a 長文 7.3週 ki
 けんじはともだちと、まちはずれのはらっぱであそんでいました。かれたかやが、たくさんはえていました。ひとりの子が、マッチをもってきました。
「かやは、よくもえるぞ。もそうよ。」
「うん、もそうもそう。」
 火をつけると、かれたかやは、めらめらとよくもえます。あっというまに、ぐんぐんもえひろがりました。
「たいへんだ、けそう。」
 子どもたちは、あわててけそうとしました。けれども、もうまにあいません。ゴオーッという音をたてて、火のいきおいは、はげしくなるばかり。
 カーンカーンカーン。
 まちのはんしょうが、なりだしました。子どもたちは、青くなってにげだしました。けんじは、ひとりだけにげません。いっしょうけんめい火をけしつづけました。
 まちの人たちがかけつけてきて、やっと火はきえました。
「おまえか、こんないたずらをしたのは。」
 しょうぼうの人が、けんじをつかまえてしかりました。けんじは、
「すみません。」
と、あたまをさげました。けんじのまゆは、火ですっかりやけていました。
 わるいことをして、にげてしまうようなことは、けんじには、どうしてもできなかったのです。
 
 (宮脇みやわき 紀雄としおちょ 「偉人いじんはなし」より)
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