a 長文 5.1週 ta
「クロちゃん、どこ。」
「クロちゃあん。」
 わたしは、大きな声で名前を呼びよ ながら、脱走だっそうしたクロちゃんを探しさが ます。クロちゃんは、手のひらサイズのジャンガリアンハムスターです。毎朝、登校前のケージのそうじで、ちょっと気を許すゆる と、するっと外に出て全速力でどこかへ行ってしまうのです。ハムスターは、せまいところが大好きだいす で、家具の間などにどんどん入ってしまいます。出られなくなったら大変たいへんです。わたしは、そんなとき、クロちゃんの大好物こうぶつのひまわりのたねの入った紙袋かみぶくろを持ってカシャカシャと振りふ ます。すると、たねがもらえると思うのか、どこからかクロちゃんは出てきます。小さな足でちょこちょこ歩く姿すがたを見ると、脱走だっそうしたことを怒るおこ ことなどできません。
 わたしのお母さんも動物好きす で、子供こどものころはインコ、文鳥、柴犬しばいぬ、ニワトリ、金魚、カメなどを飼っか ていたそうです。わたしくらいのときは、毎朝欠かさか  ず五時に起きて、犬の散歩さんぽ、鳥小屋のそうじ、いろいろな生き物のえさやりをしていたと言います。
「自分で飼うか と決めたのだから、ちゃんと世話しないとね。だから一日も休まなかったよ。」
と、お母さんは言いました。
 クロちゃんは、わたし誕生たんじょう日にほしいと言って買ってもらったハムスターです。確かたし そのとき、
「ちゃんと自分で飼うか から。世話もきちんとするから。おねがい。」
と、わたしも言ったような気がします。
 クロちゃんは、体がとても小さいので、たぶん脳みそのう  も小さいと思います。けれども、わたしの気持ちをよくわかってくれるような気がします。わたし叱らしか れたり、友だちとけんかしたりして悲しい時、じっとこちらを見て、「大丈夫だいじょうぶ」と声をかけてくれているみたいです。
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 わたしは学校でも、クロちゃん、どうしているかなあ、さみしがっていないかなあといつも気にしています。時々、面倒めんどうになることもあるけれど、朝のクロちゃんの世話を苦労くろうだと思わずに、これからも続けつづ ていこうと思っています。

(言葉の森長文ちょうぶん作成さくせい委員会 φ)
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