1エジソンが七さいになったとき、一家は、ミランからヒューロン湖のそばのポートヒューロンにうつりました。おとうさんのやっていた食料品や製材の事業が大きくなるにつれて、あたらしく鉄道の駅ができたポートヒューロンのほうが、べんりだったのです。
2エジソンは、この活気にあふれた町の小学校に入学しました。ところが、たちまちのうちに、教室のやっかい者になってしまったのです。きまぐれで、ごうじょうで、すきなことにはむちゅうになるくせに、きらいなことには見むきもしないのです。
3そのうえ、れいの好奇心から、時と場所もかまわずだしぬけに、ちょいちょい、先生がかんがえてもいないような質問をしたりします。
ことに、数学の時間はたいへんです。先生が、
「二たす二は四。」
とおしえます。4すると、エジソンが、きゅうに立ちあがって、
「先生、どうして二と二をたすと四になるのですか?」
「かぞえてごらん。四になるじゃないか。」
「でも、なぜ四にならなければいけないのですか?」
「わからない子だな。二たす二は、四なんだ。よくおぼえておおき!」
5そんなわけで、エジソンは先生からすっかりきらわれてしまいました。そして、先生はとうとう、きみは低能児であると、きめてしまいました。
こんなことがかさなって、ある日、エジソンは、おかあさんにいいました。
6「……ぼく……もう学校へいかないよ。」
「まあ、きゅうに、どうしたの?」
「先生がね、ぼくのことを、ばかだっていうんだもの。そうして……。」
「そうして?」
「なにをきいても、よけいなことをきくんじゃないって、しかるんだもの。」
7おかあさんは、じっとかんがえこんでいました。じぶんも、むかし、学校の先生をしたことがあり、そういう教育法がとくべつの才能をもった子どもをみちびくのに、てきとうでないことをよく知っていました。
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