1おとうさんがいいました。
「きょうの朝ごはんはベランダでたべよう。」
ミナちゃんもおかあさんも、だいさんせいしました。
2おとうさんはだいどころで、にがうりりょうりをつくりました。にがうりをちいさくきざんで、ぶたにくととうふといっしょにいためました。
3おかあさんは、あさがおの花をそっとさわってみました。
ミナちゃんは、花がさいているうちに、えにっきにかきました。
4「うん、うまいうまい。」
たねをまくときから、おとうさんはあさがおの花をみながら、じぶんでつくったにがうりのりょうりをたべたかったのです。
5ミナちゃんがいいました。
「おとうさん、うれしいでしょう。」
おとうさんは、へんじのかわりに、もういちど、
「うまいうまい。」
といいました。
6「それにしてもはやいものだ。」
あさごはんがおわってから、おとうさんがいいました。
7「たねをまいてめがでて、はがでて花がさいてみがなった。そのあいだにミナちゃんもすこし大きくなったね。」
「おとうさんもね。」
ミナちゃんがいいました。
8するとおとうさんは、
「いやちがう。おとうさんはそのあいだに、すこしとしよりになったのさ。」
といって、たのしそうに、
「ワッハッハハ。」
とわらいました。
9ベランダにすずしいかぜが、さっとふきました。
「もう、なつもおしまいだね。」
おとうさんがいいました。0
「大きいたねと小さなたね」東君平
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