ミツバチの群れは、一匹の女王蜂と数千匹から数万匹の働き蜂、繁殖期に現れる二千匹から三千匹の雄蜂で構成されています。それぞれの役割分担も明確で、高度な巨大社会を形成していると言ってもよいでしょう。
ミツバチは、規則正しい六角形を組み合わせて巣板を作ります。巣板を構成する六角形の小部屋は巣房と呼ばれます。巣房は、育児、花粉の貯蔵、花蜜の貯蔵、ハチミツの加工など、さまざまな目的に利用されています。それぞれの作業を効率よく行えるように、巣房の配置も考慮されています。
では、ミツバチは、なぜ六角形の巣を作るのでしょうか。もしミツバチの巣が丸だったら、上下左右に並べていくとき、無駄なスペースができてしまいます。もし四角だったら、巣と巣の間に隙間はなくなりますが、ミツバチが巣に入ったときに無駄なスペースができてしまいます。ミツバチの体型から考えると、六角形がいちばん効率がよいのです。
ミツバチの巣の材料は、働き蜂の腹部から分泌される蝋片です。働き蜂は、その蝋片を、後肢の内側にあるブラシ状の毛を使って抜き取り、肢についた蝋片を大あごでくわえ、それをかみ砕きながらはりつけていきます。この根気のいる作業を続けるだけでも大変なことですが、定規も分度器もコンパスも持たずに六角形の巣を規則正しく並べていくのですから、まさに神業としか言いようがありません。
以前は、ミツバチが最初に丸い形の巣を作り、それが周囲から押しつぶされて自然に六角形になると考えられていました。しかし実際にミツバチの巣づくりの様子を観察したところ、初めから六角形を作っていることが分かったのです。
一九六六年、ドイツの二人の学者は、ミツバチの巣が横向きに作られていることから、六角形の巣を作る秘密は、重力に関係ある
|