a 長文 5.1週 sa
長文が二つある場合、音読の練習はどちらか一つで可。
「ゴホッ、ゴホッ、エッヘン。」
 お母さんがひどい風邪かぜを引きました。せき鼻水はなみず、それにねつもあるのです。昨日きのうから寝込んねこ でしまいました。それで、仙台せんだいのおばあちゃんが手伝いてつだ に来てくれました。でも、おばあちゃんは、年をとっているし、うちの台所だいどころ慣れな ていないので、お母さんの代わりか  を一人でやるのは大変たいへんです。だから、ぼくは学校から帰ると、朝お父さんに言われたとおり、お手伝い てつだ をすることにしました。
 ぼくは、おばあちゃんが洗濯せんたくものを入れに二かいへ行っている間、赤ちゃんの美咲みさきのめんどうを見ることにしました。美咲みさきは、普段ふだん機嫌きげんがいいのですが、お母さんがかまってくれないので、ぐずぐず泣いな てばかりいます。ぼくは、美咲みさきのベッドのところへ行って、ぬいぐるみを見せたりガラガラを鳴らしたりしました。
 しばらく遊んあそ でいると、美咲みさきはスースーとはなを鳴らして眠りねむ 始めはじ ました。そこで、ぼくは、つぎ仕事しごと取りかかりと    ました。おばあちゃんが取り込んと こ 洗濯せんたくものをたたむのです。下着したぎやシャツ、美咲みさき肌着はだぎなど、いろいろなものがあります。ぼくは、まるでお店屋みせやさんのような手つきでどんどんたたんでいきました。中には、形が複雑ふくざつでむずかしいものもあったけれど、どうにか工夫くふうしてたたみました。
「しょうちゃん、味見あじみをしてちょうだい。」
と、おばあちゃんが味見あじみ用の小皿こざらをぼくにわたしました。煮物にもののいいにおいがただよっています。
「うん、ちょっとうすいかな。」
 ぼくは、小皿こざら返しかえ ながら言いました。煮物にものの中のニンジンは、ぼくが切ったものです。
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 食事しょくじがすんで、おさら洗うあら のもぼくがやりました。洗剤せんざい残っのこ ていたら体によくないので、しっかりとすすぎました。それが終わるお  と、おばあちゃんと一緒いっしょにお風呂ふろに入ってきた美咲みさきに、パウダーをつけたりふく着せき たりする仕事しごとです。風呂ふろ大好きだいす 美咲みさきは、とてもうれしそうに元気いっぱい手足を動かしうご  ています。だから、そでに手を通すだけでも一苦労ひとくろうでした。ようやく身支度みじたくができると、散らばっち   たバスタオルやおむつを片付けかたづ て、湯冷ましゆざ  飲まの せます。
「しょうちゃん、ありがとう。よく手伝ってつだ てくれるのねえ。三年生っていうのは、こんなにいろいろできるんだね。」
 寝るね 前に、おばあちゃんが感心かんしんしたように言いました。ぼくは、今日は遊びあそ をがまんして、がんばってよかったなと思いました。

言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいん会 φ)
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長文 5.1週 saのつづき
 すなにうずまった町――おそろしいさばくのあらし――

 わたしたちのすんでいる日本には、山があって、また野原があって、木が青あおとしげり、きれいな水がながれています。
 ところが、この地球ちきゅう上には、木も生えなければ花もさかないし、水もない、さばくというところがあります。
 さばくというと、みなさんは、はてしなくつづく、たいらな砂原すなはらをかんがえるかもしれませんが、かならずしも、そうではありません。
 さばくには、大きな砂山すなやまが、なみのうねるようにつらなっていたり、大小の石や岩がつみかさなっていたり、ごつごつした岩はだがあらわれていたりして、たいらな砂原すなはらはすくないくらいです。
 さばくのりょ行で、こまるのは、あついことです。日かげはないし、すなはやけているし、太陽たいようのでているあいだは、とても、あるいてなどいられません。
 へディンは、夜のうちにあるいて、昼まは、すなにあなをほり、その中にねることにして、たびをつづけていきました。
 昼まのあつさにひきかえて、さばくの夜は、はんたいに、ぐっと温度おんどがさがります。ときには、れいよりもひくくなり、しもがふることさえあります。
 ですから、さばくをりょ行する人たちは、たいてい毛おりのきものをきて、毛おりのぬのを頭にまいています。
 これは、昼まは、つよい日ざしをさけ、夜は、さむさをふせぐためなのです。
 さばくでは、すなあらしというのも、おそろしいものです。
 いままでしずかだったさばくに、とつぜん風がふきだすと、砂ぼこりすな   で、まえをあるいている、なかまのすがたも、まったくみえなくなるほどです。
 さばくに砂山すなやまがおおいのは、このすなあらしのためにできたものですが、その砂山すなやまもひとつところにとまっていないで、どんどんうごいていきます。
 へディンがしらべたところによると、タクラマカンのさばくでは一年のあいだに、五十メートルも砂山すなやまがうごいていたということで
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す。
 そのために、むかし、タクラマカンさばくの西のはしにさかえていた、たくさんの町が、すなの下にうずまってしまいました。
 このすなの下にうずまった町については、ふるくから、いろいろとふしぎなことがつたえられていました。
 そこには、たくさんの金やぎんがうずまっているのだが、だれひとりもちかえったものがいない。というのは、このさばくには、おそろしい王がいて、人びとが金やぎんをさがしだしてよろこんでかえろうとすると、道をまよわせて、金やぎんをもとのところへかえすまでは、さばくをでることをゆるさないというのです。

(「世界せかいふしぎめぐり三年生」より抜粋ばっすい一部いちぶ調整ちょうせい
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