a 長文 6.1週 sa
長文が二つある場合、音読の練習はどちらか一つで可。
「やった! 跳べと た。」
 高田さんが跳べと たとき、クラス中のみんながざわめきました。高田さんはそのまま動きうご ません。じっと立っています。女子が何人かかけよりました。うれしそうな声をあげながら、高田さんのかたをゆすったり、背中せなかをたたいたりしています。やっと、高田さんが顔をあげてこちらを向きむ ました。
「みんな、ありがとう。」
 とても小さな声で、あまり聞きとれませんでしたが、確かたし に口がそう動きうご ました。だれからともなく拍手はくしゅ起こりお  ます。パチパチパチパチ。このクラスで最後さいご体育たいいく授業じゅぎょう、ずっと跳び箱と ばこ跳べと なかった高田さんがついに跳んと だのです。クラスのだれもが待ち望んま のぞ でいた瞬間しゅんかんでした。
 跳び箱と ばこ授業じゅぎょうは、二月に入ってから始まりはじ  ました。みんなが大はしゃぎでだんを上げている中で、高田さんは何跳んと でも、跳び箱と ばこにまたがって止まってしまうのでした。
「まだ、跳べと ないの。」
と言う人もいました。跳ぶと 前に、
「ドッスーン。」
などとからかう人もいました。もし、ぼくが高田さんだったら、とっくに、できないと言って投げ出しな だ てしまったことでしょう。
 しかし、高田さんは、あきらめませんでした。何も何挑戦ちょうせんしていました。放課後ほうかご、先生と練習れんしゅうしている日もありました。その姿すがたに、それまで冷やかしひ   たり笑っわら たりしていた人も、だんだん応援おうえんするようになったのです。
 やがて体育たいいくつぎ種目しゅもくになりましたが、特別とくべつに高田さんのために跳び箱と ばこ用意よういされました。高田さんは、毎回黙々ともくもく 練習れんしゅうしていました。クラスでいちばん早く七だん跳べると  ようになった川上くんが、何もアドバイスしていました。
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踏み切りふ き 大事だいじだから。そう、もう一回やってみて。」
 また、女子は声をそろえて、
惜しいお  !」
「もう少し!」
と声をかけました。先生の出るまくは、もうないくらいでした。
 チャイムが鳴って、体育たいいくの時間が終わりお  ました。みんなで高田さんを取り囲むと かこ ようにして、体育館たいいくかんをあとにしました。高田さんの顔は、まだ真っ赤ま かだけれど、何だか輝いかがや ているように見えました。やればできる。がんばればできないことなんかない、という声がどこからか聞こえてくるようでした。

言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいん会 φ)
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長文 6.1週 saのつづき
 地球ちきゅうと月のひっぱりっこ――みちしおひき潮  しお――

 春になると、みなさんのなかには、おとうさんやおかあさんにつれられて、しおひがりにいく人もあることでしょう。
 しおひがりは、たのしいものですね。
 ふだん水のあるときには、貝がみえないのに、しおがひくと、くまでで、ちょっとかいただけで、いくらでも、貝がでてくるのですからね。
 海の水は、へいきんして一日に二かいずつ、みちたり、ひいたりしています。それは、まるで、海がゆっくりといきをしているみたいです。
 どうして、こんなことがおこるのでしょうか。
 しおのみちひは、月や太陽たいようが、海の水をさかんにひっぱるために、おこるのです。
 地球ちきゅう運動うんどうのところで、引力のことをお話ししましたが、地球ちきゅうばかりでなく、太陽たいようでも月でも、そのほかの星でも、すべてのものはたがいにひっぱりあっています。引力は大きなものほどつよいのですが、近くにあるものは、小さくても、遠くにあるものより、つよく引力をはたらかせます。
 たとえば、太陽たいようの引力は、月よりはるかに大きいのですが、地球ちきゅうからのきょりがずっと遠いので、海の水をひっぱる力は、小さな月のほうが、太陽たいようより二ばい半もつよいのです。
 ですから、しおのみちひは、おもに月の引力のためにおこるとかんがえて、さしつかえありません。
 月のひっぱる力は、近いところにあるものほどつよくはたらきます。ですから、地球ちきゅうの上で、月とむかいあっているところには、月の引力がいちばんつよくはたらき、海の水が月のほうへひっぱられてもりあがり、みちしおとなります。これにたいして、地球ちきゅうの上で月と反対はんたいのがわにあるところは、月からいちばんはなれているので、月の引力はいちばんよわくなっていますが、ここでは、月とはんたいのほうこうに、地球ちきゅうの遠心力がつよくはたらいているので、月とはんたいのほうへ海の水がもりあがって、やはり、みちしおとなります。
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(「世界せかいふしぎめぐり三年生」より抜粋ばっすい
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