海水は塩辛いもので、私たちはそれを当たり前のことだと思っています。実際、そこに含まれる塩分は大変な量です。海水をすべて蒸発させ、残った塩分を陸地に敷きつめると、百五十メートルもの厚い層ができると言われています。この大量の塩は、一体どこから来たのでしょうか。
塩分のふるさとのひとつは川です。地球上に存在する川の大半は淡水なので、これは意外な感じがします。雨が降ると水が地中にしみ込んで、土の中にあるミネラル分を溶かします。このミネラル分の中に塩分が含まれています。溶け出した塩分は、川によって海まで運ばれます。ただ、淡水の川に含まれる塩分はごく少ないので、なめても塩辛いとは感じません。
塩分のもうひとつのふるさとは、海底火山です。活動する海底火山の爆発や熱水の噴出によって、地中からミネラル分が放出され、その中に含まれる塩分が海水に溶け込むのです。
このように、塩はいろいろなところから海を目指してやって来ますから、海には塩がたまる一方のように思えます。その上、海からはどんどん水分が蒸発しミネラル分だけがあとに残ります。これでは、塩分がどんどん濃くなっていったとしても不思議ではありません。しかし現実には、海水の塩分濃度は、ほぼ一定です。つまり、増える分と減る分とがうまく釣り合っているのです。では、塩分は一体どこへ行くのでしょう。
まず、海の生物が塩を体の中に取り込みます。例えばサンゴやエビ、カニなどは、硬い殻を作るために塩類を必要とします。これらの生き物が死ぬと、その殻に含まれていた塩類は海底にたまります。こうして塩分の一部は取り除かれます。このようにして、海水中の塩分は、増える量と減る量のバランスがとれているのです。
では、この海底にたまった塩分はどうなるのでしょうか。海底を
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