1けんじはともだちと、まちはずれのはらっぱであそんでいました。かれたかやが、たくさんはえていました。2ひとりの子が、マッチをもってきました。
「かやは、よくもえるぞ。もそうよ。」
「うん、もそうもそう。」
3火をつけると、かれたかやは、めらめらとよくもえます。あっというまに、ぐんぐんもえひろがりました。
4「たいへんだ、けそう。」
子どもたちは、あわててけそうとしました。けれども、もうまにあいません。ゴオーッという音をたてて、火のいきおいは、はげしくなるばかり。
5カーンカーンカーン。
まちのはんしょうが、なりだしました。子どもたちは、青くなってにげだしました。6けんじは、ひとりだけにげません。いっしょうけんめい火をけしつづけました。
7まちの人たちがかけつけてきて、やっと火はきえました。
「おまえか、こんないたずらをしたのは。」
しょうぼうの人が、けんじをつかまえてしかりました。8けんじは、
「すみません。」
と、あたまをさげました。けんじのまゆは、火ですっかりやけていました。
9わるいことをして、にげてしまうようなことは、けんじには、どうしてもできなかったのです。0
(宮脇 紀雄著 「偉人の話」より)
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