1コロンブスたちが、スペインのみなとにかえってくると、人びとはおどろいたりよろこんだり、大さわぎをしてむかえました。2コロンブスは、もうとっくに、しんでしまったとおもっていたのです。
3コロンブスは、女王さまにおれいをもうしあげ、いろいろめずらしいはなしや、おそろしいぼうけんのはなしをしました。
4にぎやかなおいわいのえんかいが、ひらかれました。そのとき、ひとりが、
「西へ西へといって、あたらしいりくちが見つかったからって、それは、だれにでもできることだ。たいしたことでもあるまい。」
と、わるくちをいいました。5あまりコロンブスがもてはやされるので、ねたんだのです。
すると、コロンブスは、テーブルの上のたまごをとって、
「どなたかこのたまごを、たてることができますか。」
と、いいました。6みんなやってみましたが、だれにもできません。
「こうするのです。」
こつんと、コロンブスはたまごのはしをつぶしてたてました。
7「そうするのなら、だれにでもできるじゃないか。」
みんないいました。8そこでコロンブスは、
「そうです。人がやったあとなら、だれにもできるということが、わかったでしょう。9はじめにやるのが、むずかしいのです。」
と、いいました。わるくちをいった人は、はずかしそうにだまってしまいました。0
(宮脇 紀雄著 「偉人の話」より)
|