a 長文 12.1週 su2
 人類じんるい歴史れきしの中でも、くらべる人がないほど、たくさんの発明はつめいをなしとげたエジソンですが、そのしごとを成功せいこうさせたのは、いうまでもなく、エジソンをたすけたメンロパークの研究所けんきゅうじょの人々です。
 いいかえれば、エジソンは、これだけのすぐれた人を見つける才能さいのうと、それをあつめ、そだてる力と、そして、それをまとめていくとくとをそなえていたのです。それなしには、いくら天才てき頭脳ずのうや、おどろくべきにんたい、つかれを知らない体力をもっていたエジソンでも、あれだけのしごとをなしとげることはできなかったにちがいありません。
 研究所けんきゅうじょの中には、七つのたてものがあって、木造もくぞうの大きな二かいだての研究所けんきゅうじょを中心に、所員しょいんたちとその家族かぞくの家や、娯楽ごらく室・倉庫そうこなどが、ずらっとならんでいました。
 中心の研究所けんきゅうじょの中には、実験じっけん室のほかに事務じむ室があって、エジソンの電信でんしん時代じだいからの友だちのグリフィンがしごとをしています。
 グリフィンは、エジソンの秘書ひしょやくで、この人のいそがしさは、じつにたいへんなものでした。特許とっきょ事務じむ、山のような通信つうしん文、会計事務じむ――それらをぜんぶひきうけて、旧友きゅうゆうエジソンのために、ほねみをおしまず、はたらきつづけたのです。
 かいは、実験じっけん室です。おもな機械きかい実験じっけん器具きぐはぜんぶここにあって、エジソンとその助手じょしゅたちが、朝はやくから夜おそくまで、ねっしんにしごとをしていました。白熱はくねつ電球でんきゅうが生まれたのも、この実験じっけん室です。
 かいは、試験しけん室で、れんがづみの台があって、その上せいみつな測定そくていをする電流でんりゅう計やてんびんなどがのせられています。
 一すみは、化学かがく実験じっけん室にしきられ、ハイドがそのかかりです。
 研究所けんきゅうじょのとなりのたてものが機械きかい工場で、ボイラー室とエンジン室があってエジソンの設計せっけいするあらゆる機械きかいがつくられるので
 333231302928272625242322212019181716151413121110090807060504030201 

す。ドイツ生まれのクルージが主任しゅにんです。エジソンのさいしょの蓄音機ちくおんきを、みごとにつくりあげた人です。スイスでせいみつな技術ぎじゅつ教育きょういくをうけたクルージは、エジソンにとって、かけがえのないだいじな人でした。
 かけがえのない人といえば、数学しゃのアプトンもそうです。プリンストン大学をでて、ドイツでゆうめいな物理ぶつり学者がくしゃヘルムホルツについて勉強べんきょうした人ですが、数学がにがてだったエジソンですから、この人にどれだけたすけられたかわかりません。
 こうした専門せんもん家たちが、それぞれに助手じょしゅをひきいてしごとをすすめたのです。

(「エジソン」 崎川さきかわ範行のりゆきちょ 講談社こうだんしゃ 火の鳥伝記でんき文庫ぶんこより)
 666564636261605958575655545352515049484746454443424140393837363534