。蚊帳(かや)に入ら(はい )れたカ。ヤーン。」

 言葉(ことば)の森(もり)長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい)(α)
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a 長文 9.1週 i
 1今日(きょう)は、お母さん( かあ  )に髪(かみ)を切っ(き )てもらう日です。ぼくたち兄弟(きょうだい)は、お母さん( かあ  )に髪(かみ)を切っ(き )てもらうことを、ママ床屋(とこや)と呼ん(よ )でいます。いつもママ床屋(とこや)なので、ぼくは一度(ど)も床屋(とこや)さんへ行(い)ったことがありません。
2「準備(じゅんび)できたよ。ひとりずつおいで。」
 お風呂場(ふろば)からお母さん( かあ  )の声(こえ)が響き(ひび )ます。ママ床屋(とこや)は、お風呂場(ふろば)でお店(みせ)を開く(ひら )のです。夏(なつ)は暑い(あつ )ので裸(はだか)でちょうどいいけれど、冬(ふゆ)のママ床屋(とこや)はぶるぶる震え(ふる )てしまいます。
 3ぼくは急い(いそ )で服(ふく)を脱ぎ(ぬ )、お風呂場(ふろば)へ飛ん(と )でいきました。お母さん( かあ  )は右手にバリカンを持ち(も )、ぼくを見るとにっこりしました。
「さあ、切ろ(き )うか。下を向か(む )ないで、ちゃんと前(まえ)を見ててね。」
 4そう言い(い )ながら、バリカンのスイッチを入れました。ウイーンウイーンと、バリカンの音が耳の近く(ちか )で聞こえ(き  )ます。ときどき髪の毛(かみ け)が引っ張ら(ひ ぱ )れるので、ぼくは、
「いてっ。」
と、まるでカメのように首(くび)をすくめます。5お母さん( かあ  )は、
「だめだめ。まっすぐにしていないと、変(へん)なところを切っ(き )ちゃうよ。」
と言い(い )ます。バリカンに刈ら(か )れた髪の毛(かみ け)が、パサリパサリとぼくの肩(かた)や背中(せなか)にくっつきます。そのうち、ちくちくと刺し(さ )てきます。6体(からだ)中かゆくてたまりません。
「ああ、もう限界(げんかい)だあ。」
と、ぼくが我慢(がまん)できなくなるころ、後ろ(うし )の髪(かみ)のカットが終わる(お  )のです。
「できた、できた。じゃあ、今度(こんど)は前髪(まえがみ)。さ、こっち向い(む )て。」
 ぼくは、くるりと振り向き(ふ む )ました。7目をつぶり、動か(うご )ないように息(いき)を止め(と )ます。
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「はい、終わり(お  )。頑張っ(がんば )たね。」
 ぼくは目を開け(あ )ました。お母さん( かあ  )は、少し(すこ )離れ(はな )てぼくを眺め(なが )ています。ぼくが動い(うご )たから変(へん)なところを切っ(き )てしまったのではないかと心配(しんぱい)になります。
8「うん。いいんじゃない。床屋(とこや)さんじゃないのに、なかなかうまいよね。」
と、お母さん( かあ  )が言い(い )ました。ぼくはほっとしました。
 シャワーで洗い流す(あら なが )と、ちくちくしたのが取れ(と )てすっきりしました。9くもった鏡(かがみ)をごしごしと手で拭い(ふ )て、ぼくの顔(かお)を映し(うつ )てみました。いつもと違う(ちが )ぼくの顔(かお)です。自分(じぶん)でもなかなか格好いい(かっこう  )なと思い(おも )ました。0

(言葉(ことば)の森長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい) ω)
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a 長文 9.2週 i
 1そのときでした。
「こらっ、おまえなんかに、水(みず)をのまれてたまるもんか。きたならしい。むこうへいってしまえ。」
 2きんじょの男(おとこ)がたけのぼうで、こじきをおいはらいました。
 ガンジーは、もう、がまんができませんでした。
3「おじいさん、まって。ぼくが、くんであげるよ。」
 ガンジーは、いそいで水(みず)をくみあげると、こじきをやさしくつれもどしてきました。

4「ぼっちゃん、ありがとうございます。」
 年(とし)よりのこじきは、ぽろぽろなみだをこぼしながらも、さもおいしそうに水(みず)をのみました。5やせた犬(いぬ)も、ぺちゃぺちゃ水(みず)をのむと、さもうれしそうにガンジーの顔(かお)を見(み)あげるのでした。
 ガンジーは、みんながじぶんを見(み)ているのに気がつく(き   )と、まっかになって、家(いえ)へかけこみました。

 6ゆうごはんのあとで、ガンジーは、おとうさんにきょうのはなしをくわしくしました。ガンジーのおとうさんは、インドで高い(たか )くらいについているやくにんでした。7そのおとうさんは、にこにこすると、
「おお、おまえは、よいことをしてくれた。かわいそうな人(ひと)をたすけるのは、人間(にんげん)のつとめなんだ。よいことをするのに、しりごみしていてはいけない。8よくやったね。きょうのおこないは、ゆうきがあって、りっぱなものだ。おまえは、よわむしでもなければ、いくじなしでもないのだ。大きく(おお  )なっても、ただしいことをするそのゆうきをなくしてはいけない。」

 9いつも、じぶんをいくじなしだとばかり思っ(おも )ていたガンジーは、はじめてそうでないことがわかりました。そして、むねが、すーっとあかるくなるのでした。0

(二反長半(にたんおさなかば)編(へん) 白木(しらき)茂(しげる)著(ちょ) 「美しい(うつく  )話(はなし)・いじんの心(こころ)」より)
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a 長文 9.3週 i
1「おや。」
 ファーブルは、びっくりして立ちどまり(た    )ました。小(こ)とりのすが、あったのです。2すのなかには、青空(あおぞら)のようないろをした、うつくしいたまごが六つ、おぎょうぎよくならんでいました。
「すばらしいなあ。」
 ファーブルは、むねがわくわくしました。

 3すのなかから一つとりあげると、そっとポケットへいれました。うれしくてうれしくてたまりません。そのまま、池(いけ)のほうへいちもくさんにかけだしました。
 4けれど、それからしばらくたつとファーブルは、ふーふーいきをきって、また、すのところへはしってかえりました。5そして、さっきのたまごを、だいじそうにポケットからとりだしたのです。
「ごめんね。」
 ファーブルは、たまごをそっと、もとのところへならべてやりました。

6「ごめんね。おまえは、ノビタキって名(な)まえのとりなんだってね。そして、はたけのわるいむしをたいじして、おひゃくしょうさんをたすける、いいとりなんだってね。7ぼく、いま池(いけ)のそばで、きょうかいのぼくしさんにそれをおそわったの。ちっともしらなかったんだもの。ごめんね。」
 8ファーブルはそういうと、ぴょこんと、とりのすにあたまをさげるのでした。
 ピーチク、ピーチク……。
 9たまごのように、まっ青(  さお)な大空(おおぞら)では、ひばりがしきりにないていました。0

(二反長半(にたんおさなかば)編(へん) 白木(しらき)茂(しげる)著(ちょ) 「美しい(うつく  )話(はなし)・いじんの心(こころ)」より)
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a 長文 9.4週 i
 たまごはニワトリから生まれ(う  )ます。そのニワトリはたまごから生まれ(う  )ます。さてどちらが先(さき)なのでしょう。
 たまごをうむ動物(どうぶつ)は、ニワトリばかりではありません。サケ、マス、カエル、カメ、ヘビ、トカゲ、ハト、キジ、ダチョウ、それに乳(ちち)で子ども(こ  )を育てる(そだ  )カモノハシも、たまごをうみます。サケとマスのたまごは見分け(みわ )がつかないほどよくにていますが、サケのたまごからはサケが、マスのたまごからはマスが、まちがいなくうまれマス。たまごは、その動物(どうぶつ)の生命(せいめい)を宿し(やど )たカプセルなのです。
 鳥(とり)がたまごをうみ、それをひなにかえすには、何(なん)日(にち)もかかります。その間(あいだ)、親鳥(おやどり)は、外敵(がいてき)からたまごをまもるために、いろいろな工夫(くふう)をします。
 高山(こうざん)にすむライチョウは、ハイマツの中(なか)に巣(す)をつくり、巣(す)を枯れ草(か くさ)でわからなくして敵(てき)の目(め)をあざむきます。川原(かわら)にすむコアジサシは、石ころ(いし  )と見分け(みわ )のつかないようなたまごを小石(こいし)の上(うえ)にうみます。コウノトリは、高い(たか )木(き)の上(うえ)に巣(す)をつくり、敵(てき)が近づく(ちか  )のをふせぎます。このように親鳥(おやどり)たちは、一生懸命(いっしょうけんめい)たまごを守っ(まも )ています。
 では、たまごから子ども(こ  )になるまでの変化(へんか)をいろいろな動物(どうぶつ)でくらべてみましょう。メダカは水中(すいちゅう)生活(せいかつ)をする魚(さかな)です。カエルは水(みず)と陸(りく)の両方(りょうほう)で生活(せいかつ)します。ニワトリは陸(りく)だけで生活(せいかつ)します。このように、メダカもカエルもニワトリも、生活(せいかつ)する場所(ばしょ)はちがうし、親(おや)になったときの大き(おお )さや形(かたち)もちがいますが、たまごの中(なか)で育つ(そだ )ようすをくらべてみると、よくにたところがあります。

 ニワトリが先(さき)か、タマゴが先(さき)か。
「ニワトリさん、お先に( さき )どうぞ。」
「いえいえ、タマゴさんこそお先に( さき )どうぞ。」
「では、いっしょにそろって。」
「わたしたち、ニタワマトゴリ。」

 言葉(ことば)の森(もり)長文(ちょうぶん)作成(さくせい)委員(いいん)会(かい)(Κ)
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