1就業人口の半分以上が従事する産業に時代を代表させ、社会の発展段階を狩猟社会、農業社会、工業社会、情報社会と分類すると、現在は情報社会の盛期に位置するという解釈がある。
2それぞれの社会がどれくらいの期間にわたり持続したかを計算してみると、現代の人間の直系の祖先をネアンデルタールなど後期石器時代の人類とすれば、狩猟社会は数万年、農業社会は数千年、工業社会は数百年という単位で継続し、二十世紀の中ごろから出発した情報社会が数十年という単位で経過したのが現在ということになる。(中略)
3農業社会は特定の地域で特定の作物が集中して栽培される単品種多生産方式が特徴である。工業社会になると、種類を限定した製品を大量に生産する少品種多生産になる。
情報社会になると、工業製品であっても、同一の仕様のものはきわめて少数しか生産しない多品種少生産が特徴となる。4情報社会の産業のコメといわれる集積回路(IC)の中の特定用途集積回路はその代表である。この特徴は生産技術の進歩にもよるが、希少であるほど価値があるという情報の性質を反映していると理解してもよい。
5この方向を発展させると、一品種一生産という特徴が浮かび上がる。ある製品を一品ずつしか生産しないという特徴は、産業革命以前に逆行するかのようだが、この一品種一生産は高度な技術に支援された方式である。6各種の製品についてこのようなシステムが実用化すれば、一品種一生産であっても産業革命以前とは根本的に違う生産方式が実現することになる。
農業の発生と並行して集合し定住するという生活形態が出現したが、それは農業が短期に多くの労力を必要とするからであり、労働集約生産が農業社会の特徴である。7工業社会でも労力は必要だが、より重要な要素は生産設備である。高度な設備の導入が生産効率を向上させるため、企業が競って工場に最新の設備を投入する設備集約生産が工業社会を特徴づける。
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