a 長文 11.1週 su
 ぼくは、二年生のとき、初めてはじ  一人で電車に乗りの ました。夏休みにおばあちゃんのうちへ行くためです。えきのホームで、お母さんは、心配しんぱいそうに何回もぼくの顔を見て、
「いい? 港南台こうなんだいでおりるんだからね。二つめだからね。」
と言いました。ぼくは、うなずきました。でも、お母さんは、まだ心配しんぱいそうで、
港南台こうなんだい、だからね。おばあちゃんがそこでまってるからね。」
と言いました。
 青い電車が入ってきて、いよいよ乗り込みの こ ました。ぼくは、ドキドキしてきました。お母さんを見たら、いっしょうけんめい手をふっています。ぼくは、それを見て、手をふるのはまだ早いよ、と思いました。そのとき、プルルルルーとベルが鳴って、びっくりしているうちに、電車のドアが閉まりし  ました。
 ぼくは、ドアに顔をくっつけて、お母さんを見ました。お母さんが、何か言いながら手をふっています。ぼくもふろうとしたけれど、あっというまに電車は発車はっしゃして、お母さんは見えなくなってしまいました。
 ぼくは、きゅうに心細くなって、あたりを見回しました。すると、近くのせきにぼくぐらいの年齢ねんれいの子がゲーム遊んあそ でいるのが見えました。そのとなりには、もう少し大きいその子のお兄さんのような子もいて、やはりゲームをやっていました。二人は、大きな声で笑っわら たり、たたきあったりしながら、夢中むちゅう遊んあそ でいます。ぼくは、何のゲームかなあと思いながら、ずっとそちらを見ていました。
つぎ洋光台ようこうだい洋光台ようこうだい。」
とアナウンスが聞こえました。ぼくは、はっとしました。いくつえきをすぎたか数えていませんでした。でも、「台」がつくから、合っているなと思いました。やっとついたと思って、電車をおりてホームをさがしても、おばあちゃんはいませんでした。
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 ぼくは、ドキドキしてきましたが、自分に、「落ち着けお つ 。よく考えろ」と言い聞かせました。そこで手ににぎっていた紙を思い出して、よく見たら、「二つめ、港南台こうなんだい」と書いてありました。ぼくは、どうしたらいいかわからなくなって、紙を持っも たまま立っていました。そうしたら、知らないおばあさんが来て、紙をのぞきこんで
「一つ先まできちゃったね。港南台こうなんだいでおりたかったんでしょ。あっちがわにきた電車にのって、一つもどればだいじょうぶ。」
と教えてくれました。急いいそ 反対はんたい方向ほうこうの電車に乗るの と、その電車はすぐに発車はっしゃしました。
 電車がつぎえきに近づくと、
つぎ港南台こうなんだい港南台こうなんだい。」
と、アナウンスが聞こえました。今度こんどはしっかり紙を見ていたので、合っているなと思いました。電車が止まり、ホームにおりたら、おばあちゃんが遠くからぼくを見つけて、こっちに走って来るのが見えました。

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