a 長文 4.4週 sa
長文が二つある場合、読解問題用の長文は一番目の長文です。
 大昔おおむかしの鳥の祖先そせんは、ほかの動物どうぶつと同じように四本足を使っつか て歩いていました。長い年月のあいだに、前足がつばさ進化しんかし、今のように空を飛べると  ようになったのです。鳥は、爬虫類はちゅうるい仲間なかまから進化しんかしてきたので、トカゲの前足の骨組みほねぐ と鳥のつばさ骨組みほねぐ は、たいへんよくており、この二つをくらべると、前足がつばさ変わっか  たことがよくわかります。また、前足だけではなく、体をおおっている羽毛の一部いちぶつばさ変わりか  ました。風に向かっむ  進むすす と、何まい重なっかさ  風切羽かざきりばねによって、鳥は体を空中に浮かせるう   ことができます。
 しかし、つばさだけがいくら立派りっぱでも、飛ぶと ことはできません。つばさ動かすうご  部分ぶぶん大事だいじです。鳥のむねほねには大きな出っ張りで ぱ があり、船底ふなぞこのような形をしています。そこに、つばさをはばたかせる筋肉きんにくがついています。鳥のむね筋肉きんにくは、たいへん発達はったつしており、この筋肉きんにくの力で大きなつばさをはばたかせることができます。
 自由じゆうに空を飛ぶと ためには、体が重くおも てはいけません。普通ふつう、体を作っているもので、いちばん重いおも のはほねです。そこで鳥のほねは、竹のように中が空洞くうどうになっていたり、スポンジのようにスカスカになっているなど、体を軽くかる するための工夫くふうが見られます。しかし、スカスカのほねといっても、すぐ折れお てしまうような弱いものではなく、たいへんかたくて丈夫じょうぶにできています。
 また、体全体ぜんたい軽くかる するために、ほねの数も少なくなっています。あごのほね一緒いっしょになって、くちばしに変わりか  ました。がないため、鳥は食べ物た ものをすべて丸のみにしてしまいます。「のみ」にするのは、だけではなかったということです。ただ、そのままではたいへん消化しょうか悪いわる ので、おなかの中で食べたもの砕くくだ ことができるようになっています。その役目やくめをするのが砂肝すなぎもです。砂肝すなぎも砂嚢さのうとも呼ばよ れ、その名のとおりすなが入っています。砂粒すなつぶによって
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食べ物た ものをすりつぶすのです。
 変わっか  ているのはくちばしだけではありません。背骨せぼねの数も少なくなっていて、しかもぼうのようにまっすぐです。首が自由じゆう動くうご のに比べくら て、背骨せぼね自由じゆう動きうご がほとんどできません。づくろいをする鳥を見ると、体全体ぜんたいをひねることができないので、首だけをぐるりとうしろに回しています。しかし、そのおかげで、空を飛ぶと ときに体が安定あんていする上、離着陸りちゃくりく衝撃しょうげきから体全体ぜんたい守らまも れるようになったのです。
 体を軽くかる しなくてはいけない一方で、鳥は飛ぶと ために多くのエネルギーを必要ひつようとし、どんどん食べ物た ものを食べなくてはなりません。そこで鳥は、食べてすぐエネルギーに変わるか  ような食物しょくもつをとるようになりました。多くの鳥は草食ではなく肉食です。植物しょくぶつせいのものを食べる鳥もいますが、種子しゅし果実かじつなど、すぐにエネルギーになるものを食べます。
 鳥は、少しでも体を軽くかる するために、もう一つ工夫くふうをしています。それは、フンをためこまないということです。もし、鳥が便秘べんぴになったら大変たいへんなことです。フンのおもさで飛べと なくなってしまうからです。公園などでハトにフンをかけられてハッと驚いおどろ ても、「フン!」などと憤慨ふんがいせずに、「フーン、飛ぶと ためには仕方しかたがないのだな」と優しくやさ  理解りかいしてあげましょう。

 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいん会(κ)
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長文 4.4週 saのつづき
 冷蔵庫れいぞうこがまだあまり普通ふつう家庭かていにはなかったころ、冷蔵庫れいぞうこには、どくがあって危険きけん物質ぶっしつ使わつか れていました。この物質ぶっしつは、液体えきたいからガスに変わるか  ときに周りまわ 冷やすひ  性質せいしつ持っも ていました。
 しかし、このように危険きけん物質ぶっしつを、家庭かていにおく冷蔵庫れいぞうこ使うつか わけにはいきません。そこで、何かいい方法ほうほうはないものかと、研究けんきゅうが行われました。その結果けっか、フロンという新しい物質ぶっしつが見つかりました。
 フロンは、色も匂いにお もない物質ぶっしつで、安定あんていした性質せいしつ持っも ています。性質せいしつ安定あんていしているということは、ほかのものといっしょにしても、ほとんど反応はんのう起こさお  ないということです。また、燃えるも  こともないので、火事かじ心配しんぱいがありません。さらに、簡単かんたん液体えきたいにしたりガスにしたりできるので、取り扱いと あつか も楽です。そして、安くやす 作ることができるのも、大きな長所ちょうしょでした。
 こうして、フロンは「20世紀せいき最大さいだい発明はつめい」として歓迎かんげいされ、世界中せかいじゅう使わつか れるようになっていきました。フロンは、まさに時代じだいのフロンティア(最前線さいぜんせん)でした。
 日本では特にとく 精密せいみつ機械きかいの工場で、部品ぶひん洗うあら のに使わつか れました。普通ふつうの水にはゴミやほこりが溶けと こんでいるため、精密せいみつ機械きかいの工場では使えつか なかったのです。
 しかし、こんなに長所ちょうしょばかりがあると思われたフロンに、意外いがい欠点けってんがあることがわかってきました。地球ちきゅうの上空にあるオゾンそうを、フロンが破壊はかいするということがわかってきたのです。
 フロンの長所ちょうしょである安定あんていした性質せいしつが、ぎゃく欠点けってんにもなっていたのです。フロンは壊れこわ にくく、ほかのものと反応はんのうもしないため、そのままガスとなって空気中に出て行きます。そして空の高いところまで行くと、太陽たいようの強力な紫外線しがいせんによって初めてはじ  分解ぶんかいされることになります。そのときに、フロンから出た塩素えんそがオゾンそう壊しこわ ていくのです。
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 オゾンそうは、太陽たいようの強力な紫外線しがいせんから地球ちきゅう上の生き物い もの守っまも ているバリアのようなものです。このバリアが壊さこわ れると、紫外線しがいせん地球ちきゅう上に降り注ぎふ そそ 生き物い ものに大きながい与えあた ます。こうして、ヒーローだったはずのフロンは、いつの間にか悪者わるものになってしまいました。
 しかし、人間が破壊はかいしたものは、人間の手によって修復しゅうふくできるはずです。オゾンそう破壊はかいすることは、人間にとってオーゾン(大損おおぞん)ですから、今、世界中せかいじゅうでオゾンそう守るまも 対策たいさく進めすす られています。

「フロンさん、元気出してね。きみ悪いわる わけじゃなく、たまたまオゾンくんなか悪かっわる  ただけなんだから。」
「うん、フロン、がんばる。フロンでも(ころんでも)ただでは起きお ないわ。」
「そう。オゾンくんも、だんだん元気が出てきたようだから。」
「オイゾンも、これからがんばって、紫外線しがいせんからみんなを守るまも でごわす。」
 フロー、フロー、オゾン!

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