「寝る子は育つ」ということわざがあります。昔の人は理屈でなく経験で理解していたのでしょうが、このことわざのとおり、寝る子が育つのには科学的な根拠があるのです。日の出とともに起き、日の入りとともに眠るような時代と異なり、現代の人々は夜も活動を続けています。ですから、大人はもちろん、子供が眠りにつく時間も年々遅くなる一方です。しかし、夜更かしは健全な成長のためにも勧めることはできません。たとえ遅く寝たとしても、ある程度の睡眠時間を確保できればいいのだろうと思うかもしれませんが、そうではありません。睡眠も、量より質が問題になってくるのです。睡眠の場合、眠りに就く時間が重要なポイントになります。「早起きは三文の得」ということわざがあるのも、実は納得できる理由があるのです。
それでは、どうして遅く寝るのはいけないのでしょうか。睡眠中には大切なホルモンが分泌されます。成長期の子どもたちに最も重要なのが成長ホルモンです。このホルモンは夜九時から二時くらいの間に盛んに分泌されます。ホルモンは夜中に出るもん(出るもの)なのです。ですから、この時間には眠りに就いている必要があります。成長ホルモンの主な働きは、骨の成長を促し、筋肉を作るたんぱく質の合成を助け、日中活動して痛んだ細胞を修復することです。名前のとおり、体の成長に欠かせないものと言えます。
ほかにメラトニンというホルモンも忘れてはなりません。このホルモンは暗くなると分泌される性質があり、電気を煌々と灯した明るい部屋で夜更かしをしていると分泌量が減少してしまいます。メラトニンには人間の自然な生活のリズムを整える働きや、酸素の毒性から体を守る働き、それに加えて免疫を強化する働きがあります。
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